第6話 ボッチ冒険者登録する

歩き始めてから30分、街の入場門に着いた。

約1時間の距離と聞いていたが半分の時間で着いてしまった。

俺の歩行速度が人より早かったってことかな?


実は来る途中にレッドハイエナ(炎を纏ったハイエナ)10匹に襲われていた商人の馬車を助けていたのだが5分と掛からずに討伐出来た。こっちの世界の魔物って、俺のダンジョンのホーンラビットより弱いと感じてしまった。たまたまこの魔物が弱い種類だったのかも知れないが……。

ハイエナに嚙まれた馬の足を奇跡の水で治療し、横倒しになっていた馬車を起こして、急ぐので一足先に入場門に来ていた。

門番に入場料を支払っていたところにさっき助けた商人の馬車が到着した。


「あんた本当に足が速いなあ、馬よりも速い人間は初めて会ったよ」

「おや。クレストさん馬車の幌が汚れているじゃないか」と門番が言い、

「いやね、街道でレッドハイエナの群れに襲われて馬が驚いて横倒しに倒れた時馬車も一緒に倒れてしまってね」

それは災難だったな。よく無事だったな」

「いやなに、こちらのお方が助けて呉れたのさ。傷を負った馬に高級ポーションを使って治してくれたうえ馬車を魔法で、元通りに起こしてくれたんだよ」


『何だあんた冒険者だったのか?ギルドカードを見せたら入場料は取らなかったのに」と門番。

「いや、俺はまだ登録前でね。今からギルドに行く予定なんだよ]と俺。

「いやはや、あの強さだからさぞや名の通った冒険者だとばかり思っていましたよ」と商人さん。

「いえね、魔物の多いド田舎で育ったのである程度腕に自信はあるけれど、ギルドが無いから冒険者に成れなくてね今回決心して田舎から出て来たのさ」と俺。

「それなら私が案内しますよ。何なら保証人になりましょう」

商人さんが言ってくれたので俺は有り難く好意に甘えることにした。


 冒険者ギルドでは商人のクレストさんが身元保証人になってくれたので簡単な実力テストを受けてどのランクから登録出来るのかを決めるらしい。最低ランクのGランクからではないのが有り難い。商人さんを魔物から救ったことで護衛の実力は問題ないと判断された。後は攻撃と防御の実力を見てみてもらうことだ。


ギルドの裏側に有る訓練場に案内されて、遠距離攻撃は弓矢で見て貰った。動く標的を50m先から射る。動くスピードでランクを変える。俺は上級のスピードで百発百中だった。威力を確認したいと言うので矢を魔力弓矢に変えてミスリルの的を撃つ。1発目はミスリルの的を貫通。2発目は岩山に撃って山の半分を粉々に破壊した。魔力を結構抑えたんだけどね。


近接攻撃力は日本刀で試した。これもミスリルゴーレムを一刀両断にして問題なく合格。剣以外の攻撃法を持っているかと訊かれたので、格闘技でミスリルゴーレムの頭をもぎ取って合格。

防御力は持ち前の防御シールドに加えて、結界魔法を使って試験官の上級炎魔法を30分無傷で持ちこたえて、試験官の魔力切れで合格。

というわけで取り敢えずCランクからの登録となった。次は盗賊討伐出来たらBランクに昇格することになった。盗賊なんてそうちょくちょく遭遇することも無いのでそこはのんびりいくしかない。だが1番遭遇確率が高いのは商人の護衛任務だろう。


 そこでクレストさんの紹介でお仲間の商人さんの護衛任務を指名依頼してもらった。5台の馬車を俺と別の2パーテイーで合同警護するのだという。


 明日の早朝3泊4日の道中になるそうだ。

ストレージに入っているレッドハイエナを買い取ってもらって市場で旅の食料を買ってテント、毛布、ポーションを用意した。

そしてギルドで紹介して貰った宿に入った。

【森の朝霧亭】と言う朝夕2食付きで銀貨4枚。日本円で4千円だそうで、冒険者に優しい安価な宿だ。その代り風呂は無い。

 最近錬金術を覚えたので旅の旅行対策として10日間トイレ無しで済む魔法薬を100人分作って置いた。

尿意や便意を覚えると、即座に膀胱と直腸に溜まった尿や便をクリーン魔法で消去出来る魔法薬だ。

欠点はおならに対しては効果が薄いところで女性には余り人気がなさそうなので亜空間公衆トイレの腕輪を50個作って置いた。

これなら人の目も、気にならず、魔物に襲われる心配も無い。ということは簡易避難所としても使えるのだ。


宿のべッドは自宅の毛皮マットの寝心地よりは劣るが熟睡出来た。

宿のトイレはボットントイレだったので匂いがきつくてまいった。

 なので、朝飯の前に一旦帰宅に戻ってトイレを済ませてから宿の食堂に行く。


 朝食はパンと野菜スープだった。まあまあ食べれる程度の味だった。物々交換マーケットでコンソメスープの素と塩胡椒を大量に手に入れておいた。旅の炊事当番になった時の為に大鍋や魔道コンロを2個用意しておいた。場合によっては作り置きのスープとカツサンドを提供することになるかも知れない。

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