東1局4本場

 青葉は再びナリネコをはじめとした天狗と幽霊と麻雀をする。


 今回は青葉が東家で南家には幽霊、西家に天狗で北家にナリネコ。


 月花はその様子を見ていた。月花は麻雀のルールは知らず一通りを見てそれがどんなゲームなのかを月花は観察していた。


 とはいえ、東1局でナリネコがあがったり、東2局で青葉が幽霊に跳満を振り込んだことなどを見て青葉が負けそうになる感じが出てくる。


 また、点棒などの受け渡しなども月花は見ていた。店長は月花に声をかける。


「麻雀に興味あるのかい?」


「別に興味ない……やったこともない……」


「そうかい。簡単なブックがあるけど。小学生でも理解できるような本がね」


 月花は青葉が麻雀をしている間に麻雀の本を読む。南4局オーラスの時点で月花は基本的な麻雀のルールを覚えた。


「店長さん。基本的なのは分かったよ」


「分かったのかい? お嬢ちゃんには難しい本だと思うけどねえ。じゃあ出来るってこと?」


「牌と役に点数計算……牌を先に1番早く……揃えられればいいってこと」


 ちょうどその時南4局が終了。最後に青葉が満貫をツモって終局。結局青葉は3位。


 1位のナリネコとの差が50000差で役満も期待できなかったための苦渋のあがりだった。


 ナリネコ達は休憩で風呂に入りに行く。本来彼女達はその際お金を払うことになるが、青葉の負け分から差し引きとなっていた。これもまたこの銭湯の麻雀のルールだった。


 青葉はそんな悔しさを月花に言い放つ。


「みっともないよね。私が負けるとあの人外さんたちがタダでお風呂入れちゃうの。ここのルールだから」


「そう……なんだ」


 月花は麻雀の卓や牌を見つめる。それに青葉は反応する。


「月花ちゃんは麻雀はやったことあるの?」


「やったことない……見るのも初めて」


「初めてなんだ。最近は最新の技術とかスポーツと並ぶ競技でこどももやる子が増えたから知っている者だと思っていたけど」


「ルールはさっき本で覚えた」


「本? まあ分かりやすい麻雀の本で覚えられるとは思うけど小学生には分かりにくいんじゃない?」


「完全とは言えない。でも基本は分かった」


 青葉は疑問に思う。もしかしたら小学生に見えて実はかなり大人なんじゃないかと。最近はそういう人外も多い。怪奇な現象が起きるようになってからは、見た目は子供で実は老人なんていう人外も存在する。青葉は月花がそれなんじゃないかと思い月花に聞いた。


「あの、女の子に対して失礼かもしれないけど、歳はいくつ?」


「年齢?」


「そう、ごめん。答えたくないならいいよ」


 月花は首を横にゆっくりと振った後、返答する。


「7つ」


「見えないよ。7つでその見た目? 11歳くらいだと思った。もしかして妖怪か何か?」


「私は人間。妖怪じゃない」


 月花が嘘をついているようにも聞こえず、青葉は月花の言葉を信じることにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る