第48話
「…
「な、なんだこれは!? 10体の龍達が1つの塊に…」
「ザルーザさん! 5体の龍が!」
「なに!?」
俺の目の前に10体の龍が融合して出来た超巨大な球体が現れると共に、ザルーザの召喚していた5体の龍までもがその球体に吸われていく。
「まずい! 時の人君!」
「勿論ですよ!
「どうしたんだい!?時の人君!?」
「それが…MPを使う事自体が出来なくなってるみたいで…何度やっても上手く発動しないんですよ。そればかりか、どうやらMPだけではなく、俺達のHPまでもがあの白い球体に吸われているみたいですよ!」
そういうと、時の人が自分のステータスバーを表示させてはザルーザに提示をすると、遅れてザルーザも自分のステータスバーを確認した。
「勝負あり…か。ふははっ!まさか、これほどまでとはね。流石は伝説のプレイヤーだよ。悔しいけどどうやら僕達の完敗の様だ。ニート駅前君! 僕達と本気で戦ってくれた事感謝するよ! 次は負けないからね!」
「ザルーザ。アンタは確かに強かったよ。アンタの相手が俺じゃなければ間違いなく秒殺だったと思う。こちらこそ、ありがとう。その時を楽しみにしておくよ」
「俺じゃなければ…か。うん、ありがとう」
そう言うと、普段のクールな表情ではなく、悔しみの表情を浮かべたままザルーザはリタイアボタンを押した。
「まさか!あの
時の人が驚いた様子で何かを呟いていたようだったが、俺には聴こえず、ザルーザと共に消えて行った。
やがて、状況を悟ったカイルが歓喜の声を上げる。
「勝っちゃった…?私達が!? 嘘、本当に? やったぁぁあぁあ〜〜!! あのザルーザに勝てるなんて今でも信じられないわ!! ひゃっほぉ〜〜い! ねぇ!引きニート! 優勝したんだから喜びなさいな! ねぇってば!?」
嬉しさのあまり、飛び跳ねては俺の腕を引こうとする彼女。
しかし。俺には何かが引っかかっていた。何が!?よく考えろ俺!
頭を抱える俺の横で彼女が「ボソッ」と呟いた。
「ねぇ引きニート? それにしても、優勝が決まったっていうのに何か運営さん達…妙に静か過ぎない? ファンファーレも鳴らないし!」
「それだ!カイル!」
「何が"それだ!"なのよ!?」
「通常、何かイベントなり、クエストなりで勝負が決まる時は必ずファンファーレが鳴り響くものなんだ! つまり…まだ勝負は終わっていない!」
「貴方何言ってんの!?お馬鹿さんなの!?学習能力ないの!? 最後まで残っていたザルーザ達はもう消えて行ったのよ? 後は、誰がいるって言うの!?」
「いや。正確に言えば優勝は俺達で決まっているはずだ。何故ならそれを覆すという事は今後のゲーム運営に大きく影響してくるだろうからな」
「じゃあ何が言いたいのよ?」
「このイベントはまだ終わっていないという事だ」
『その通りだ。NEETよ!』
俺がカイルにそう言うと、何処からか聴き覚えのある声が聞こえてきた。
『このイベントの本当のクライマックスはこれからなのだよ!』
「まさか。ここでお前が出て来るとは想定外だったよ」
俺達が声のする方へ振り向くとそこには、見慣れた白髪のスタイルの良い女騎士が仁王立ちをしては俺達の方を真っ直ぐに見据えていた。
to be continued…。
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