第3話 いつか話されるだろうヒトガタとの恋

学校では友達と仲良く過ごす。


すると、何人かよく知らない生徒がそれぞれがふらりときて。


「せいくん、キミんちさ、アルんだろ? 


貸して?」


わかったよ。


まず「何機」必要か聞いた。

相手は驚いて固まったが、好奇心旺盛な純粋で色欲を侍らせた顔で。


「……呼べるだけ♪」


震える声で期待していた。

自宅に連絡する。

高級車に四機の十代から二十代前半の可憐、清楚、成熟、質素。

と、それぞれの属性を表したようなアンドロイドが積載されてきた。


声をかけてきた生徒に星は言う。


「車、そのまま乗って帰りなよ。返すのは……いつでもいいから……」


男子生徒はびっくりしながらも

「マジで……?」

と目をキラキラさせる。


車の中は広い空間でソファが連なっていて、飲み物も冷やされている。モニターも付いている。


「……もう、さわって、いいんだよな? ていうか、ヤレるの? ほんとに?……」


清楚なアンドロイドの胸を見て、質素だが調教しがいのありそうなアンドロイド、可憐な笑顔のお嬢様然とした機種、全ての望みを叶えて全てを教えてくれそうな成熟したアンドロイドを順繰りに眺めて。


全てを、身体中と一点に熱と血液の流れを感じながら希望と性欲に満ちた目で見回す。


星は答える。

「車でもできるよ。掃除とか汚れとか気にしないで」


淡々と。


「じゃあ、シツレイしますッ」


清楚な乙女のアンドロイドの胸を揉む。勢いよく上へ下へと。


ただのゴムとかシリコン素材なのに、と星は思う。


「だめっ、はず、かしっ、んっ! だれ、あなた……!」


「うわ! 声かわよ! せいくん! キミ、マジ羨ましいね! 今度また遊ぼ! 今日はアリガト!」


「うん。……それじゃ、自動運転だけど、気をつけて……」


「うん! またね! マジで嬉しい!」


ドアの窓が閉まる、と。


また、ちょっと開いて。


「この車、エーブイ見られる?」


「……何年も前の作品ばかりだから画質悪いけど、見られ」


「アリガト! 見ながらミナサンで卒業します! 最高だよ、セイくん!」


窓は閉まりミラー加工が発動し、星の顔が映し出される。


今まで頼ってきた友人知人の中にも、外の景色を見ながらナカを悟られずにヤりたい、という希望の者がいた。


車が去った後、もう一台小型の車両が来て、星はそれに乗り込む。良かった。今日はアンドロイドが一機もいない。親しみを込めて一体、一人、とアンドロイドを数える人もいるが。星は機体と呼んだりして、身近に感じないようにしている。


無人の車内のカーナビに

「図書館まで。成績が落ちてる……。深夜まで回れるルートや店も組み込んで」

〈図書館。承認。深夜までの外出は許可できません。お父上がお待ちです。発進します〉


車は、緩やかに、走り出す。


車内で星は頭を窓にこつんと付けて、泣きそうな気持ちでいる。



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