第4話 屈辱の絶頂

アイギスは未だ全裸のまま、女神像の前で大きく背伸びをした。


(くぅぅぅ!一仕事終えたわね。じゃあ次の仕事に取り掛かりましょっか?)


アイギスはエリシアの体液で汚れてしまった床をあの古い術式の魔法で掃除すると、自分の顔を思いっきり手で引っ張った。

すると肌がゴムのように伸び、引きちぎれてしまった。

そして中から違う顔をした20代くらいの女性の顔が出てきた。

どことなくエリシアに似ているのは気のせいだろうか?


顔を剥いだ後は体も手で引っ張り、ゴムの肌をビリビリ破いていく。

床に散らばったゴムの肌を手でかき集め、粘度のようにこね始める。


(咄嗟にあの女の顔に変装して正解だったわ。なにが"叔母様"よ。すっかり騙されちゃって)


薄気味悪い顔をしながらくすくすと笑い始める。



アイギスの正体、それはエリシアの叔母でもなんでもない。

国に古くから伝わっている双子の王女の昔話。

女王の座が姉に継承されたことで、嫉妬に狂い国を滅ぼそうとした双子の妹なのだ。


アイギスは女王となった姉を、国を、全てを恨んだ。

そして禁忌を犯して闇魔法を習得し、守るべき存在である国民達から沢山の命を奪い、自分の命にしていった。

アイギスの見た目が若いのも、いまだに生きながらえているのもそのためだ。

そんな狂った双子の妹を止めるため、姉によってあの恥辱的な拷問装置、女神像に封印された。

そして200年以上もの間アイギスは死ぬこともできず、何回もイかされた。

狂う心を保つために、女神像の中で王族への恨みを募らせていった。


その封印の鍵となるのがエリシアが付けていたバングル。

あのバングルは代々の女王に引き継がれてきたものなのだが、時の流れによってその存在意義が有耶無耶になってしまったのだ。

それが今回のような悲劇を生んでしまった。


(さてと、今度はこれね♪)


アイギスがこねていたゴムに魔法をかける。

するとみるみるうちに肌色のゴムでできた全身タイツ、いや人間の皮のようになった。

それの背中に切れ目をいれ、着ぐるみを着るように着ていく。

あっという間に全身を覆われ、背中の切れ目も無くなっていく。


(よし!相変わらず完璧ね!これで私だってわからないわ)


その姿はなんとエリシアだった。

スタイル、背丈まで全く同じと言ってもいい。

アイギスはエリシアからはぎ取った寝着を着用し、喉元に手を当て声を出す。


「あ~…あ~…こんなものかしらね?きゃはははっ!」


声もエリシアと全く同じになってしまった。

これでは誰がどう見てもエリシアにしか見えない。

しかしこの悪魔のような笑い方や、醜い顔をエリシアは絶対にしないだろう。


エリシアに成り代わったアイギスは鼻歌を歌いながら女神像に手を触れる。

そして魔力を高めると女神像の下に黒い魔法陣が展開された。


(………よし。これでお姫様の記憶も頭の中に入れたわ。障害になりそうな奴は…しいて言えば宰相、教育係のリヒターね。でもこんな67歳の老いぼれ一瞬で消せるわ!)


アイギスは右手で顔を覆いながら口角を異様に上げて笑いだした。


そして今度は両手で女神像を触る。

すると閉じ込められている本物のエリシアの真っ暗だった視界が何故か見えるようになった。


(はぁ…はぁ…あつい…きつい…臭い…出して…?…外が透けて見える?…私が立ってる!?なんで!)


目の前に自分と全く同じ背格好、顔を持った女性が立っている。

猿轡を咥えている口がさらに開いてしまい、革の中で涎が首筋まで垂れる。


「むぐぅぅ!うぅぅぅ!」


声を上げてもアイギスの呪術により女神像の外には決して漏れない。

しかしこのエリシアの情けない声もアイギスの耳には届いているようで、また意地の悪い顔で笑っている。

そしてエリシアにわざと見せつけるようにその場でくるりと回り、優雅に振る舞って見せた。


『どうかしらお姫様?完璧にあなたでしょ?私はエリシアです。来月この国の女王になります…ぷふっ!きゃはははは!』


エリシアの脳内に勢核の悪そうな喋り方をした自分の声が流れてくる。


(ちがう!私そんなんじゃない!)


