第8話 変態、気絶する

 アリアルーナさんの紐パン姿を思い浮かべ、俺の鼓動は激しくなるばかり。こんなに時間が過ぎるのが遅く感じる事はなかなかない。


 俺はドアのすぐそばで、床に這いつくばり待機する。


 ドアが開く。



「……………」



 アリアルーナさんは一瞬『ギョッ』とし、無言で床に這いつくばった俺を見下す。


 俺はすかさず後ろに回り込み、下からお尻を見上げる。



(ええのう~、ええのう!!)



 俺は歓喜に打ち震え、アリアルーナさんの足元からふくらはぎ、そしてふとももからお尻へと、何度も視線を移動させ楽しむ。


 特に下から見上げるお尻は圧巻であった。尻肉が重力に負けていないのだ。鍛え上げられたお尻は『プリプリ』の『パツンパツン』で、俺の目を釘付けにした。



「…ツバサ殿、なぜ床に這いつくばっているのですか?」


「お構いなく。俺は下からお尻を見上げる、このアングルが好きなんですよ!!」



 俺はできるだけ爽やかに答えるが、アリアルーナさんは明らかに嫌悪感を出している。まあ、仕方が無い。理解はできる。


 そんな床に這いつくばっている俺から逃れるように、アリアルーナさんは素早く移動をする。



(絶対に逃すまいぞ!!お尻様!!)



 俺も素早く、ほふく前進で追っていく。



(あぁ…何と美しいお尻か。歩いても、形が崩れていない。素晴らしい!!)



 しかし…



 アリアルーナさんはソファに座ってしまった。しかも、両足をしっかり閉じている。



(こ、これでは…何も…見えないぞ)



 俺は絶望感で一杯になってしまったが、すぐに頭を切り替える。何とかアリアルーナさんと交渉をして、M字開脚をしてもらえないかと考えるのであった。


 まずは、シンプルにお願いをしてみる。



「アリアルーナさん、M字開脚をしてもらえませんか?」


「エ、M字開脚とは?」



 なんと!?異世界にはM字開脚が普及していない!?



(一体、この世界の男どもは何をしているのだ!!)



 俺は怒りに打ち震える。


 仕方が無いので、俺は自分でM字開脚をして見せた。



「!?」



 アリアルーナさんが目を丸くして驚き、綺麗なお顔が真っ赤になった。



「こんな紐みたいなパンツを穿いているのですよ!!。そ、そんな格好をしたら、私の女性の部分が丸見えになってしまうではありませんか!!」



 俺は当然の様に猛抗議を受ける。アリアルーナさんのおみ足は、さらに強固に閉じられてしまうという結果になってしまった。



(ぐぅっ!?正論だけに反論できない…。でも、このままでは惜しい…惜しすぎる。何とか他に良い手は無いものか…)



 俺は不純な動機をフル回転させ、次の一手を考える。



「アリアルーナさん…異世界の…」


「アリアでいいわよ。長くて面倒でしょう」



 俺はアリアさんが愛称呼びを許してくれたので、少しだけ心を許してくれたのかと思った。しかし、これだけではM字開脚はしてくれないだろうと思い、更なる提案をする事にした。



