第5話 奪われる立場 完璧に成り代わられて

その日の夕方。


(はぁ…はぁ…はぁ…うぐっ!…はぁ…はぁ…)


エリシアは未だに淫具からの微弱な責め立てに耐え続けていた。

結局、朝目覚めてからは一回も絶頂することができず、口と恥部からだらしなく切ない汁を垂れ流している。

全身が自分の汗と拘束衣に染み付いているアイギスの汗でべちょべちょになっている。

そして予期せぬ事態が発生していた。


(はぁ…はぁ…おふっ!…おしり…だめ…いや!)


お尻を開発されてしまったのだ。

ずっと責め立てられていたせいで今まで性感帯でなかったお尻からの刺激でも感じるようになってしまった。

しかし絶頂するまでには至らない。

生き地獄であった。


エリシアがお尻の刺激に心を囚われているとアイギスが欠伸をしながら謁見の間に入ってきた。

そして周りに誰かいないか見回しながらエリシアが入れられている女神像までスタスタと駆け寄る。


『おはよう元お姫様?昨日は寝れたかしら?』


(はぁ…はぁ…あうぅ…やだ…おしり…いじめないで…いや!)


エリシアは肛門からの責めに夢中になってしまっており、半日ぶりに現れたアイギスにまだ気づいていない。

しかしこの淫らな心の声はアイギスには知られてしまっていた。

アイギスが女神像の後ろに手を回し、ニタニタしながら固い殻で覆われているエリシアのお尻を撫でまわす。


『ふ~ん…気持ちいんだ』


(はぁ…はぁ…あぅ…あぇ?…!!!!)


エリシアはやっと目の前に宿敵がいることに気づいた。

革に包まれた顔を真っ赤にし、プルプルと震え始める。

そんな様子もアイギスには丸見えになっており、また女神像の女性的なお尻を厭らしい手つきで撫でる。


『何が気持ちいいの?ん?ちゃんと言ってみなさいよ?ほらほら♪』


(はぁ…はぁ…くっ!)


『素直に言わないと…また強くしちゃうわよ?刺激をね!』


(!!!!)


アイギスはキッ!っと鋭い目つきになり、瞳に赤い光を宿し始める。

昨日の夜にそれが何を意味するかを散々その身に刻まれたエリシアは、必死で動かない首を横に振ろうとする。


(やめて!もうイきたくないの!)


『ぷふっ!きゃはははは!情けないわねぇ!昨日の威勢のいいあなたはどこ行っちゃったのかしらね?』


アイギスは人を小馬鹿にしたような甲高い笑い声をあげる。

エリシアは昨日の狂ってしまうほどの責め立て嫌で泣きながらアイギスに許しを乞う。


(おねがい!やだ!やだやだ!あれはいやぁ!)


『じゃあどこが気持ちよかったか教えなさい?さもないと…はい!5!4!3!2…』


(おしり!おしりです!だからおねがいします!いじめないでください!ゆるして!)


『ふふふ…きゃはははは!!お尻!?お尻ですって?ずっと閉じ込められてた私でもさすがに感じなかったわよ!?どんだけ淫乱なのよ!』


(はぁ!はぁ!はぁ!くっ…うぅぅ!)


アイギスは周りに人がいないことをいいことにお腹を抱えて笑っていた。

一方エリシアは敵に情けなく許しをこうたうえに、新たに芽生えさせられた性癖を吐かされ、蔑まれ、顔を真っ赤にしながら目から悔し涙を流していた。

そんなエリシアを見てアイギスはさらに馬鹿にしたように高笑いをする。


『はぁ…はぁ…お腹痛いわ。じゃあそのあなたの大好きなお尻でイかせてあげなくちゃね?』


(え…!?)


アイギスは口角を上げながらエリシアをギロリと睨みつける。

その目は血のような赤色に染まっていた。


(まって!?約束がちがうっ!まっ…)


ぬぷぬぷぬぷ!!


(いぎぃっ!?)


エリシアに付けられている淫具が音を立てて暴れ始めた。

とくに新たな性感帯と化した肛門の刺激は激しく、ぐちゅぐちゅになったエリシアの中を執拗にかき回す。


(だめ!だめぇ!お尻やだ!あぁん!むり!むりぃ!)


