第23話「転・天上院咲は勇者である」
『げえ!?
「よ! イフリート!」
「知ってるのかサキ?」
「何かボスがヒヨッたじぇえ♀」
実はカクカクシカジカで……。
『なるほど、話は大体解った。オーディン・ステラ・エイティーンと戦ったのだな。ならば私が本気を出してもお前の望む〝楽しさ〟は得られぬだろう』
「いやいや、そうじゃなくて今はデストロイちゃんのレベルアップを……!」
『しからば、お主等の世界のシステムで難易度を〈アンノウン〉にしてみてはどうだ? さすれば、本気の私とシステムの本気、両方味わえてニ度美味しいというものだろうて』
「いや、そういう話じゃなくて! 今はデストロイちゃんの戦闘を……! てか、私まで戦闘に参加したら考えてるヒマが無くない?」
「諦めろサキ、話が進まない」
《ビルドが、難易度アンノウンを設定しました!》
《神殺しのイフリートが勝負を仕掛けて来ました!》
「ねえ! 話聞いてる!?」
「ケケケケケ! わーい戦闘だー!」
そんなこんなで、戦闘が始まった。
『かあ! フレア!』
灼熱と業火の意志が全てを焼き尽くす……!
ビルドとデストロイがちょこちょこバトルをしている間。咲は咲のクライマックススキルを考える。
〈
つまりフィールドを自分の有利な環境に書き換えるというものだ。
「そして心象風景……」
そう、固有結界とは心象風景のことであり。その空間に何を絵描きたいか? で全ての構築が決まる。つまるところ、自分は〈何のために〉この心象風景を絵描いたのか? という動機づけが重要となってくる。
(私の望む心象風景は何だ? 消去法で行こう。まず軍勢はバツ、私は強い軍隊を作りたいわけじゃない。次に最強の攻撃力が欲しい? これもバツ。 私は最強に成りたいからこのゲームを遊んでいるわけじゃない。私は、私の信じるお姉ちゃんの面白いゲームを遊びたいだけだ……。 ! それか、イメージするのは常に最高にエンジョイできるゲーム……!)
骨組みは出来た。サキのテーマはこうだ。
「仮想世界の中に、〈更に理想の仮想世界を作るスキル〉! 最高にエンジョイできる空間! いや……逆だ!」
エンジョイしたいのにエンジョイできない狭間の葛藤を私は絵描きたい!
太鼓の達人でポップンを叩くような温度で世界を崩壊させてゆくような魑魅魍魎な世界観! ポン! ポン! ポポポン! 和ロック! ビートを上げて激しくポップに叩く! エイトビート! シュンシュンシュシュシュ! シュバババババン! ギュイーン! ヨオー!
「そう、エンジョイポップン太鼓音楽を最後まで聞き終わるまで終われない固有結界とか! ……出来た!」
〈
ギルド『放課後クラブ』、使用者『
効果情報。典型的な固有結界。この世界ではサキが支配者であり魑魅魍魎の魂が開放され、何でも出来るエンジョイ空間になる。内部空間は世界の崩壊から始まり、エイトビート。〈エンジョイポップン和ロック太鼓音楽〉を最後まで聞き終わるまで終われない。音楽は3分間で音楽が終わり、世界が再生されて終わる。サキがエンジョイできる展開であれば音楽と言うなの秒針は進み、サキがエンジョイできない展開では秒針は止まり、世界は止まり、音楽は止まり、世界は再生されない。曲が終われば世界は再生され、元の通常世界に戻る。どんなに世界が破壊されていようと、始点が崩壊から始まるこの固有結界は再生完了で曲が終わる。
まさにサキは世界を救ったエンジョイ勇者となる。
グワアアアアアアアアアアアアアアアアア!?!?
わけもわからずイフリートは吹き飛んだ。どうやらサキがイメージを膨らませただけでダメージを与えられたようである。
「どうよ! ポン! ポン! ポポポン! って!」
サキが自信満々に自分ルールを説明するが。
「つまり一言でいうと?」
「フィーバータイム♀」
小説内で、音楽を表現するってことか~。などとビルドは思った。
「ストレス貯まってて、太鼓をバンバカ叩きたいんだなって気持ちは伝わったかな」
「曲を聴いてる限りだと、こういうノリで盛り上がりたいんだって気持ちはくめたかな。気持ちだけ」
皆が乗れるかはそれはまた別問題だけど、魂を開放するような空間だということは良く解った。
というわけで、気持ち良くバッタンキューになったサキの姿があった。
「最高ー!」
満足できたようで何よりである。
《ビルド&デストロイ&サキで、イフリートを倒した!》
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