第3章 再会
再会①
それから一年が経った。美鈴とは会わずに過ごした。どの間、俺が女を抱くことはなかった。自分でもどんだけ美鈴を好きなんだよとつっこみを入れたくなるけど、自分でもこの気持ちのコントロールができなかった。
ただ、美鈴と会うことはなかったけど、美鈴の情報は知っていた。女遊びをしなくなっただけで、夜な夜な遊びには繰り出していたからだ。
康介には何度も「お前、本当にそれでいいのか?」と聞かれた。康介は相変わらず色んな女と遊んでいたからだ。
俺はそれでよかった。美鈴じゃなければ抱く気になんてなれない。偶然に美鈴と再会できないなら、運命なんて信じてやらない。
夏休みを一週間後に控えたある日。俺は珍しく、学校からまっすぐ家に帰った。なんだか気だるい気分で遊ぶ気になれなかったのだ。
「お帰りなさいませ、坊ちゃま」
お手伝いの一人が俺に挨拶をする。
「あぁ」
軽く返事をして自分の部屋へと向かう。まるで武家屋敷かのような無駄にだだっ広いこの家は、本当にどうかしていると思う。二階への階段をのぼっているとぎしぎしと音がする。
「あれ。お前、こんな時間に珍しいな」
階段をのぼり終えたところで、クソ憎たらしいヤツと出くわしてしまった。なんでこんな日に限ってこいつも家にいるんだろう。
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