パンツ泥棒

 パーティーから帰ろうとして、服を着ようとすると、パンツがない。しかたなくズボンをじかにはく。

 あとから聞いた話だと、他の人たちもパンツを盗まれたそうだ。みんなパンツなしで帰ったらしい。

 パーティーの常連である品妍ビンイェンの家に行ったとき、白湯が出てきた。ちょっと塩味がして、どことなくおしっこ臭い。そっと台所をのぞくと、品妍が大鍋の中の湯をおたまでゆっくりとかき混ぜている。近づいてみると、大鍋の中には女モノの、白にピンクの小さなリボン飾りのついたパンツが、ミズクラゲのように揺蕩たゆたっている。

「そう。パンツ泥棒は私なの」

 品妍はそう言ってにっこりと笑った。

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