episode.42-2

おもわずお出迎え激アツ系居酒屋のように(心の中で)返事してしまったが、いやいや、待って?


イチャラブし放題とか、解禁して大丈夫?

そもそも私とクラウス様のイチャラブについての見解ってちゃんと一致してる?


そこからして多いに疑問なのですが……。


私的イチャラブって、ほら、放課後デートとか?

あと、ク、クリスマス……ディナー?(発想が貧困)


ん?あと何があったっけ?

カラオケデート?映画館?

ハッ!河川敷を手繋ぎ下校っ!(発想が古い)


と、とにかくね、そんな感じの、こう、健全で甘酸っぱいっていうか……。


決してっ!艶っぽい芳醇なやつじゃなくて〜っ!


身を寄せてくるクラウス様をぐぐっと押し返しながら(いや、びくともしないけど)涙目で見上げた。


「あの……確認なのですが………。

クラウス様はイチャラブをどのように認識されていますか?」


恐る恐る確認してみると、クラウス様は口角を楽しそうに上げ、妖しく微笑んだ。


「四六時中、服は着なくて良いって事だよね?」


ち、ち、違ぁ〜うっ!!


ふ、服は着てっ!

私も着たいなぁ、服っ!

ぶ、文化人だもんっ!


「違うの?」


クラウス様が残念そうに眉を下げて首を傾げる。


「ち、違いますっ!そ、そんな意味では……っ!

えっと、もっとこう、仲睦まじい様子というか、お付き合いしている男女の微笑ましい光景と言いますか……」


しどろもどろに説明していると、急にクラウス様が片目を押さえて、ウッと前屈みになり、荒い息を吐いて苦しみ出したっ!


「ク、クラウス様っ!どうしたのですかっ⁈」


慌ててその顔を覗き込むと、クラウス様は苦しそうに片目を強く押さえている。


「……俺の封印されし、邪眼が……急に疼き出して……くっ、危険だ、キティ……。

俺から離れて……」


そ、そんなっ!

これも闇属性の特質なのっ⁈

クラウス様の片目が邪眼だったなんてっ!

リアルにあるのねっ!邪眼っ!


どうしたら良いのか分からずオロオロしながら、とにかくクラウス様の背中をさすってみる。


「わ、私に何か出来る事はありませんかっ?」


苦しむクラウス様の顔を覗き込むが、両手で覆ってしまっているのでよく見えない。


「くっ、すまない、キティ……。

それじゃあ、一つ頼んでも良いかな?」


苦しそうに肩で息をしながら、クラウス様が少しだけ顔を上げた。

荒い吐息が、エロ……いや、エロっぽい……(言い直せていない)って!

そんな事考えている場合じゃなくてっ!


自分にも何か出来る事がありそうで、意気込んで強く頷いた。


「はいっ!何でも仰って下さいっ!」


自分でも気付かないうちに、パワーワード『何でも』を唱えてしまっていた……。


クラウス様の手で隠された唇がニヤリと動いた事にも気付かない。


「ありがとう……。

それじゃあ、キティからキスして欲しい……。

口に……」


「は、はいっ!」


ゆっくり顔を上げ、顔を覆う手を片方外すクラウス様。

片目はやはりまだ押さえたままだ。


そっと顔を寄せて、その唇に触れるだけの口付けをした。


「ど、どうでしょうか?」


ゴクリと息を飲んで尋ねると、クラウス様は哀しそうに首を振った。


「まだ、治まりそうにない……。

悪いけど、もっと深く口付けて欲しい」


そう言うとクラウス様は片腕でヒョイっと私を抱き上げ、自分の膝の上に座らせた。

クラウス様の膝を跨ぐ格好で向かい合う。


私はとにかくクラウス様を苦しみから救いたい一心で、その唇に口付けた。


「もっと、舌も絡ませて……」


「ふぁ……ふぁい……」


クラウス様の指示通り、自分なりに頑張ってみる。


舌をクラウス様の口内に滑り込ませ、そこにあるクラウス様の舌と絡ませた。

いつも自分がされるように、角度を変えて、徐々に深く口付けてゆく。


私の辿々しい口付けを味わうように受け止めていたクラウス様が、急に身体を起こし被さってきた。


腰を優しく掴んでいた手で、ギュッとお尻を掴まれて、舌をジュッと強く吸われた。


それだけでピリピリと甘い疼きが身体中を駆け巡る。


「はっ、ふぁっ、クラウスさまぁ……」


何度も角度を変えて深く口付けされる。

舌と舌を絡ませて、たまに強く吸われた。


クラウス様の手がスルッと降りてきて、寝着の上から親指の腹で胸の先を撫でられ、ピクッと身体が震える。


「はぁっ、んっ、あっ、クラウス様っ!」


ガバッと身体を離してクラウス様の顔を見ると、その瞳はいつも通りの美しいスカイブルー…………何の変化も無かった。


「ク、クラウス様……?」


ワナワナと震えてその目を指差すと、クラウス様は悪びれもせず、ケロっとしている。


「キティのお陰で、治ったかな?」


なっ、なっ、なっ、な訳あるかーーーーっ!

