第39話 恐怖と興奮
俺が二人から離れると狼王が突進を仕掛けてきた!
「いきなりかよ!」
《アイスシールド!》
盾が突進を防いでいる間にその場を離れる。盾を直ぐに壊し俺に照準を向けてきた。
「怖さが増してきた...。」
怯えている間にも雷魔法の攻撃が飛んでくる!様々な方向からの攻撃にギョ!っとしていると周りに雷の盾が展開された!
「ザーガさん!どうも!」
二人のほうは見ずに礼を言い攻撃の外に逃げる!狼は二人には目もくれず俺を追ってきて、矢継ぎ早に雷の球の魔法で攻撃を仕掛けてきた!
《氷よ壁となれ アイスウォール!》
一瞬足を止め大地に手をつけ氷の壁を作り、魔法を防いで逃走を再開する。俺に標準が向いている間にもマスターが攻撃を与えている!闇や氷の魔法が狼に突き刺さり血を出させていて、攻撃が当たるたびに動きが鈍くなっているのがわかる。
「がぁぁぁぁぁ!」
それでもマスターには目もくれず俺に攻撃をしてくる!だが最初のようなコンビネーション攻撃はなくただがむしゃらに攻撃してきている。
「ぎゃおぉぉ!」
ときおり咆哮と共に雷が来るが自分の魔法とザーガさんの防御でなんとか逃げ切る!
(うまく動けてる!いいぞ、逃げれてる!)
そう思った次の瞬間、
《サンダーブラスト!!》
狼王が雷魔法を発動した!!その魔法は先ほどまでの乱雑ながら一直線に俺に向かってきた魔法とは明確に違った。口から放たれたそれは俺の目の前で爆発したのだ!
「ぐぁ!!」
いきなりの攻撃に対処が出来ず吹き飛ばされる!
「レイト!!」
マスターは狼に、ザーガさんは俺の方に向かってくるがそれよりも早く狼が動く!
《サンダークラッシュ!》
今度は狼の頭の上で雷が破裂する!破片となった雷は全方位にばら撒かれたが二人に近づいた破片は二人の近くで更に爆発し体制を崩す!
「急に、魔法を使ってきた!?」
「これは、ルプス様の得意魔法だ!!続けてくるぞ!!」
辛うじて防御したおかげでダメージはなかったが足を止めた二人に更に攻撃が襲う!
《サンダースラッシュ!》
右足で引っ掻く動作と共に雷の刃がそれぞれに向かう!
「くっ!ザーガさん、防御を!」
「わかっている!!」
《サンダーシールド!》
マスターは魔具の槍で、ザーガさんは魔法で防御を成功させるが自身の体は後ろに吹っ飛ばされてしまった!
「マスター!!ザーガさん!!」
二人の事を心配したのも束の間、狼が更に攻撃準備をしている!!
《氷の槍よ敵を穿け アイスランス!》
唯一使える攻撃魔法を使い少しでも気を引こうと狼を攻撃する!
「がぁぁ!!」
しかしその槍に意を介さずこちらを向く狼。そして右前足に何やら力をためている。
「なんか、やばそうな、気配...。」
「人間!!逃げろ!!」
ザーガさんの忠告虚しく狼の魔法が発動する!
《サンダークエイク!!》
魔力をためた足を地面に振り下ろすと足元の地面の中から雷が出てきた!地面を割る雷はドーム中央の狼から円を描くように広がってくる!恐らく後ろに逃げても雷からは逃げ切れないだろう。二人の援護も貰えそうにない距離だ。
「上だ!」
足に魔力を集中し、地面から跳ぼうとする!だが雷の方が早く地面を割り、思っていたのより斜めに跳び上がってしまった!
「うぉ!」
雷に驚いて自分の魔力の制御も上手くいかず力が籠もってしまい、思っていたのより高く上がってしまい、斜めに飛んだのも相まって狼の真上に来てしまった!
「にんげ、んんんん!!!!」
下では狼が口に雷を集中させてこちらを撃ち抜こうとしている!視界の端の二人は地面の雷に気を取られこちらを援護出来そうにない。
(これは。)
今までの何とかなりそうな空気とは一変し、明確な死の空気が俺を纏う!!血が全身に巡り、頭がぐるぐると回る。これは恐怖か、興奮か。
いまはまだわからない。
私はあなたの唯一(ひとり)じゃない @suirenmk2
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