好きな百合漫画の主人公に転生しちゃったオレ。

⑯オレ、百合漫画の主人公として、やっと良い所見せられたよ。

キーンコーンカーンコーンッ。

「やっとお昼休みだ〜！お腹空いた〜！」

「そうだね。」

ふぅ…お昼休みか…やっと鶴子ちゃんが隣に居るのにも

少し慣れてきた気がするぞ…

「私、今日、お弁当じゃないから

　購買で何か買ってくる〜！」

「もしかして今日も早弁したんじゃ…？」

「ピンポーン、その通りだ！」

「相変わらず食いしん坊さんだね。」

「えへへ…じゃあ、行ってくる！」

「あっ待って！」

「んっ？何だ、ひよっち？」

「よかったらお弁当を一緒に食べない？」

「いいのか！」

「うん！張り切っちゃって、いっぱい作りすぎたからさ！」

「えっ…今日はお弁当を作ってきたのか…？

　冷凍食品とかじゃなくて…？」

「そうだよ。」

「はっはっ…それはそれは…」

二人がこの反応をするのは当然である

なぜなら漫画の主人公の雛は料理を作るのがド下手で

とんでもなく食欲の失せるお弁当を作ってきたことがあるからだ。

「私のお弁当食べるの、いや…？」

「あっえっ…私を思って、ひよっちが言ってくれてるんだもんな…？

　決めたぞ、私はひよっちの友情に応えることにする…

　お弁当食べさせてもらうぞ！」

「ゴクッ…本気…？」

「ああ！もちろんだ！」

「よかった、じゃあ開けるね。」

お弁当の蓋を開くと、美味しそうなおかずがいっぱい入っていた！

「えっ…？」

「えっ…？」

「これっ本当に全部、自分で作ったのか…？

　冷凍食品じゃなくて…？」

「そうだよ。」

「見た感じは美味しそうだね…？」

「そうだな…？」

（でも問題は味だ…）

「割り箸と紙皿は用意してあるよ、使って！」

「そっそれは準備がいいな…？」

「よかったら、鶴子ちゃんも食べる？」

「えっ！あっうん！」

（怖いけど、せっかくの雛ちゃんの好意を無下に出来ない…）

「さぁ、二人とも遠慮せずにどうぞ、食べて！」

「じゃっじゃあ…」

「遠慮なく…」

二人は雛のお弁当からそれぞれ、違ったおかずを取った。

「頂きます…パクッ。」

「頂きます…パクッ。」

「どう？お味のほどは？」

「わぁぁ〜！美味しい〜！」

「本当だな〜！美味しい〜！」

「よかった。」

「雛ちゃん、ごめんね…」

「えっ？何で謝るの？」

「食べる前まで私、本当に美味しいのか…ちょっと疑ってたよ…」

「私もだ…まさかひよっちがここまで上手になってたなんて…

　疑ってわるかった！ごめん！」

「いいよ、いいよ！

　そんなこと気にしないで、みんなで美味しくご飯食べようよ。」

「雛ちゃん…」

「ひよっち…」

「さぁ、もっと食べて。」

「うっうん！食べるぞ！」

「私は自分のおかずを交換するね！」

「ありがとう！」

三人は仲良くお弁当を食べたのだった。

（これでやっと二人にいい所見せられたかな。）