第6章 結論から言うと、ゲームもリアルも大して変わらないのである。

「ん…ん?」 


 結局、俺はあのまま寝てしまい、目が覚めるとベッドの上で翌朝を迎えていた。


 目が覚めた俺はPCへと向かうと、一度RNOのフレンド一覧表を開いた。


「良かった…今の所は大丈夫そうだ…」


 何故、俺がフレンド一覧表を確認したのかというと、彼女闇ドルから何かしらのメッセージが届いていないかの確認と、彼女からフレンドを外されていないかの確認をする為である。


「メッセージは今日も届いていない…か…」


 ちなみに彼女は昨日のPvPの日に一度ログイン履歴があるだけで、それ以外はログインしていないようだった。


「まあ。外されてなかっただけ良しとするかな…。ん? なんだこの数は…」


 昨日のPvPがきっかけとなり、俺へのフレンド申請の数が4桁を超えていた…。


「はぁ…。朝イチからこれを全部見るとなると陽が沈むから…これをこうして…よし!」


 俺はフレンド申請欄にある検索機能を使い"PvP"に定めると、これまでのPvPの中で出会った数名へと絞られた。


「んーと…」


 因みに、俺のフレンド欄にはハバネラと彼女闇ドルしか入っていない。何故なら元々俺は人付き合いが苦手な引きこもりなので、出来る限り人との交流は減らしておきたかったのだ。その為、フレンド欄は彼女らの2人だけという事である。


 と…。俺が一覧表をみている時に見覚えのあるプレイヤー名からフレンド申請と合わせてメッセージがリアルタイムで届いた。


「ん? この人は確か…?」


 それは、昨日行われたPvPで俺のパートナーとして一緒に戦ってくれた女性プレイヤー。"カイル"からのものだった。


 フレンド申請なら兎も角。俺にメッセージまで?一体何の要だろう…。


 俺は少しだけ興味を抱いたので、フレンド承認をした後に、とりあえず彼女のメッセージを読むことにした。



       ーーーーーーー


《カイル》伝説の"引きニート"様へ。先日はどうもありがとうございました。あのまま貴方に消えられると、何か"ヤリ逃げ"されたみたいで私としても凄く後味が悪く『と・て・も!』ムカついたので、改めてお会いをしたのち、改めてお礼をさせて頂きたいと思っております!…ですから!⚪︎⚪︎⚪︎-××××…… ←絶対に連絡して下さいね!!


       ーーーーーーー


「…"伝説の引きニート"って相変わらず人を"引きニート"呼びかよ! しかもヤリ逃げって…喧嘩売ってんのか?あの尻軽女! 大体俺はモテたことなんてないから彼女なんて一度も出来たことないんだっつうの! まぁちょうどいい!これに掛けたらいいんだな? 上等だよ!掛けてやろうじゃねぇの!…………新手の詐欺とかじゃないんだよな?…大丈夫だよな?」


 俺は携帯を手に取り恐る恐るその番号に掛けようとしたのだが、ある事に気づく。


「あっ。俺、風呂まだだわ…」


 まぁ異性と会うにしても話すにしても、エチケットくらいは当然だよな。


 とりあえず俺は、そのまま浴室へと向かい朝シャンをすることにした。


 ……


 そして。


「…この番号でいいんだよな?」


 俺は入浴を済ませた後。再び携帯を手に取り、カイルが送ってくれていた連絡先に電話を掛けた。

 

 すると…。


 プルル…プルル…ガチャッ!


「はい。私、モデルの加藤衣瑠夢かとういるむのマネージャーの座累寺ざるいでらザクトですが…。どちら様でしょうか?」


「え?」


 え?何? "モデル"? 俺、もしかして掛ける電話番号を間違えたのか?


「ご。ごめんなさい!間違えました!しっ、失礼します!!」


「あっ…」


 俺は電光石火のはやわざの如く、謝罪をしたのち通話を切ることに成功した。


 そして俺は、その後直ぐに掛けた電話番号と送られてきた電話番号を見比べる。


 しかし。どちらも同じ番号だった。


「うん。確かに同じだ。俺は間違えていない。ん?という事は…」


 俺がそう思った時だった…。


 ブー…ブー…。


「うわっ!?」


 今度は手に持っていた俺の携帯がバイブレーションと共に揺れ始め、俺の手元から床へと落ちると画面が天井を向いていたので電話の発信主が容易に確認出来た。


「…同じ電話番号だ。…も、もしもし?」


 俺が勇気を振り絞り恐る恐る電話に出ると、今度は聞き覚えのある女性の声が、何故か"えらく反響"するエコーと共に"水の音"も一緒に携帯のマイクから聴こえてきた。


「あっ!もしもし!引きニート? 今ザクトから聞いたわ…。ごめんなさい!今シャワー浴びてるところだから上がったらまた掛け直すわね! それじゃ!」


「あっ、え?カイル!? だっ!だから引きニートって!…あっ」


 今度は電光石火のはやわざの如く、逆に切られてしまった。これは"因果応報"っていうやつだ。やった事は良い事も悪い事も関係なく必ず返ってくるからな。現にこうやって俺にもちゃんと返ってきたし…。うんうん。世の中はよく出来ているな。因果応報だ…。


「ふぅ〜」


 やっぱり間違えていなかったという安心感から俺は持っていた携帯をベッドに置くと、少し伸びをしてから横になり、彼女からの折り返しの連絡を待つことにした…。


 to be continued…。


 

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