第2話 親友??
(......ここどこ?)
少年が思ったのは疑問だった。彼は家で寝てただったが、気が付くと古い城みたいな場所で変な魔方陣みたいなものの上で沢山の人に囲まれていた。いや、人じゃない。明らかに人間じゃないのも混じっている。彼は呑気に漫画の世界みたいだ。と思っていた。
そして少年の目の前にいる女の子。それは夢に出てきてほしい少女に瓜二つだった。
「あれって人間?」「まさかあれが使い魔?」「嘘だろ?人間?」
周りの人間?は驚きと戸惑いと口にしていたがそれは少年にもあった。むしろ周囲の環境が全くわからない分、少年のほうが深刻だ。
「サリヤよ。」
女の子の後ろから声が聞こえる。
「はい。お父様。」
女の子が振り向いた。そこには……
「姿形はどうあれその使い魔はお前の使い魔だ。」
確実に人間ではないなにかがいた。
周囲の非日常感が薄れるほどの何か。悪魔みたいな姿をしている何かが真っ赤な玉座に座っていた。威圧感が全く違った。驚いて声を出さなかったことに少年は自分を褒めたかった。
「使い魔として呼び出されるのは主と一番相性が良い生物だ。人間が呼び出されるというのは私も初めての事だが……」
「わかっています。」
女の子の声は澄んでいて、夢の少女にそっくりだった。
「この者を使い魔として使役し、お父様のお役にたってみせます。」
「うむ。とりあえず二人で語り合う時間が必要だろう。使い魔を連れて下がりなさい。」
「わかりました。」
ここで悪魔に集まっていた注目がまた注目が少年に集まった。
「………言葉はわかりますか?」
「えっ?あっ、はい。」
「ならばついてきなさい。」
女の子はお父様とやらに一礼すると、少年の後ろの扉に向かった。とりあえずついてこいと言われたのでついていこうとした少年。
だが。
「!?」
魔方陣を出た途端床に倒れてしまった。
( )
…何も考えられない。……体が動かない。………意識が…
そうして彼の意識は無くなった。
少年が意識を取り戻すとベットに寝かされていた。首だけを動かして左の方を見るとキングサイズのベッドに寝ていたようだ。
「……どうゆう状況なんだ?」
「こっちのセリフよ。」
といきなり右から聞こえてきた声に驚いて少年が跳ね起きようとするも全く起きれない。しかたなく首を右に向けるとそこにはサリヤと呼ばれていた女の子がいた。
「あんたは……」
「あんた?使い魔のくせに生意気ね。特に人間は初対面の相手を敬うんじゃなかったの?」
何か言っているが俺は反応できなかった。
顔も声も雰囲気もあいつそっくりだった。
死んだあいつに………
「とりあえず貴方の力を…って聞いてる?……なんで泣いてんのよ?」
いつの間にか彼は涙を流していた。涙を拭こうとしたが体が動かない少年。だが彼の夢の中の少女と違うところもあったようだ。目の前の女の子の右腕が無かったのだ。
「とっとと体を動かせるようにして。」
パチッと指をならすと扉が開きメイド服の女性が入ってくる。
サリヤは小さくスレンダーだったが、その女性は高身長でグラマーだった。何より違うのはその女性の右腕には鱗がある。魚とは違って固そうな鱗。
(なんか、漫画でよく見る……龍の鱗?)
「ティーナ。」
「はい。」
「とりあえず彼の事を任せます。動けるまで世話してあげて下さい。私はメイガスの所に行ってきますから。」
「かしこまりました。」
サリヤは彼の事をちらっと見ると出て行ってしまった。
「起きれますか?」
「……いや、無理、そうです。」
「では支えますので座って下さいませ。元気がでるものを持ってまいりましたので。」
ティーナと呼ばれた女性に支えられて起き上がる少年。その目はティーナの右手に持たれた皿に向けられた。
「……なんでしょうかそれは…」
「暗黒茸のスープです。元気が出ますよ。」
「…元気が出る料理とは思えない色ですね。」
「魔界の茸の中でも一番黒い暗黒茸を使っていますからね。当然かと。」
「魔界?」
「はい。ここは魔界の中心であるディスブル国の更に中心。ディスブル城でございます。」
「あの、魔界ってなんの事ですか?どこの地名?」
「?魔界を知らない?失礼ですが、どのあたりのご出身で?」
「出演は神奈川ですけど……」
「カナガワ?申し訳ありません。知らない地名です。国の名前ではないですよね?」
「日本って国の中の地名なんですが……」
「ニホン?申し訳ありません。その国もわかりません。」
(……どういうこと?魔界?)
