⑨オレ、百合漫画の主人公の妹と一緒に寝ることになったよ。
「はぁぁ…気持ちいい…今日一日の疲れが取れる…」
琴梨は晩御飯を食べた後、お風呂に入っていた。
「しかし、おねえちゃんに転生した晴都さんって人…
まさか、あんなに料理を作るのが上手だったとは…」
ついさっきの会話。
『出来たぞ〜オレ特製のデミグラスソースのハンバーグと
野菜スープだ、温かいうちに召し上がれ〜。』
『頂きます…パクッ。』
『どうだ?』
『何これ、美味しい!まるでお店の味みたい!』
『喜んでくれたみたいだな。』
『晴都さんって料理上手なんだね?』
『オレの家は小さい頃から親が共働きでさ
一人っ子だったし、よく家の家事したりとか
ご飯作ってたんだよね。』
『そっか、だからこんなに上手なんだね、偉いじゃん…』
『そんなことないって、琴梨ちゃんは料理とか家事とか出来たりする子?』
ギクッ!
『どっちも苦手だけど…わるい…?』
『わるくない!わるくない!
じゃあ、家の事は全部、オレがやるから、安心してくれ。』
『うん、よろしく…』
「ブクブクッ…ぷはぁ…
なんか悔しいから、家の事、出来るようになろう…」
「琴梨ちゃん、聞こえるか?」
「なっ何!」
「あまり長風呂すると、のぼせるから、ほどほどにな。」
「言われなくてもわかってるっば!」
「それならいいんだ、それとお風呂上がりにプリン食べないか?オレの手作りだけど?」
「食べる…」
「えっ?何て?」
「食べるってば!」
「わかった、じゃあ、用意しておくからな〜。」
「ブクブクッ…ぷはぁ…
あんたは私のお母さんか…」
その後、少ししてお風呂を上がり
雛(晴都)が用意した絶品プリンを食べた。
「美味しい!」
「琴梨ちゃんは本当に幸せそうに食べるから
可愛いなぁ…作った甲斐があるよ。」
「うっうるさい、人の顔をじろじろ見るな…」
「あっごめん、ごめん。」
「いつもより静かだな…」
「どうしたの?」
「いつもはお母さん達が居間にいるから
やっぱり今は私達、二人しか居ないんだと思って…」
「寂しい?」
「ストレートに中学生にそれ聞く…?」
「オレは一人っ子だし、家で一人なのは慣れてるから
そういうのよくわかんなくてさ…」
「正直、言えば寂しいよ…お母さん達のこと好きだし…
でも完全に一人じゃないから…平気…」
「本当…?」
「転生して中身が違うとはいえ…おねえちゃんが居てくれてるから…」
キュンッ。
「そっそっか、琴梨ちゃんはおねえちゃんのことが好きなんだな。」
「そっそりゃ好きかと言われれば好きだよ…
私のおねえちゃんだもん…」
「ああ、尊い言葉、頂きましたぁ…」
「なっなんで泣いてるの…?」
「気にしないでくれ…感動してるだけだから…」
「意味わかんない…まぁでも勘違いしないでよね?
私が好きって言ったのはおねえちゃんにであって
晴都さん、あなたにじゃないんだから?」
「それぐらい、わかってるって
でもよっぽどに寂しいって思ったら
今日は一緒に寝てもいいんだぞ、姉妹だし?」
「晴都さん?」
「すっすみません、調子に乗りすぎました…」
「もう。」
それから少し雑談したら、雛(晴都)はお風呂に入って
それぞれ寝支度を済ませたら、二人は二階に移動した。
「じゃあ、おやすみ、琴梨ちゃん。」
「あっ待って!」
「んっ?どうした?」
「えっと…あの…その…変なこと絶対にしないって約束するなら…
今日ぐらいは一緒に寝てあげてもいいかなって…」
「ゴクッ…マジ…?」
「うっうん…姿はおねえちゃんだし…
そのかわり少しでも変なことしたら
容赦なく殴るから…そのつもりで…」
「わかった、約束する。」
「絶対だよ…?」
主人公の雛のベッドで二人で寝ることにした。
「えへへ、嬉しい…こんなに早く、姉妹百合が叶うとは…」
「なんか言った?」
「あっいや、何でもない。」
「よく考えたら…おねえちゃんと一緒に寝るのも小学生以来だな…」
「そうなのか?てっきり姉妹って
よく一緒に寝てるイメージがあったんだけど?」
「よそはわからないけど…私達は小学生までだよ
確か小学三年生までかな…それ以降は私がもう子供じゃないって、寝るのをやめたんだ…」
「そっか、じゃあ、今日はどうして一緒に寝ようって…?」
「最初にあなたから言ってきたんでしょ?一緒に寝ようって?」
「そっそうだったな、あはは、あはは…」
「もう…だけどありがとう…」
「えっ…?どうして、ありがとう?」
「ふんっ、自分で考えて…」
「そんなー。」
(本当は今日、一人で寝るの寂しかったから
一緒に寝てくれてありがとうなんて
恥ずかしくて言えるか…)
「あっ寝る前に聞いて欲しいことがあるんだ。」
「聞いて欲しいこと…?」
「眠りについたら、夢で不思議な空間に行くことになるんだ
そこでこの世界の女神と会うことになるから。」
「不思議な空間…?この世界の女神…?
訳わかんない、もう寝ぼけてるの…?」
「そっそうじゃなくて、まぁ実際、会ってみればわかるか…
いちようそれだけ覚えておいてくれ。」
「よくわかんないけど、わかった…」
「うん。」
「おやすみ、晴…おねえちゃん…」
「ああ、おやすみ、琴梨ちゃん…」
それからすぐに琴梨は眠りについた。
「琴梨ちゃん…寝顔可愛いな…本当の妹みたいだ…」
「おねえちゃん…」
「えっ?」
琴梨は寝言を言いながら胸に抱きついてきた。
「マジで…可愛いなぁ…」
それを優しく抱き返して、眠りについた。
『いいわねぇ…姉妹百合…尊いわぁ…』
そしてそんな二人をこの世界とは違う空間から見ている者がいた…
『わたくしが導いた愛田雛…それに偶然、付いてきた妹の琴梨…
いいわぁ…素敵な物語が始まる予感…今から会うのが楽しみよ…』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます