少女inおっさん 第3話 おっさんウィザード(3)

 ミーナが楽しそうに男達の持ち物を物色した後、荒れ果てたコンビニの店内にて。


 そんなミーナの様子を見ていたワゴンセールが肩を落としながら告げる。


「どうやら、ミーナの魔導核から、送られてくる情報は、事実みたいだな。百年も前に、文明が滅びていたのか。どこのサーバーに、アクセスしても、繋がらないし、周辺環境の、ステータスが、めちゃくちゃな値を示しているから、当機の故障だと、思っていたんだが……。世界の方が、先に故障していたのでは、世話がない」


 ゴーレムのユーザーになるということは、魔導核をリンクさせるということなのだが、そこから得た情報がおかしい事になっていたのも、ワゴンセールが自らの故障を疑う要因となっていたのだ。


「ほほう、中々良い感じのAIを積んで居るみたいだな。【書換】リライトしても事実を理解すると、暴走を再開する奴もいて厄介なんだが」

『危なかったの!?』


「発狂するモノも、出てくるだろうな。我らは、人間そっくりに、作られすぎた」

『ワゴンセールさん……』


 深刻そうなワゴンセールの横を通り過ぎたミーナは、両断された女性型ゴーレムを指さしながら依頼する。


「はっはっは! 考えていても始まらないし、約束通りに修理場所に連れて行ってやるよ! コイツもついでに連れて行ってやろうぜ。綺麗に両断されているから、きっと魔導核は無事だ。女性型のゴーレムは胸や頭部に魔導核があるのが相場だしよぉ!」

『こんな事になっていても直せるの!?』


「そうだな。赤さびの浮いた体では、少々恥ずかしい、というものだ。期待しても、良いのか?」


「おうよ! 中々の収穫が集まったからな! 釣った獲物はショボかったが、コンビニが全然荒らされていないからビックリしたぜ! 大漁だ!」

『たくさんのお宝なの!』


 ミーナの懐には大量の魔道具が入っており、ニッコニコだ。

 その様子に二分割されてしまっているゴーレムを丁寧に持ったワゴンセールは、ちょっと引き気味で返答する。


「持ち主の、居なくなった、モノを漁る、探索者か。昔なら、法に引っかかったの、だろうが……」


「法なんて無いぞ! 俺様を守ってくれるのは俺様だけだぜ! 自助努力ぅ! ですかね! ガハハ!」

『じじょどりょく! 何だか素敵な響きなの!』


 爆笑するミーナはうめき声を上げる元オオカミたちを足蹴にしながら放置し、荒れ果てたコンビニから立ち去る。

 その後を両断された女性型ゴーレムを慎重に持つ鉄錆の浮いたゴーレムが続いた。


 荒廃とした有様の店内は、ミーナが来たときより更に荒れ果て、音声を出す魔道具の代わりに元オオカミたちのうめき声の響く、大して価値のない場所となった。


 彼女の『釣り』はともかくとして探索自体は大成功である。

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