否定するエリシアをよそに、アイギスはまたひどく歪ませた笑顔を女神像に向ける。


『安心して。お姫様に代わってちゃ~んとこの国を統治してみせるから。今度こそ…今度こそ私のものにしてやる!』


(黙りなさい!偽物め!)


エリシアは像の中で顔を真っ赤にしながら怒りに打ち震えていた。

そこにまた人を小馬鹿にしたような声がエリシアの脳内に流れてくる。


『じゃぁ確かめてみようかしらね?もうちょっとで警備兵の…え~と誰だ…トロントが来るでしょ?』


(なぜそれを!それに心が読まれてる!?)


『あいつにバレたらあなたを解放してあげるわ。もしバレなかったら…さらなる罰を与えてあげる!』


(罰…)


『認識阻害結界解除…さぁおいでませトロント!』


心まで読まれ驚くエリシアとは対照的に、アイギスは新しい体を馴染ませるかのようにその場で体を伸ばしたりしている。

そうしている間に謁見の間のドアが開き、警備兵のトロントがやってきた。

トロントはその手に持ったランプで辺りを照らす。

そして女神像の前に立っている人影、アイギスに気づく。


「誰かいるのか!」


トロントは剣の柄に手をかけゆっくりと近寄ってきた。

そんなトロントにアイギスは慌てた様子でその身をちぢこめる。


(気づいてトロント!)


エリシアは閉じ込められている女神像のポーズのように胸の前で手を合わせて祈る。

アイギスはその女神像を横目に見ながらわざとらしくビクッ!っと体を震わせる。


「トロントですか!?」

「エリシア様!?なぜこのような場所に」

「あの…お手洗いに行こうと…思っていまして…」


アイギスはトロントから目を背けながら右手でうなじあたりをさすっている。

何かを誤魔化しているような素振りをするアイギスを見てトロントは大きなため息を吐き、呆れたような顔をした。


「エリシア様?また夜のお散歩ですか?それにお手洗いは逆方向ですよ?」

「えっと…その…」

「リヒター様不在だからと言って…また叱られてしまいますよ?」

「ごめんなさい…」


アイギスはトロントに注意され大げさにしょんぼりした態度を見せる。

エリシアはその様子を見て女神像の中で大声で叫んでいた。


(トロント気づいて!そいつは偽物よ!騙されないで!)


しかしエリシアの心の声は届かない。

トロントは入ってきたドアに体を向けてしまう。


「仕事に戻りますね。今日はすぐに部屋に戻って下さいね?」

「はい、お仕事頑張ってくださいね」

「それでは私はこれで」


アイギスは謁見の間から出ていくトロントに笑顔でお別れを告げ。

ドアが閉まるのを確認すると女神像までニヤニヤしながら駆け寄ってきた。


『きゃははは!バレなかったわねぇ!賭けは私の勝ちね!』


(そんな…なんで…なんで…)


エリシアは絶望していた。

日頃からお忍びのお出かけを発見され、見逃してくれる仲のいい警備兵トロントに気づいてもらえなかったことに。


自然と涙が溢れて出てしまった。

失意のどん底に突き落とされたエリシアにさらなる屈辱が与えられる。


『じゃあ罰を与えるわよ?』


(んぁっ!?うぐっ!)


アイギスの目が赤く光り始める。

それに呼応したようにエリシアの革の上から付けられた装飾品の淫具が動き出したのだ。


(んっ!んんぅっ!いや!やめて!)


乳首は甘噛みされた状態でムニムニと揉まれる。

肛門に入れられたあの棒がヌチヌチと腸壁を擦ってくる。

そして膣に入れられた棒もエリシアの一番感じやすいところを熟知しているようにぐりぐり刺激し、振動してくる。


(やだ!いや!あぁん!とめて!とめて!)


