主張強めな自分の作品解説

千織

第1話 『その手をはなさないで』について

「お試しをやめて、対価を得なさい」


そう、お告げがありましたw


本業の教育の本がわずかに売れていて、税理士さんから「このAmazonからの入金は印税ですか?」と聞かれて、恥ずかしながら「印税です」と答えました。


なんっつーか、誰か賽銭箱や募金箱と間違えて入れてるんじゃないかな?ってレベルなんですけどねwww


ただ、あれだけの本の密林の中で、目にとまり、かつ読んでいただけてることは本当にありがたい。


カクヨムデビュー前で、全然書き慣れてない頃の、正真正銘の処女作。

そんなレベルを読んでくださる方々の、心の広さには本当に感謝です。


いつか、震災小説は出版したいと思ってましたが、例のお告げ(笑)がありまして、「いつか、っていつ? そりゃ売らなきゃ買えないよ。無料だってなかなか読まれない分野なんだから、今やったって、同じじゃね?」という結論に至りました。



久々にKindle用にWord起こし。

初めての時に、だいぶ苦労した思い出があり、腰が重くなっていましたが、なんだかんだ大丈夫でした。


ですが、『その手をはなさないで』は、約3000字で短いのです。

おまけに『そうだ、会社をやめよう』をつけてみる。

雰囲気は明るくなったゾ(笑)。



あんまりもたもたと付けるとぼやけそうなので、作品を追加するのではなく、解説をつけてみました。

そう、私は、伝えたいことがあるタイプのカク人。

問題提起して歩く人。

問題には必ずその人の大事なものが隠れていると信じている人。

書くのは手段なのだから、伝えたいことに制限を加える必要はなかろう。

と、思い至ったのです。



そこで書いた解説、執筆のベースとなる自分の考えを書き溜めよう、というのが、この書き物の趣旨です。



♦︎♦︎♦︎



▼その手をはなさないで▼

https://kakuyomu.jp/works/16818093073686690265/episodes/16818093073689725934


震災から十三年経っていますが、月日が経ち、日々が「非常事態」から「日常の生活」に変わっていったからこそ苦しい方もいるのではないかと思いながら書きました。


前を向いて進んでいく人、まだそうなれない人、むしろ今こそ苦しい人……。

人生は、小説のように区切りがありません。そういう「人間というもの」「生きていくこと」を見つめていきたい……そのために私は小説を書いていきたいと思っています。


『その手をはなさないで』は、途中途中に分岐があります。


目の前の子どもを助けるのか

自分の家族を守りに行くのか

そもそも、近所の年寄りを気にかけていなければ、少年に会うこともなく、妻のところにたどり着いて一緒に生きのびることもできたかもしれません。


ツトムの苦しみの根源が優しさだったからなお辛い。

どんな死に方なら納得するのか

どんな生き方をしたかったのか

どんな人生が自分らしいのか。


そういう「簡単には答えられないもの」を約三千字で、一気に問う作品になったかと思います。


実際の人生も、いざ問われたときに与えられるシンキングタイムは、その程度に短いのではと思うのです。

この辺りは、ヴィクトール・E・フランクルの『夜と霧』に影響されていると思います。


物語の最後は、ツトムとトムとの対比になっています。

トムはあの大震災を経験し、自分の使命に至ります。

現実でも、当時の子どもたちが震災を踏まえて自分の人生をしっかり歩んでいるというのは、生物本来が持つ、理屈でない強さを感じます。

若さというのは、一足飛びの成長を叶えてくれる。

だからこそ、十代が大切なのです。

トムは宗教的マインドもあって、あの経験を糧にします。

理不尽で、とてつもない悲しみに見舞われた時は、やはり宗教的な救いも必要なのではなかろうか、そういう意味でトムの生き方を据えました。



さて、私がこんな行動を起こすきっかけになったのは、天川様の自主企画です。

震災小説・防災小説への取り組みに興味をお持ちいただき、本当に嬉しく思いました。

それを受けて、私自身も本格的にやっていこうかな、と思ったのです。


もしこういった作品で、「一人でも」前向きな気持ちになれたら、何か行動してみようと思っていただけたら、少しでも悲しみが癒えたら、未来につながる何かができたら、私の作活人生は大成功です。



♦︎♦︎♦︎



ここまでが、作品解説的部分です。

こっからは、創作論?っぽい主張強めパート。



公募には足らない文字数で、すごく響く作品ってあるじゃないですか。

なかなか賞は取れません、って言いながらいい作品をたくさん書いてる人っているじゃないですか。


何が悪いんですかね。

それでいいじゃないですかね。


誰かに影響する言葉って、なかなか出ないですよ。

対人って、信頼関係があって、各々の生き方のレベルがあって、傾聴があって、タイミングがあって、対面で、ようやくですよ。


悩みの9割は人間関係……親子、友人、夫婦、会社等……ですから、対面ですらうまくやれてないのです。

それを、文章で、一方的な提供で、やろうとしてるwww

本当は、無謀なことやで!



だから、たった一人でも心を動かせたっていうなら、それはスゴイことなんだよ、と言いたい。

詠み人知らず、でいいじゃないか。

誰かの心に、自分の気持ちが伝わって残ったんだから。

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