騙されたっ⁈

悔しいーーーっ!


怒りにプルプル震えている私の胸に、クラウス様がカプッと噛み付いた。


「きゃっ!ク、クラウス様っ!な、何を……あんっ」


舌で先を舐められ、甘い声を漏らしてしまった。


ちょっと、怒ってるんだからっ!

駄目だってばっ!


グググ〜っとクラウス様の肩を押してみるが、やっぱりびくともしないっ!


その間にも、寝着の上からそこを舐め回される。


「あっ!あんっ、やっ、ちょっ、クラウス様っ!」


もう片方を指で摘まれ強めに痛ぶられ、私は身体を仰け反らせた。

快楽がじわりと身体に駆け巡り、下半身が疼きだす。


クラウス様に寝着を優しく脱がされ、霰もない姿になっても、羞恥よりこれから与えられる快楽への期待の方が上回っていた。


クラウス様は纏うものの無くなった私の素肌を大きな手で撫でていく。


肩や首や鎖骨をクラウス様の手で撫でられる度に身体がピクリと震えた。


身体が徐々に火照っていくと同時に、目が潤み、頬が赤く染まる。


クラウス様の手が胸を包み、優しく揉まれると、胸の先にあるものが硬く尖ってクラウス様を求める。


それに答えるようにクラウス様がそれを摘むと、電流が走ったように身体がビクビクと震えた。


「ごめんね、キティ。

キティに拒絶されたらどうしようかと、本気で怖かったんだ……。

だから、まさかキティに闇の力を抑える為にイチャラブしましょうなんて言われるとは思ってなくて。

嬉しくて、ちょっとはしゃいじゃった。

照れ隠しもあるかな」


て、照れ隠しにしては、迫真の演技でしたよっ!邪眼っ!

クラウス様ならあり得ると思って、まんまと騙されましたっ!邪眼っ!


クラウス様が愛おしそうに私を見つめる。

その瞳の奥が本当に嬉しそうだったので、色々言いたい事はあったけど、何だかどうでも良くなってしまった。


クラウス様の顔が近づいてきたので、少し顔を傾けて口付けを受け入れた。

いつの間にか、クラウス様のキスを受け入れる呼吸が身体に染み込まれてしまっている。


音を立て何度も角度を変えて舌を吸われる。

必死にそれに応えていると、上顎を舌でなぞられ、甘い痺れが脳を揺らした。


深く口付けながら、胸の硬くなった場所を親指の腹で撫でられ、口付けの合間に甘い声を漏らした。


「ふぁっ、んんっ、あっ、あふっ」


その場所を指で摘まれ虐められていると、快感が下腹部まで降りてきて、無意識に腰をクラウス様の膝に擦り付けてしまった。


「気持ち良さそうだね、キティ。

ここ、凄く硬くなってる、ほら」


更に刺激されると、甘い嬌声を上げて身体がしなる。

クラウス様の顔が胸に近づき、腫れ上がるように硬くなった場所を舌で舐られると、ゾクゾクとした快感が背中を伝った。


クラウス様の手が下着の中に差し込まれ、クラウス様はその先にあるものに嬉しそうにその目を細めた。


「ああ、凄い。キティ、もうこんなになって……。

いやらしい子だね、どこで覚えてきたの?」


意地悪に笑うクラウス様を、頬を蒸気させて涙目で睨み返した。


「こ、んなことっ、んっ、ク、ラウス様、だけっ……クラウス様が全部、私の、身体に、教え込ませたんですっ!」


身を捩って与えられる快楽から逃れようとすると、もう片方の手で腰をガッチリ掴まれ、身じろぎも出来なくなる。


クラウス様の指に翻弄されながら、私はその肩にしがみ付いて、ガタガタと身体を震わせた。


逃れられない強い刺激が、熱になって身体中を蠢く。


「キティ、ベッドで俺とイチャラブしたくない?」


スリスリと腰を擦り付けられると、もう頭がフワフワして正常な判断など出来ない。


「……はい、したいです……」


身体がどうしようも無く疼いて、口が勝手にそう動いた。


クラウス様は満足そうに頷いて、私を抱き上げ、ベットルームに向かう。


「し放題、ね?」


あざと可愛く小首を傾げるクラウス様に、あっ、それは……ちょっと……っと頭に浮かんだ言葉は、何故か喉の奥に飲み込まれて消えてしまった………。



クラウス様は寝室のベッドに優しく私を横たえると、スルスルと残った下着も取り払った。

そして、自分の寝着も素早く脱ぎ捨てるとギシッとベッドに上がってくる。


胸の鼓動が聞こえてしまうんじゃないかというくらいに、ドキドキと高鳴る。


裸のクラウス様の美しい肢体が、ゆっくりと私の身体に被さり、そのまま口付けられる。


「ふっ、ふぁっ、んんっ」


深く口付けながら、クラウス様の手が身体中を弄ってゆく。

太腿を優しく撫でられて、ピクンと身体が反応してしまった。


ゆっくりと唇は離れたけれど、銀の糸がまだ二人の唇を繋いでいた。


クラウス様は音を立てながら私の身体の至る所に口付けてゆく。

その度に身体が揺れる。


「ねぇ、昼間言った事を覚えてる?