刺激から逃れようとしても革で覆われ、ベルトでギチギチに締め上げられ、女神像にガッチリ固定され、動かすことができない。


『気持ちいでしょ?私もずっとそれ、やられてたのよ?200年もの間』


(やっ!あぐぅ…やだ!やめて!もまないで!弄らないで!ああっ!)


『人の話聞いてる?まぁいいや。同じ苦しみを味わってね。元お姫様♪』


(あぁぁん!!)


無理やり与えられる快楽に恥部からドクドクと愛液を漏らしてしまう。

閉じられない口から涎を垂らし、全身から汗を噴き出す。

その体液は革に吸収され、さらに呪縛が強くなりエリシアの体を締め付ける。


(やだ!わたし…ぐっ!こんなのでイきたく…イきたくない!んぅう!)


アイギスは女神像を厭らしい手つきで触りながらさらに非常な条件を突き付けてくる。


『10分耐えられたら止めてあげるわ。優しいわね、私って♪』


(ふぅ…ふぅ…こんなことしておいて!なにが優しいよ!あっ!つぅぅ…!)


『でもその間に一回でもイっちゃったら朝まで絶頂コースね?』


(ふぅ!ふぅ!だれが…イくもんですか!あぁん!)


エリシアは絶頂しない様にすでに折れてしまった心を無理やり奮い立たせる。



時は経過し、未だにエリシアはギリギリのところで踏みとどまっていた。


(はぁ…はぁ!んぁ!くぅぅ…ふぅ!ふぅ!)


金属製の猿轡をギリギリと噛みしめ、強制的に胸の前で握らされた手にギュッと力を入れる。

この屈辱的な時間が無限のようにも感じる。


しかし状況は何も変わらない。

目の前の自分の顔をした悪女に見られながら性的な刺激を耐え忍ぶことしかできない。


(はぁ!はぁ!はぁ!ぐぅ…んっ!)


『ちょっと刺激が足りないかしら?淫乱のあなたには?』


(淫乱なんかじゃ…ない!黙りなさい!いぎっ!?)


アイギスがまた不敵な笑みを浮かべた。

赤く光る眼がさらにその光を増す。

エリシアを責め立てる淫具の刺激がさらに強くなった。


(あがっ!だ…だめぇ!イ…ぐぅ!うぅぅん!)


刺激から逃げようと胸を震わせ、腰を引く。

しかしそれも全身を覆う拘束衣と女神像に遮られる。

限界が近づいていた。


(はぁ!はぁ!はぁ!あっ!あぁ!…うぅぅ!)


『あと1分♪なかなか頑張るわね?』


(はぁ!はぁ!はぁ!ぐっ…うぐぅ!くぅ!)


『あと30秒!もう少しよ?頑張りなさい♪』


(はぁ!はぁ!はぁ!んぅっ!あぁん!)


エリシアは快楽に負けそうになる心を何とか保とうとする。

自然とお尻の穴に力が入ってしまう。

それが刺激をさらに感じやすくなってしまっても、エリシアにはどうすることもできない。


『あと10秒よ!?我慢できる?それともイっちゃうのかしら?』


(はぁ!はぁ!じゅう…びょう…っ!)


『9、8、7…』


アイギスによる屈辱的なカウントダウンが始まる。

エリシアは女神像の中で怒りと快楽から眉間に大きな溝を作る。


(あぐ!この…ヘンタイ!でも…はぁ!はぁ!ガマン…できる!)


一瞬だが心に油断が生まれてしまった。

それの心の隙をアイギスは見逃さなかった。

アイギスの目が赤からさらに赤黒い血のような色に変わった。


ぐちゅぐちゅぐちゅっ!!


(あぁぁん!がはっ!)


エリシアを弄ぶ淫具の刺激がさらに勢いを増した。

すでにコリコリになった乳首を吸われ、肛門に入れられた棒は腸壁側から膣を刺激する。

膣内のそれは金属の材質を無視し、エリシアの中で伸び縮みし、うねうねと形状を変える。

人生で感じたことのないほどの刺激を同時に受け、一気に高みへと昇らされてしまった。


(いやっ!いやぁ!だめ!イく!とめて!やめて!あぁぁん!)


『5!4!3!2!い…』


(あぁぁぁぁあぁぁんっ!!!)