「はい。アリアさん、異世界の食べ物か飲み物はいかがですか?」


「えっ!?…できるなら…お酒が飲みたい…です」


「お酒が好きなんですか?」


「あまり美味しいとは思った事がありませんが、こんな格好、酔わないとしていられません!!」


「あぁ…そういう事ですか」



 俺はアリアさんのいう事も一理あると思い、お酒を作る事にした。


 麦酒、日本酒、火酒、焼酎、葡萄酒などなど、何を作ろうかと頭で思い浮かべる。



「よしっ!!葡萄酒!!」



 俺は日常的に良く飲んでいた3000円位のワインを思い浮かべる。都合の良い事に、ワイングラスまで付いて製作に成功した。


 アリアさんにグラスを渡し、俺はソムリエの様に格好をつけてワインを注ぐ。



「凄くいい香りね!!」



 俺はアリアさんがワインに気を取られていて、脚が緩んだ事を見逃さない。期待に胸を膨らませる。



「ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ!!」



 なかなかの飲みっぷり。アリアさんは一気にグラスを空にした。



「美味しい!!凄く美味しいわ!!」



 目を輝かせ、ワインの味を絶賛する。そして空のグラスを俺の前に出す。



「どんどん飲んでください!!」



 俺はアリアさんの脚が緩むのを期待して、グラスにワインをどんどん注いでいく。



「プハァ~!!本当に美味しい。異世界ワイン、気に入ったわ!!」



 かなり速いペースで飲んだため、アリアさんはすでに出来上がっている。固く閉じられていた脚も、いつの間にか緩んでいる。作戦は大成功である。


 アリアさんはワインを堪能し、俺はアリアさんのお股を堪能する。まさにWin-Winの関係である。俺はおつまみなども作りだし、さらにワインを勧めていくのであった。



「うふふふっ、ツバサ殿は可愛いな。私、年下がタイプで…一目惚れかも…。颯爽と現れ、猛獣を倒していく姿。脳裏に焼き付いて忘れられないわ。でも、脇の匂いとかは…もっと親しくなってからにして欲しいわ。本当に恥ずかしいのよ!!」



 アリアさんは完全に酔いが回り、饒舌になっている。判断力が低下して、言わなくていい事まで口にしてしまっている。酔いがさめて覚えていれば、顔を青くするに違いなかった。


 一方、俺は以外にも、アリアさんからの好感度が高い事に驚いた。


 


 アリアさんの白い肌が桜色に染まる。



「もう…飲めないわ…寝ます」



 そう言って立ち上がる。ふらつきながらも歩き出したので、俺はほふく前進で後を追う。



「あっ!?」



 アリアさんがよろけて、俺の方に倒れてきた。何というラッキースケベか!!俺はこれを待っていたのだ。何とか倒れないで踏ん張るも、そのまま俺の顔にまたがる体勢になった。いわゆる、顔面騎乗という状態になったのだ。


 思いっきり息を吸う。そして顔を押し付ける。左右前後に顔を小刻みに移動させ、刺激する。



「いやんっ!?ダメよ!!そこは敏感なの…」



 そんな事を言いながら、酔いが回ったアリアさんは自分から、お股を押し付けてくる。



「!?」



 俺の顔に押し付けられたお股が、ちょうど鼻と口をふさぐ形になってしまった。息ができない。苦しい。


 強引にアリアさんを離す事は可能だが、そんな勿体ない事はしたくない。でも、本当に息ができないのだ。俺は何とか呼吸を確保しようと顔を動かす。



「ダメだったら!?本当に…アッ、ヒィ~!?」



 アリアさんは短く大きな声を出し、まるで力が抜けたように全体重が俺の顔に…。


 俺は歓喜するが、息ができない苦しさのあまり、すぐに意識を失ってしまったのだった。






【アリアルーナ視点】


「……………」



 ドアを開けると、ツバサ殿の姿が見えない。私は、女騎士寮の中を徘徊しに行ってしまったのではないかと焦る。


 しかし…真下から妙な気配が…。床に這いつくばり、私を見上げるツバサ殿。



(一体、なぜ?)



 私が疑問に思っていると、ツバサ殿は素早い動きで、私の後ろに回り込んだ。そしてだらしない顔をさらし、私のお尻を下から見上げている。


 ツバサ殿は



「俺は下からお尻を見上げる、このアングルが好きなんですよ!!」



 と、訳の分からない事を、爽やかに言う。意味が分からない。


 しかし、これ以上、見られる訳にはいかない。私に穿いているパンツは、紐パンなのだから…。


 私は素早くソファへと向かう…実戦よりも素早い動きで。


 ツバサ殿も床を這いつくばり追いかけてくるが、何とかソファに座り、お尻を隠す事に成功した。


 明らかに失望した顔をするツバサ殿。



(一体、何を考えているのよ!!そんなに私のお尻が見たいの!?)



 私はそんなツバサ殿に、あきれ果ててしまったのでした。


 しかし、この後、大変な事が起こってしまいました。私はツバサ殿が用意したお酒を飲み、酔っぱらってしまったのです。泥酔です。


 そして…事も有ろうに、紐パンのままでツバサ殿の顔の上にまたがって…。


 ツバサ殿の顔が前後左右に動き回り、私を刺激する。


 酔いが回り、体を思うように動かせず、頭を振る。さらに酔いが回るという悪循環。


 

(何かが私を迎えに来る。あぁ~、このまま天国に!!)



 そんな事が頭に浮かぶ…。


 やがて私は光に包まれ、深い眠りに落ちていくのでした。



 

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