第5話:不思議な出会いをした

 不思議な出会いをした。

 何気ない日常に刺激物が混入して、僕の日常を大きく変える。

 自分の部屋のベッドの上で寝っ転がり、スマホを見つめながら頭の中で先日の出来事を反芻する。

 部屋を見渡す。部屋は6畳程度の一室で、ベッドの隣には勉強机が置かれている。机の上には先日塾で使ったテキストが置かれている。カバンの中にずっと置いてあるからか、ところどころ折り曲がっている。

 ベッドの横には小さなローテーブルがおかれていて、底には小さなデジタル時計やティッシュ箱などが置かれている。底から視線を少し先に向けると、テレビが台座の上に置かれており、反射する僕の顔が映っている。

 ありふれた高校生男子の部屋だ。ありふれた日常でとくに代り映えもしない普通の部屋だ。僕はこの部屋でずっと過ごし続けているのだ。

 そして先日、彼女との出会いはとても新鮮なものだった。

『あたしは絶対に社会に迎合しない!』

 そして彼女と——

 もう一度携帯に視線を移し彼女のLINEを見る。

 すると見計らったかのようなタイミングで、携帯のLINEの通知が鳴る。メッセージの主はまさに今チャットを見ていた彼女からだった。

『明日、日曜日にこの前の路地裏に来て』

 とだけ書かれており、続けて、

『君が落書きしてたところね!』

 と意地悪な絵文字を添えて送ってきた。

『寄りにもよって嫌なところが集合場所ですね』

『そりゃあ君が悪いことをした場所だからね。とても大事な場所だよ』

『大事な場所......?』

『冗談冗談!単純にあそこだと都合がいいってだけ!』

 そこからは集合時間などの情報のやり取りをする。ほんのちょっとのこうしたやり取りが新鮮で楽しい。

 LINEでのやり取りを終えて、スマホをベッドに放る。

 もう昼だ。太陽の光が差し込む。

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