ドバァ!じゅる…じゅるじゅる…


エリシアは果ててしまった。

恥部から絶え間なく淫らな液体を噴出し、口から涎を垂れ流す。

あと少し…ほんとうにあと少しの所でアイギスに負けてしまったのだ。


『きゃははははっ!イった!イったわねぇ!もしかして勝てると思ったの?馬鹿な女!』


(あっ!あがっ!ぐ…あぁっ!)


未だに中で暴れている淫具に責められ続け、何度も絶頂され続ける。

動けない女神像の中で体を情けなく痙攣させ、白目まで剥いてしまっている。


『だらしない顔!淫乱女!お姫様がしていい顔じゃないわよそれ!あっ、元お姫様だったわね?ぷふっ!きゃははははは!』


(んぁ!あっ!いぐっ…いぎぃ!!)


女神像の中で哀れな姿を晒すエリシアを見ながらアイギスは腹を抱えて笑っている。

その侮辱的で汚い言葉がすでに意識が飛んだエリシアの脳内に入ってくる。

そんなエリシアを無視し、アイギスは女神像を抱きかかえながら、また非情な言葉をつらつらとぶつける。


『じゃあ私は寝るとしますか?あなたがいつも使ってるふかふかのベットでね』


(はぁ!はぁ!い…がぁ!あっ!)


『そんな調子で大丈夫?まぁ明日の朝に見に来てあげるわね』


アイギスは女神像から手を離し、スタスタとドアまで歩いていく。

そして去り際に振り返り、ビクビク痙攣しているエリシアに投げキッスをした。


『おやすみ、元お姫様♪』


(はぁ!はぁ!はぁ!いぐっ!?んぐぅぅぅぅぅぅう!!!)


ドバァっ!!


アイギスが謁見の間から出ていく際、その目がまた鋭く光り闇夜に赤黒い糸を引いた。

ドアの閉まる音とともにエリシアはまた粘り気のある汁を体中から噴き出す。


夜はまだ始まったばかりだ。



時は経過し…


(はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…あつい…)


エリシアは不快感から目を覚ました。

もちろん女神像の中で。


背後にある美しく大きなステンドグラスを通した鮮やかな光が謁見の間を明るく照らす。

朝になっていたのだ。


(はぁ…はぁ…くさい…べちょべちょ…んぐっ!…くっ!)


結局夜の間は意識を取り戻しては何度も飛ばされ、なんども絶頂させられた。

その淫具は未だにエリシアの乳首を、肛門を、膣をねちねちと責め立て続ける。

しかしその刺激はひどく微弱で絶頂には遠く至らない。


(くっ…わたし…あんな女に!くぅ…うぅぅ…)


アイギスから受けた屈辱の数々を思い出す。

母を侮辱された上にアイギスの体液がベットリ染みついた牢獄に入れられ、性的に虐げられ、そのうえ自分の立場まで奪われてしまった。

悔し涙をポロポロ流すがこれが外に出ることは一切ない。

逆に全身を覆う呪いの黒革拘束衣に吸収され、エリシアの体を締め付けてくる。


涙でぼやけた目に映るのは早朝から真面目に掃除をしている王宮の侍女たちの姿。


「むぐぅぅぅ!うぅぅぅ!」(出して!助けて!)


猿轡で封じられた口から言葉にならない唸り声をあげる。

ガチガチに覆われた体を力いっぱい動かす。


(きづいて!だれか!だれかぁ!)


しかし彼女たちにはエリシアの言葉は届かない。

アイギスによる呪術でエリシアの動き、声、その全てを女神像に閉じ込められている。

もうすぐ女王になる国の長が、まさかこんな恥辱を受けているなど誰にもわからない。


「女神様の掃除、お願いできるかしら?」

「はい、かしこまりました」


後輩侍女が先輩の命を受けてエリシアが入っている女神像を丁寧に掃除している。


「むぅむ!むぅむぅうう!」(気づいて!閉じ込められてるの!)


こんなに近くにいるのに、大きな声で叫んでいるのにエリシアの存在には気づかない。


(おねがい…きづいて…だれか…おねがい…)


エリシアはまた大粒の涙を流した。

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