第26話 地震と気配

城を出てかなり歩いた。昨日いたところよりも遠くかもしれない。城の近くは比較的平坦だったが、ここらへんは少し起伏があり遠くには山もちらほら見えている。もしかしたら標高が高いところまで来ているのかもしれない...ていうかビルみたいな登れる高い建物がなくて、でかい木が多いから周囲の様子があまりわからない。


「ここら辺にいるはずだ。」


「今日の目的もオークですよね?」


「ああ、そうだとも。昨日と同様魔獣となったオーク達だ。」


「昨日は大変だったぜ。オークのやつら結構手強くてなぁ。まあ最後には皆ぶっ飛ばしてやったけどな!」


チクリ。と胸の奥が痛くなった。オーク達を皆殺しにしたのだろう。この世界ではそれが当たり前なのだ。身にかかる火の粉を払うために敵を殺す。元の世界では考えられなかった考え方。そんな事を考えていると地面が揺れ始めた。多分震度2くらいだ。しばらく揺れて収まった。


「今のが話の?」


「ああそうだ。だれも土属性や大規模な魔法は使っていないのに頻繁に起きててな。少し警戒してるんだ。」


「普通の地震とはなにか違うんですか?」


地震大国の日本住みからすると小さい地震で騒ぐのは少し違和感があった。


「それが通常の地響きとは違うんだ。表現が難しいんだが、普通の地響きは地面が揺れていて、最近の地響きは地面の中で何かが爆発している感じというか。まあそんな感じだ。」


よくわからん。感覚が俺とは違うのかな?次に地震がきたときはちょっとしっかり感じてみよう。


「さて、そろそろオークがいると思われるところなんだが...。」


「いるな。」


周りを見渡してもオークは見えない。


「ど、どこに?」


「向こう、だよ。」


クロア君が指さした方には一際大きな木があり、その向こう側が見えない。


「両側から行きましょうか。」


「了解した。私が合図するから同時にしかけよう。ニーナとクロアは私と一緒に。トライルは姫と行くように。」


「おう!よろしくな!二人とも!」


良い笑顔でこっちを見てくるトライルさん。多分8割マスターに向けている。アイリスさん達と別れて大樹の左側に行く。合図って別れるのにどうやって?考えつつも二人についていく。左のきわに着き向こう側を見てみると、


「うわぁ。多い。」


総勢100人くらいはいるオーク。体格が大きいせいか人数以上の圧を感じる。動いているのは少ないが全員目が血走っている。


「離れないでね。」


マスターが小さくそういった瞬間、木の反対側から轟音が聞こえてくると同時に土が盛り上がって波のように地面がオークを襲った!


「わかりやすい合図ですね。」


「よっしゃあ!いくぜ!」


二人が飛び出したので遅れないように続く!

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