東1局3本場
パシャパシャと鳴り響く足音に雨水で濡れた床。その客というのは1人の少女だった。
それも小学校高学年くらいだろうか? 身長130センチで紫の髪色のショートヘアーで青紫のドレスを着ている笑顔1つ見せない不気味な少女だった。店長がやってきて青葉に声をかける。
「何してんの青葉ちゃん。バスタオルで体拭いてあげて」
「よろしいのですか?」
「サービスよ。それに迷子かもしれないでしょ」
「はあ……」
「話に乗ってあげなさい。あと麻雀の負けの罰ゲームは今回は清掃じゃなくてその子の面倒ね。その子のお金もあなたが出しなさい」
「はい」
結局、店長の言われたとおりに青葉は少女の面倒を見る。少女は真顔で銭湯のロビーの周囲を見た後で青葉の案内で銭湯の風呂に入る。
青葉は女湯の脱衣所で少女にバスタオルを渡すと、少女はドレスを脱ぐ。少女は下着は身に着けておらず、ドレスだけを着ていた。雨の中でそれは寒そうだと思い青葉は少女を気にかける。
「こんな大雨で1人、しかもドレスだけ着ている状態で寒くなかった?」
「別に……」
「そう、とりあえず温まりな。まずはかけ湯から」
少女はかけ湯をするとすぐに風呂に入る。青葉はバイトで勤務中のため風呂には入らず少女を見守る。
「君、家はどこ? 両親は?」
「ネグレクト……」
「そんな言葉、よく知っているね。それであなたの名前は?」
「月花(げっか)」
「月花ちゃんだね。苗字も教えてくれたら助かるな。両親が分かるかもしれないから」
「海猫(うみねこ)」
「あーごめん、めずらしい苗字だけど、ネグレクトしている人でその海猫さんは知らないよ」
「遠くにいる……たぶん」
「そうなんだ。それで月花ちゃん、お風呂はどうかな?」
「気持ちい……体も洗ったほうがいい?」
「そうね。石鹸もサービスしないと」
青葉はシャンプーと石鹸とリンスを少女改め海猫月花に渡す。
月花は体を1人で洗って再び風呂で温まると、青葉にバスタオルを受け取って体を拭き着替える。
その間に青葉は月花のドレスを脱衣所にある暖房で乾かしておいた。
月花はそのドレスに着替え終えると青葉に話しかけられる。
「家に帰っても1人なら店長に相談してみるよ。きっと泊めてもらえると思う」
「お姉さん。名前何? 名前分からないと返事も質問もできない……」
「そうだったね。私は松風青葉。青葉でいいよ」
「じゃあ……青葉さんに任せる」
青葉は店長に相談したところ店長は条件を出す。
「ダメだ。とは言わないが条件がある」
「何でしょう?」
「あんたが麻雀に勝つこと。もし負けたらその子はあんたが面倒を見る。あんたが勝ったら私が面倒を見ようじゃないか」
「そうですか。分かりました」
店長は月花の面倒を青葉が見ることは出来ればしたくないと思ってこのような条件を出した。もちろん月花の面倒を見ることは青葉本人はしたくないと思っていた。
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