お尻の刺激から逃れようと腰を前に出せば、女神像に遮られ恥部への刺激が増す。

恥部への責めから逃げようと腰を引けば今度はお尻に入った淫具がさらにエリシアを責め立てる。

成す術がなかった。


(いぐぅぅぅぅぅう!!)


ぐちょぉ!ぬるり…


朝から微弱に虐められ続けエリシアにとっては十分すぎる刺激だった。

全身から脂汗を噴き出し、口と恥部からベトベトの体液を噴き出す。

そして肛門からも粘液がじゅるじゅると流れてしまう。


(あっ!あがっ!はぁ…はぁ…おごっ!ぐっ…ふぅ…ふぅ…)


『ひひひひひ!本当にお尻でイったわね!よかったわねぇ、楽しみが増えて!』


(うっ…うぅぅ!ふぅ…ふぅ…くぅぅ!)


エリシアが絶頂したことを確認するとアイギスは淫具をまた微弱運転に戻した。

そして猿轡をギリギリ噛みしめながら睨みつけてくるエリシアの女神像に覆われた頭をなでる。


『あなたにいいもの見せてあげるわ。感謝しなさい?』


(ふぅ…ふぅ…うっ…いい…もの…)


自分と同じ顔をひどく歪ませたアイギスが視界から消え、エリシアの脳内に何か映像が流れ込んでくる。


(なにこれ!?これは…王宮内?)


それは誰かの視界を通して見る王宮内の様子だった。


『おはようございますエリシア様、今日のお召し物はいかがいたしましょうか?』

『はい、お任せします』

『ではこちらでよろしいですか?』

『はい!いつもありがとうございます♪』


(これって…私の記憶!?朝のお着替えの時の…?)


『エリシア様、朝食はいかがいたしましょうか?』

『え~と、そうですね…じゃがいもとニンジン!お野菜がいっぱい感じられるお料理が食べたいです』

『かしこまりました。相変わらず野菜がお好きですねエリシア様は』

『だって美味しいんですもの、国民の皆様が栽培してくれたお野菜…国の宝です♪』

『魚介類はいかがいたしましょう?』

『うぅぅ…ちょっとでお願いします…』


(これは朝食の様子?でもなんだろ…この違和感)


それはいつもの朝の風景。

侍女によって衣服を着つけてもらい、料理長に朝食をリクエストする自分。

しかしなにか違和感がある。

毎日行っていることなのに、まるでこんな記憶がないような、そんな違和感が拭いきれない。


そこにアイギスからの残酷な事実が告げられる。


『これ、実は今日の出来事なのよ?』


(え…)


『ってことは、どういう意味か…馬鹿なあなたでもわかるわよね?』


(あっ…あっ…あぁぁ…)


エリシアの目から大量の涙が溢れ出てくる。


そう、この映像はアイギスの記憶。

つまり誰もアイギスがエリシアに成り代わっていることに気づいていないのだ。


(やめて!とめて!見せないで!いやぁ!)


その後もエリシアの脳内に映像が無理やり流し込まれる。


隠れて兵士たちの訓練に紛れ込み、手合わせする様子。

お忍びで城を抜け出し、城下町の子供達や商人と楽しくおしゃべりする様子。

城に帰り、門番に苦笑いされながら何もなかったかのように執務室へ戻る様子。


誰もそのエリシアが偽物だとはわからない。

目を瞑ってもその映像を遮ることはできない。


(いや!やめて…こんなの…こんなのって!)


エリシアの心はズタズタに引き裂かれてしまった。


視界が元に戻り、自分に完璧に成り代わったアイギスの醜い笑顔がエリシアの目に入ってくる。


『どうかしら?面白かったでしょ?朝からあなたに会うのを我慢してかき集めてきたのよ?この記憶をね!きゃはははは!』


アイギスは打ちひしがれるエリシアも見れて満足したのか、機嫌よく謁見の間から出ていった。

対してエリシアは…


(わたし…わたし…わたしって…今まで…なんのために…!!)


自分の存在意義を失ってしまった。

もう目から涙さえ出てこない。

淫具の緩い刺激を受け、恥部からまたドロリとだらしなく淫液を垂れ流すだけだった。

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