　興味のなさそうな返事に、表情には出さずともむっとしてしまう。それにさっきから美鈴は俺と目を合わせない。

「今日はなんで俺らと一緒なの？」

「さぁ。あんたのツレに連れて来られただけ」

　ツンケンし続ける美鈴から目を離すことができない。

「俺のツレと知り合いなの？」

「さあ？」

　美鈴の態度に口端があがるのを自分でも感じた。面白い女だ。もっと話をしてみたい。俺の方を見てほしい。

「ねぇ孝人ぉ。そんなぶっきらぼうな子ほおっておいて、今日は私と遊ぼうよぉ」

　美鈴へ夢中になっている俺が気に食わないのか、香織がこれ見よがしに俺の腕に絡んできた。わざと胸も当ててきている。これだから同じくらいの年の女は嫌なんだ。香織の猫なで声も癪に障る。

「その子、あんたの彼女なの？」

　美鈴の視線の先にあったのは、俺の腕に絡みつく香織だ。

「違うけど」

　もちろん即答だ。香織を彼女だなんて誤解されちゃたまらない。

「えーっ。彼女候補、でしょ？」

　香織は腰をくねらせながら、蛇のようにさらに絡みついてくる。勘弁してくれと思うものの、ここで波風を立てるのも得策ではない。

「へぇ。彼女でもないのに、結構うざいね」

　それは嘲笑だった。

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