第3話

ミナミが正気を取り戻した。

右腕がない。

右顔面の感覚もおかしい。

ミナミが浴室の鏡に自分の顔を映した。

「キャー――――――っ」

右顔面がグチャグチャにつぶされていた。

「ヒぃ―――――――――――――――――っ」

ミナミがそのまま浴室にひざまづいた。

「いまのが妖怪、億目漣(おくもくれん)。へたを

すれば人類を滅ぼしかねない。強敵です」

痩身の男はそういってシャワーの水をとめた。

「わたしの顔を返して」

「ミナミさん、ミナミさんの腹部に小型の時限爆弾を取り付けさせていただきました。われわれに逆らえば容赦なく爆破します」

「わたしの顔を返せーーーーーーーーーーーーーっ」

ミナミが悲痛な叫びをあげた。

「ミナミさん、落ち着いて聴いて下さい」

「なによ」

「ミナミさんの体は我々が改造しました」

「なんですって?」

「ミナミさんの左腕はAI搭載の小型バズーカに

改造させていただきました。妖怪たちには

もっとも有効です」

「人のことをなんだと思ってるの」

「救世主(メシア)です」

「メシア」

ミナミがうわごとのようにその言葉を

つぶやいた。

「ミナミさんがある妖怪を倒せば

顔と右腕は元に戻ります」

「ある妖怪って?」

「それはわかっていません。100万分の一の

確率でその妖怪に出会えるはずです」

「それまで戦い続けなければならないってこと?」

「そうなります」

オトコの言葉にミナミはがっくりと

うなだれた。

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