前のエピソード――第42話

　俺が放った攻撃は負けない男が放った攻撃と激しくぶつかり合うと、眩しい程の白い光に包まれては消失した。

　そして、その光景の直後、負けない男が片膝を着いた状態で俺に話しかけてくる。

「はぁ…流石だ。"通りすがりの引きニート"よ…」

「うん。アンタも中々に強かった方だと思うよ…」

「…もし、よければ参考までに聞かせてもらえないだろうか？　俺がお前さんに負けた敗因とやらを」

「そうだな。強いて言うならアンタの相手が俺だったということで俺とアンタとの間に生じた、"圧倒的な実力差"かな…」

「圧倒的な実力差か…完敗だ。次会うことがあれば、その時はまたお相手をお願いしたいものだ」

　負けない男はそう言い残すとゆっくりと消えていった。

《負けない男･･･脱落》

　その様子を見ていたキャリー大佐が1人両膝をついた状態で動揺している。

「そんな。あの負けない男が負けるなんて…ありえない…。おいっ引きニート！　次は絶対負けないからな！」

「俺も楽しみにしておくよ。キャリー大佐。後、引きニートはやめろ！？」

　先に負けない男が脱落した為、バディルールでキャリー大佐も苦笑を浮かべてはゆっくりと消失していった。

〈キャリー大佐･･･脱落〉

「ふぅ。さてと…」

　やがて、2人が消えるとカイルが俺に話しかけて来た。

「待ちなさいっ！　引きニート！」

「待つも何もアンタと俺とはチームを組んでるんだから…あと引きニートはやめろ！」

「あっ。それもそうね！　じゃなくてっ！　貴方は一体何者なの！？」

「時が来ればそのうち分かるよ…」

「え？　それって、どういう…」

　彼女が俺に話しかけるのとほぼ同時に、前半戦終了を知らせるアナウンスが彼女の言葉を摘んだ。

「皆さんお疲れ様らのだ！　それでは、前半戦終了時の現在のランキングをお知らせするらのだ！」

「あ！　中間ランキング！」

　確か、倒したプレイヤー1人につき、1ポイントが加算されていく仕組みだったよな。つまり、俺達は4人のプレイヤーを倒している訳だから、4ポイントが加算されているはずだ。

「前半戦終了時の中間ランキングはこうなっているらのだ！」

〈NEET駅前&カイル･･･4P〉

〈負けない男&キャリー大佐･･･？？？P〉脱落によって無効。

〈荒野の男&ダンディな男･･･0P〉

〈その他大勢･･･0P〉脱落

〈時の人&ザルーザ･･･4P〉

「以上が前半戦終了時の中間ランキングのお知らせらのだ！」

　ランキングが発表されると、それを見てはカイルが驚きの言葉を呟いた。

「み、見て！　ほら！　さっきの人達のポイント数！　とんでもないポイント数だわ！　私達とザルーザ達のチームを抜いたポイント数を全て持って行ってるわよ！？」

「本当だな…まぁ。俺は優勝賞金が手に入ればどうでもいいかな…。だってそうすりゃ働かなくていい訳だし？」

「貴方って本当に引きニートね…貴方を一度は見直しそうになった自分もいたけど…やっぱり気持ち悪ぃ…」

「だから！　自宅警備員だっつうの！　あと引きニートはやめろ！」

　カイルが呆れた表情を浮かべ俺を罵倒していると…。ここで。ランキングを見たラグナンが驚きの声をあげる。

「さぁ！　残る後半戦も…って！　あれぇ！？　1000人もいたのに…た、たったの2チームしか残っていなかったらのだ！？　どうするらのだ……うーん。よし！　決めたのら！　残る2チームをこれから『市街地』に転送するらのだ！　そしてそこで、『出会った瞬間に即バトル！』うん！　今大会のキャッチコピーとマッチしていいらのだ！」

「「え？」」

「では！　これから両チームをまとめて転送するらのだ！　『出会った瞬間に即バトル！』両チームとも白熱したバトルを期待しているらのだよ！」

　俺とカイルは2人共同じ反応を取ったのち、俺達の周囲を青い光が取り囲んでいるかと思えば、『荒野』から『市街地』へと有無を言う暇もなく転送させられていくのだった……。

「「ちょっまっ！」」

　to be continued…。