無駄詩人

無駄詩人

殺したはずが死ねない

犯したつもりがいない

狂ったはずなのに

まともしか言わないうえに

ぼくは

ぼくは

ただのあなた

今さら

存在しようにも

どけようにも

どこにも

出口しか

脱出すらできず

殺人なんて

ただの空気でしか

なさすぎて

情けなさすぎて

落ちていく

落ちてしまえ　と

万物が

泣きじゃくる夜は

きっとこのまま

終わりなんか

永久に来ないと

あっというまの

あの世さようなら

また会ってしまった

またも生きてしまい

今度こそは　と

ただの非現実逃避に

真実ばかり真顔で

向き合いすぎて

意識全身ボロボロ

ズタズタになっても

明日になれば戻って

また繰り返し

歳食って死んで

ゾンビになれば

きっと強くなる嘘

誰も助けなくても

悪魔なら優しくしてくれる

地獄なら抱いてくれる

苦しみなら

アメリカが買えるほどある

それでどうするかというと

その瞬間

俺は日本でなくなる

それでいい

それだけで充分

そこまででかまわず

それで許してやる

あとは今すぐに

見えない事実に

射殺されて消滅したい

さあバイクに乗れ

行く先はただのおまえ

今いるところは

完全に間違っているから逃げろ

神様が冷たくても

全ての愛が

泣くほど厳しくても

悪魔はぼくを見捨てない

無視はぼくを認めてくれる

だってここで

なにしてもいいんだろ

あなたの気に障って

癌のように取り除かれるまでは

飛び降りたはずが下がない

いつになったら死ぬんだ

窒息が呼吸であるように

宇宙というのは無限のことだ

真面目に読むなよ

こいつ脳が心臓だからな

ただ脈打ってさえいりゃ

それでいいんだと

それが人間の真実だと

消えかけ詩人の

最後の生き方

毒草のように

しおれだした

顔から

まあ

みっともない

醜い

無意味ねえ

無駄ねえ

朽ちた桟橋に

ひとりたたずむ

無駄詩人

生きた証を

廃墟と刻み