キティをトロトロに溶かして、頭から爪の先まで愛したいって言った事。

キティには、変態って怒られちゃったけど」


ふふっと嬉しそうにクラウス様は頬を染めた。


「今夜は、いや、今夜だけで無く、俺はキティを頭から爪先まで愛し続けるから、覚悟してね?」


そう言ってクラウス様は私の身体の至る所に舌を這わせていった。


「んっ、あぁっ、はぁっ、んっ」


私は羞恥と快楽の狭間で、どうすればいいのか分からず、敷布をギュッと握って、ただただ甘い嬌声を上げ続ける。


クラウス様から与えられる快楽が身体中を駆け巡り、脳が溶けてしまったかのようにもう何も考えられない。

ただクラウス様だけに反応して霰もない嬌声を上げ続けた。


「いい?キティ………?」


少し蒸気した熱っぽい瞳で見つめら、私は真っ赤になって頷くしか出来なかった。


クラウス様の熱いものが押し当てられ、ゆっくりと私の中に侵ってくる。

初めて抱き合ったあの日から、毎晩のように求められ、まるで最初からクラウス様だけのものだったかのように、そこはすんなりとクラウス様を受け入れていく。


「……あっ、んっ、クラウス、さまぁ……」


深く繋がった瞬間、胸の奥から愛しくて切ないものが込み上げ、私はクラウス様に両手を広げた。

クラウス様はすぐにそれに応えてくれ、そんな私を強く胸の中に抱きしめた。


………まるで、クラウス様という檻の中に閉じ込めてしまうように………。


クラウス様という名の鳥籠になら、私は喜んで囚われていられると思う………。

それでクラウス様が安心出来ると言うなら、私はそこにいる。


きっと、クラウス様の持つ闇属性の力は本当はもっと恐ろしいものなのかもしれない。

クラウス様がずっと私にその力を隠してきたのは………怯えていたから、だと思う。


その力を恐れた私が離れていってしまうのではないかと、怯えていたんだわ………。



だけど私はそんな力を恐れてクラウス様から離れたりしない、絶対っ!


だってむしろ、クラウス様だもんっ、それくらいの力普通に使えて当然、くらいに思ってるもんねっ!

なんなら今までの色々、クラウス様のヤンデレっぽいアレコレに合点がいったわっ!て感じ。


クラウス様に私という執着対象が必要なら、私はこの先絶対にクラウス様から離れたりしない。

なんならちょっと興味失ってきたわ〜ってなっても頭から齧り付いて離さないもんねっ!


最初はクラウス様から逃げ惑っといて、調子良すぎるかもしれないけど、でもこれが今の私のたった一つの答え。


クラウス様がクラウス様のままでいられるなら。

全てを失って魔族になんか堕ちてしまわないように。

私はもう嫌というほどクラウス様の側にいて離れない。


優しいクラウス様が、私の自由を奪わないようにと自分の檻に閉じ込められないというなら、自らその檻に入ってなんなら中から鍵までしてやるわ。


私の自由は、誰よりもクラウス様の側にいて、大好き沼な推しを1番近くで推す事っ!

それさえ許されるなら、檻だろうと鳥籠だろうと、そこは私のフリーダムパラダイス。




クラウス様に激しく抱かれながら、私は知らずに目尻から涙を流した。


クラウス様がここにただ存在していてくれる事が尊くて。

私と深く繋がってくれている事が切ないくらいに愛しくて………。


ただ、クラウス様を愛してる。

深く深く、魂に刻み込まれているかのように……。


貴方だけを………。



「……クラウス、さま……愛しています……」


その背中に精一杯手を回して、ギュッと抱きつき呟くと、クラウス様の身体がピクリと揺れて、息が止まるほど強く抱きしめられた。


「愛している、キティ、君を………。

俺には君だけなんだ、君さえいれば良い、君しか要らない。

キティ、キティ、愛しているっ」


まるで堰を切ったかのようにクラウス様は愛していると繰り返し、激しく私を揺さぶった。


快楽とクラウス様への愛しさが胸いっぱいに溢れ出し、私は無我夢中でその激しさを受け止め続けた。


クラウス様を愛する事、愛される事。

私だって、それだけあれば良い。


狂ったような愛情も、私達は似たもの同士だもの。

ただ側にいるだけで、こんなに胸がいっぱいで、こんなに幸せなんだもん。



貴方が私を求めるなら、私はいくらでも私を差し出す。


それ以上に私が貴方を求めてきた事、求め続けている事をいつか貴方は知るでしょう。

その時、クラウス様はどんな顔をするのかな?


どうかその表情が満ち足りた幸せなものでありますように………。


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