④オレ、百合漫画の主人公として使命を果たす決意をしたよ。(ファン心 )

「それじゃあ!行ってきます!」


「はいはい、気をつけてね。」


「やれやれ、やっとおねえちゃん、行ったみたいだね?」


「今日は本当にギリギリよ、間に合うといいんだけど?」


「どうせ間に合わなくて、いつもみたいに先生に叱られるんじゃない?」


「はぁ…多分ね…」


「それよりおねえちゃん、今日は髪型、ポニーテールじゃなかったね?

 ヘアピンもつけなかったみたいだし、どんなに慌てても、その2つだけはしていくはずなのに、喋り方といい、寝てる間に頭でも打ったのかな?」


「きっとそれほど慌ててたのよ。」


「そうなのかな?」


「あー!!」


「どっどうしたの?お母さん?」


「雛ったら、お弁当忘れて行っちゃってる…」


「何だ、そんなことか

 今から私がおねえちゃんに届けに行ってあげるよ。」


「間に合うかしら?」


「おねえちゃん、運動音痴で、私より走るのずっと遅いから、絶対に間に合うって。

 それに通学路とか同じだから、どこ歩いてるか、わかるし。」


「じゃあ、お願いしようかしら。」


「うん、行ってくるね。」


琴梨は雛(晴都)にお弁当を届けるために外を出た。

一方、当の本人である雛(晴都)というと…


「ハァハァ…本当に主人公の雛って…

運動音痴というか…運動不足なんだな…

 こんなちょっと走るだけで…体力切れたぞ…そりゃ近道もしたくなるわな…」


でもここからが本当の物語の始まりだ…

オレがあの漫画の主人公に転生した以上、あの近道をして

ここじゃない、あの世界へ行かなくちゃな…

これはある意味、使命感だ、決して、ファン心から、行きたいとかじゃないからな!

勘違いするなよな!って誰に向かって言ってるんだか…


「じゃあ、決心もついた所で、行きますか…」


オレは主人公が近道だと通っていた、人気のない路地裏に入った。


「いた!でも何であんな所に…?」


琴梨は後を追って、路地裏に入った。


「いよいよ…ここを出たら…あの世界に…」


「おねえちゃんー!」


「えっ?今の声って、琴梨ちゃん?まっまさかな…」


「おねえちゃんー!」


「やっぱり、勘違いじゃない!?」


「もう!おねえちゃん!お弁当を忘れて…わっ!」


「ぐわっ!?」


琴梨ちゃんが足を躓いて、勢いよく向かってきて

そしてそのまま一緒にあの世界の入口に吸い込まれた!

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