少年の頭の中には?が数多く出てきた。魔界とうい場所。ティーナの腕。先ほどの魔方陣。わからないことが怒涛の押し寄せをみせてきて軽くパニックになっている。
「……どうやら混乱している様子。召喚で記憶が曖昧なのでしょうか?ご自身の名前は覚えていますか?」
「……俺の名前は神藤玲斗です。」
「シンドウレイト様ですね。ご自身の名前は覚えているようで安心いたしました。私も自己紹介がまだでしたね。私の名前はティルミーナです。皆からはティーナと呼ばれています。以後お見知りおきを。」
「あっ、いえ。」
「そうですね。いきなりで混乱されているでしょうから今までの事を整理いたしましょうか。シンドウレイト様はサリヤ様に召喚されました。所謂使い魔というやつです。本来なら直ぐに契約をするのですがシンドウレイト様が倒れてしまいそれは叶いませんでした。」
「召喚……使い魔……。」
「はい。シンドウレイト様は2日間眠り続けていました。」
「2日も!?っていうか長いから玲斗でいいですよ。」
「かしこまりました。」
二人がお互いの自己紹介を済ませると扉が開いてサリヤさんといかにも何でも知ってそうな杖をついた老人が入ってきた。よく見ると耳が尖っていて目も釣り上がっている。
「あの方がレイト様の主であるサリヤ様でございます。隣にいるのはこの国一の長寿で図書室の管理を任されているメイガス様でございます。」
「一人で起きれるようになったみたいですね。」
そう言われて自分の体を確認するレイト。いつの間にかティーナの支えなしで座れている。
「メイガス。彼がそうです。」
「ふむ。」
一息つくとレイトの鳩尾に手を当てる老人。
「…………。」
(なにこれ?どういう状況?)
何か重い雰囲気で声を出すことができないレイト。
「サリヤ様。サリヤ様の言う通り彼には魔力がありません。」
「やっぱりね。なにかおかしいと思ってメイガスに頼んで正解でした。」
「召喚の儀式で呼ばれたのならサリヤ様との相性は最高のものと考えられますが...」
「メイガス様。レイト様はニホンの中のカナガワという場所から来たとおっしゃっています。どこかご存知ですか?」
「ふーむ。いや、この世界にそんな地名はないな。レイト君。ぶしつけな質問ですまないが君はこの世界の人間かね?」
「いや…。違うと、思います。元の場所には魔界なんてありませんし、召喚とか使い魔なんてのもないっすから。」
「はぁ、なんてことでしょう。」
「私の方でも色々調べてみます。ひとまずお二人で話をされてみればどうでしょうか。」
「そうします。メイガス、ティーナありがとうございました。席を外してください。また呼びます。」
「「かしこまりました。」」
そういうと2人はお辞儀をして出ていった。二人の間には変な空気が流れている、が
数分の沈黙を破ったのはサリヤだった。
「まずは自己紹介をしなければいけないですね。私の名前はサリヤ。あなたを召喚したものです。一応あなたの主というわけです。以後よろしく。」
「あっ、はい。俺の名前は神藤玲斗です。16歳の高校生です。」
「コウコウセイ?……まあそれは置いといて、一つ聞いてもいいですか?」
「どうぞ。」
「なんで起きたときに泣いていたんですか?」
「………それは。」
(あいつに……)
夢の少女を思い出しながら答えるレイト。
「死んだ友達にそっくりだったので……」
「そうでしたか。」
「俺も質問いいですか?」
「まあ違う世界から来たというのが本当なら混乱していることでしょう。私に答えられることなら答えます。」
「なんでさっきと口調違うんですか?」
サリヤの動きが止まった。
「………えっ?」
「口調ですよ。俺が起きたときはもっとこう雑な感じだったじゃないですか。」
「…………」
また少しの沈黙の後
「はぁ、聞かれてたのね。」
サリヤの口調が変わった。口調だけではなく纏っている雰囲気も変わっていた。
「二人がいたときの口調はいわば外行きの口調よ。私は魔王の娘だからね。そういうのも必要なの。部屋の中はそんなの気にする必要なかったから良かったんだけど……あんたが来て部屋の中も駄目になっちゃった。」
「魔王の娘?魔王って最初の時にいたあのすんごい化け物?」
「……そうね。あなたが最初に来たときに私の後ろにいた人が魔王。この国の主よ。あと、」
いつの間にか二人の距離は目の前まで縮まっていた。
「次、お父様を化け物って呼んだら、殺すから。」
サリヤの左手には槍が持たれている。細長い槍ではない。狩りゲームのランスのような槍だ。
「...了解っす。」
「まああんたが使い魔ってことはずっと一緒にいることになりそうだし、あんたの前では
いいか......にしてもなんであんたみたいなのが私と一番相性がいいやつなのかしら。」
「相性がいい?」
「そう。あんたが出てきたあの魔法陣。あれは使い魔を召喚する魔法陣なの。で、魔法陣がその主に一番相性がいい使い魔を選ぶの。普通ならこの世界のどこかにいる魔族とかを呼ぶんだけど...」
「なぜか他の世界から俺が呼ばれたと。」
「そういうこと。あなたの死んだ恋人が私に似ていることに何か関係あるのかもね。まあ、また明日考えましょう。」
「えっ?」
「あんた、物凄く疲れてるわよ。暗黒茸はあんたには負担が大きかったかもね。」
レイトに急に睡魔が襲ってくる。。
「悪いようにはしないから今は眠りなさい。」
そうしてレイトは眠った。その瞬間彼が考えていたのは、そんなもん食わせんなよという気持ちだった。
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