第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト【俳句の部】二十句部門

うみのちえ

マネキンはみな脱がされる

本懐を零さぬようにチューリップ


淡雪や「ベントウハアタタメマスカ」


水汲みの砂利道二キロ冬の蝶


俗名スヱ、享年五才、胡蝶舞ふ


隣家ではミケと呼ばれて朧月


また二分時計の狂ふ余寒かな


エープリルフール大口開ける河馬


哀しみの気化する午後や山笑ふ


前髪を眉に揃えて雲の峰


サイダーや喉に刃のやうな恋


短夜のマネキンはみな脱がされる


八月のカムパネルラは墜ちにけり


ジンジャーの香や「智恵子抄」音読す


二百戸のタワマン嵌まる秋の空


コンビニの跡は月光ほしいまま


冬ぬくし鬼だけ増ゆる鬼ごっこ


ホットドリンクス人通りなき午前二時


十二月八日エントリーシートの余白


使い捨てカイロ難民キャンプの子


言い訳は聞きたくもなし毛糸解く

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第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト【俳句の部】二十句部門 うみのちえ @uminochie81

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