第42話

 自分と同レベルのスキルを見て驚いたのか、負けない男が俺に向けて言った。


「これは……なるほどなるほど。キャリーとの戦いにおいて、ずっと妙な違和感を感じてはいたんだが……。その妙な違和感の正体って奴がどうやらこいつだったってわけか。流石に同レベルのプレイヤー同士の戦い方にしては、少しレベル差があり過ぎたから可笑しいとは思っていたんだよ。んで、お前さん? 一体何者なんだ?」


「通りすがりのただのニートさ……」


 俺がその名を発した途端、負けない男の表情が少しだが曇ったのが分かった。


「ただのニートか……」


 負けない男はそう言うと、大槍を空に向けて突き出しては大声で叫んだ……。


「雷龍の……咆哮ォォオォオォオオD5!!」


「キャっ!! D、D5ドラグニスト・ファイブですって!?」


 負けない男の詠唱と共に、カタルボルグが俺達に目掛けて落雷を放つと共に雷撃を纏った咆哮を繰り出して来た。


「来い! ゲイボルグ!」


 すかさず俺も、衝撃に対応するべく、ゲイボルグを自分の前に呼び寄せる。


 そして……。


雷龍の双壁ライトニング・ドラゴニクス・ウォールD5!!」


「ひ、引きニートまで!?」


「ほぉ。お前さんもD5を使えるのか! 俺のD5とお前さんのD5どちらの方が強いかね!」


「お楽しみのところ悪いけど、俺も加勢させてもらうよ! あの引きニートって男には負けたくないからね!」


「キャリーか。ふぅん。勝手にしろ」


「そうさせてもらうよ! 大炎龍の烈撃砲ザ・ドラゴニクス・バースト・フレイムD4!!」


 俺のゲイボルグの落雷によって生み出された巨大な双壁に雷炎龍となったカタルボルグが重低音と共に激しくぶつかり合う。


「流石だよ。俺達2人の同時攻撃も止められるとは。お前さんもしかして、あの伝説のプレイヤーなのかい?」


「え? 伝説のプレイヤー??」


 負けない男の言葉にカイルが反応する。


「お前さんがあの伝説のプレイヤーだとしたら、その強さといい色々と説明がつくのだがな…。俺達が所属していた魔導の道をたった1人で壊滅させやがった、あのプレイヤーとな!」


「負けない男? この男があの時の!?」


「いや、可能性があると言っただけだ」


 2人の間に割って入るように、カイルが口を開いた。


「ねぇ待ってよ! 全然話に着いていけない。貴方はただの引きニートなんでしょ!? 自宅警備員なんでしょ!?」


「なるほどね。もし、俺がその伝説のプレイヤーだったら君はどうするの? 俺を一撃で倒す……何か秘策でもあるのかな?」


「いや…悔しいが万策尽きたよ。次の攻撃が通らなければ俺達の負けさ……」


 負けない男は、再び大槍を俺に向けて構えるとさっきまでとは明らかに違う膨大な量のMPを消費させては、俺に向けて攻撃系スキルの詠唱を唱えた。


「はぁあぁあぁぁあぁぁあぁあ!!!  雷龍の閃光波動ライトニング・ドラゴニクス・シャイニング・バーストD5!!!!」


 詠唱と共に、カタルボルグが白い閃光に包まれると、超高速で俺の方へと目掛けて飛んでくる。


「フィヤァアァアァアァァアァァアァアァア〜〜!!!!!!」


 カタルボルグの耳を刺すような甲高い鳴き声が、俺の耳介内に鳴り響いては反響する……。


 耳が痛ぇ。まるで、神の鳥ゴッドバードだな……だったらこちらもそれ相応の物を用意しないとな。


 俺も負けない男同様に、攻撃系のスキルを繰り出しては向かい会うことにした……。


「……真・雷龍の超伝導電撃波ジ・ライトニング・エターナルサンダーフォースD5!!」


 to be continued……。


 




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