第6話 永遠の絶望

エリシアを肉体的にも精神的にも打ち負かしたアイギスは執務室に籠る。

そして鼻歌を歌いながらエリシアに代わって律儀に公務をしていた。


(ふふ~ん♪ちょろいものね、この国の奴らは。見た目さえ同じなら簡単に騙せる)


ニタニタしながら壁に掛かっているカレンダーを確認する。

来月、エリシアの誕生日に星印が描かれている。


(継承の儀ね。各国の要人が集まってくるわ。そこで私の力を使って全員…殺すか?いや…操った方がいいわね!楽しみだわ!)


本物のエリシアとは違い、アイギスはかつてなれなかった女王になることを渇望している。

継承の儀で何かしでかすつもりなのだろう。

そして今のアイギスはそれができる立場であり、エリシアに使っているような厄介な力も備え持っている。

最悪の未来を心待ちにしているアイギスはニヤリと歪んだ笑みを浮かべた。


コンコン!


そんなアイギスの元に来訪者が来た。

執務室のドアがノックされる。

アイギスは歪んだ顔を元に戻し、本物エリシアのように可愛らしく微笑む練習をする。


「どなたですか?入ってください」

「失礼します」


ガチャ!


ドアが開かれ執事長のルドルフが入ってきた。

アイギスはニコっと微笑み、問いかける。


「どうされたのですかルドルフ?」

「リヒター様より羽手紙による連絡が来ました。明後日の午後に戻られるそうです。ご覧になりますか?」

「ええ、見せてください」


アイギスはルドルフから羽手紙を受け取り、封を開けるとサッと目を通す。


(リヒター?あぁ、あのお姫様の教育係ね)


それは今回隣国に出向いている宰相リヒターの公務の内容。

小言の多いリヒターとは違い、内容は簡潔でまとまっている。


アイギスは開いた手紙を丁寧に元に戻し、ルドルフに返す。


「ありがとうございました。リヒターが帰ってきたらすぐに呼んでくださいね!従者のみなさん含めて謁見の間へ通してください」

「謁見の間へ?承知いたしました。それでは私はこれで失礼します」


ルドルフが部屋から出ると、アイギスはわかりやすく机に肘をつき、頬杖をした。


(あとはあのリヒターとかいうジジイと従者を騙せれば完了ね。明後日…それまでまたエリシアで遊んであげようかしら♪くっくっく…)


アイギスは右手で顔を覆い隠し、不気味な笑顔を浮かべていた。



その日の夜、アイギスは寝室を抜け出してエリシアのいる謁見の間へと顔を出す。


(はぁ…はぁ…あっ…あぁん…んはぁ…うぅ…)


エリシアにはもう気力など残っていない。

ただただ淫具の刺激を受け続け、快楽に身をゆだねる木偶になってしまっていた。

今もだらだらとその体液を情けなく口と恥部から漏らしてしまっている。

そんなエリシアに対してアイギスはご機嫌な様子で女神像の前に立つ。


『こんばんわ元お姫様。調子はどうかしら?』


(はぁ…はぁ…もういい…あぐっ…ころして…ころして…)


エリシアには生きる意志さえなくなっていた。

しかしアイギスはそれを許さない。


『だめよそんなこと言っちゃ?貴女にはず~とその中で私が治めるこの国を見ててもらうんだから?』


(ずっと…みる?)


『そう、私が死にまで!でも私…死ぬ気はないけどね♪』


(なにを…言っているの?)


全く話が伝わらないエリシアにアイギスはその言葉の意味を生き生きと説明しだした。


その内容はアイギスは禁忌の術によって永遠に自分が女王として君臨し続けることについてだった。。

他人の命を吸収でき、完璧な変装ができる彼女にとってこれは容易である。

そしてその様子をエリシアに女神像の中で永遠に観察させ続けること。

エリシアも女神像と革の拘束衣の呪術で死ぬことはない。

これが200年以上あの恥辱的な牢獄に入れられ、王族を恨み続けたアイギスの復讐の全貌であった。


(わたし…ずっとこの中から…でれないの…え…ずっと?)


その話を聞いて女神像の中のエリシアの顔がどんどん青ざめていった。

現に丸一日女神像に入れられているというのに、エリシアは空腹を感じておらず、飲食も排泄も必要としていない。

その事実がアイギスの野望が夢物語ではないとわからせてしまった。


(いや…いや!そんなのいや!ずっとこんなに虐められ続けるなんて!やだ!だして!ゆるして!やだぁ!)


女神像の中で泣いて懇願するエリシアを見て、アイギスは笑いながらさらに心を揺さぶるような言葉を投げる。


『明後日だったかしら?あなたの教育係のおじいさん、帰ってくるみたいよ?』


(教育係のおじいさん…リヒター!?)


『そうそう、ここに来るように言ってあるからね。まあそこで私が偽物だってわからなければいいけど…』


アイギスは女神像の頬を両手で撫でながらズイっと自分の顔を近づけ、その悪魔のように歪んだ顔をエリシアに見せつけた。


『もし偽物ってバレちゃったら…この場で、あなたの目の前で八つ裂きにしてあげる!』


(!!!いやぁ!だめぇ!殺さないでっ!やめて!私が代わりに死ぬから!ゆるしてっ!)


女神像の中で泣き叫ぶエリシアを見てうっとりとするアイギス。

無言で足元に魔法陣を展開する…なんとリヒターそっくりの人形が錬成された。


『消した後はこれで代用するから安心して?完璧でしょ?ひっひっひっひ!ふんっ!』


アイギスが胸の前で右手をグッ!っと握りしめる。

するとリヒターそっくりの人形はビシャ!っと血のような液代をぶちまけて破裂する。

アイギス、そして女神像が返り血を浴びたように真っ赤に染まる。


(はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!いやぁぁぁぁぁあ!!)


エリシアは過呼吸をおこし、大声で泣き叫んだ。

まるで今後のリヒターが目の前の人形のように無残に殺される最悪の未来が見えてしまったからだ。


『ふふ…くっくっくっくっ…きゃはははははは!』


アイギスは血まみれのようになったこの場を魔法で綺麗にし、高笑いしながら謁見の間から出ていった。

また目を真っ赤に染め上げた状態で…


(はぁ!はぁ!はぁ!ぐぅっ!………んぐぅぅぅぅ!!)


淫具がエリシアのコリコリの乳首を、開発されてしまった肛門を、ぐちょぐちょの膣を責め立てる。

何回も絶頂させられる。

意識を飛ばされる。

逃れたくても指一つ動かせない。


その日、エリシアは眠ることなどできなかった。

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