第11話 夏の終わり。喰らうは有明のエイリアンとアイドル。
2023年8月31日、東京を目前にした山梨の山の中で、私は捕獲した猪を捌き終え、故郷に想いを馳せる。
「有明の海が懐かしか…」
最短で目的地に向かう為、1日1食、他は常に箒の上な過酷な旅路。(箒はお母さんが魔法を掛けているので自動操縦で東京に向かうので寝ててもいいのだが、それでもお股が痛くなるしお腹は減るのだ。)
「鮮度が良かけん食べれるもんもあるっちゃあるっちゃけどね。」
オスだった猪の睾丸と男性器を捌く私。
「大抵の
豚と馬、牛と猪に狸に鼬etc…数多の生物を余すことなく喰らってきた私。
特に外れがないのは腿肉だ。
「豚さんは凄かけん、猪も凄かやろ。」
我が家で飼育されていた豚さんたち。雌雄共にいたが、オスのそれは凄かった。
「豚さんのキンタマはぎゃんデカかかった…オチンチンもドリルんごたったし。」
何より美味しかった。なんとも言えない臭さはあったけど。
「豚さんの原種やけん、もっと凄かっちゃろ?」
血抜きと臭み消しの処理を終えた猪のそれに向き合う。
「レバーはレバーなんやね。」
少しがっかりしながら、獣臭さの残る口の中。
「有明海の夏の風物詩…」
その日本一の干満差で独自の生態系を成し、近海の民だけに受け継がれた食文化。
「メカジャ…
メカジャだけじゃない、アゲマキもタイラギも…様々な有明の幸が希少になり、手の届かぬ高級食材になった。
「あんたたちだけたい。」
魔法のクーラーボックスから取り出す有明のエイリアンとええらしい有明のアイドルを取り出す。
「こげんええらしかとけ、なんでエイリアンとか言わるっちゃろか?」
有明海のエイリアンことワラスボ。
「あんたばっかりアイドル言われちょるばってん…まあ、ええらしかもんね。」
アイドルたるムツゴロウ。
口直しのお味噌汁(勿論味噌は麦味噌)となった有明の珍味にそう語りかけながら喰らう。
「夏の終わりやね…」
使った調理器具を近くの川で洗い、身体を清めた後、太陽光で充電しておいた外部バッテリーで充電中のスマホを見る。
日付は8月31日から9月1日となった。
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