第27話 種族と地割れ

5人は数の差をものともせずにオーク達に突っ込んでいく。見た感じアイリスさんとニーナさんは土属性の魔法を使えて、トライルさんとクロア君は目立った魔法を使ってないから多分身体強化魔法を主に使っているみたいだ。ドガァ!と土砂くぐれのような音。ドォン!と音がしたかと思うとそこにはクレーターが空いていた。


「せいやぁ!」


「はっはぁ!!」


一番槍のニーナさんやとても楽しそうなトライルさんを見ていると、自分とは違う種族なのだなと思ってしまう。


(自分がいやになるなー。昨日から粗探しばっかしてる。)


今なんかもマスターの後ろを追って戦いにあまり参加しないようにしている。オークが飛び掛かってきたときだけ氷の槍を出して防いでいる。さすがオーク、見た目通り力がとてつもなく強い!気を抜くと吹っ飛ばされる。しかしその間にマスターやトライルさんがオークを殺してくれる。そんな状況に目を奪われていると


「やあ。」


いきなりアイリスさんが目の前に来た。他の人たちがオークとの戦いに集中している、前に出ているマスターでさえアイリスさんがここに来たことに気付いていなさそう。


「びっくりしたぁ!どうしたんですか!?」


戦場ゆえのハイテンションのせいか声が大きくなる。


「いやいや、君が戦いに集中してなさそうだったからね。なにかためらっているのかい?」


「...えーと。」


「まあ、なにかあるなら主人に話すのが道理だよね。」


「そ、そうっすね。」


「姫には話せないようだね。なら」


そう言ってアイリスさんが自分の胸に手を当てた瞬間。


ドガァ!!!


と大きな鈍い音がして地響きがおこった!


「ちっ!こんな時に!」


トライルさんが吼える。


「やっぱり、頻度と大きさ上がっていってない!?」


大声で現状を話していくニーナさん達。何も無い時間と地響きが細かく交互に襲ってくる。オーク達はその不規則さに戸惑って立ち止まっている個体が多い。マスター達はその隙を狙って次々と倒していっている。俺はというと、


「おっと、っと。わぁ!」


地響きが強すぎて転げまわっていた。先ほどの大樹に寄って地面から出ている巨大な根っこに摑まっている。


「震度いくつだよこれ!」


地響きが止み、この場の全員が一息ついたところで、


ドォン!


と爆発のような地鳴りが起きたと思ったら、


「へぇ??」


俺の足元が無くなった。

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