第35話

 前回のあらすじ……。


 闇ドルを賭けて、俺とリーダー格の男が一対一の勝負をすることになった。


 あらすじ終わり……。


 あれ? なんか意味合いが違う様な……まぁ、いっか!


  

   ーーーーーーーーーーーーーーー



 PvPの予定時間になると、リーダー格の男達が先に専用エリアへと転送されて行った。


 それから数分後、俺と闇ドルが一緒に専用エリアへと転送されると、そこには既に、先に転送させられていたリーダー格の男達の姿があり、その男が戦うと聞いて駆けつけたのだろう。先程まで居なかったはずの数十名の男性プレイヤー達も外野に集まっては男の応援をしていた。


 完全に俺がアウェイだな……。


 と。その内の1人が俺に対して安い挑発をして来る。


「おいおい! 皆んな見ろよ! あんなモヤシみたいな奴がうちのリーダーに喧嘩吹っかけたんだとよ? 笑えるよな!? あっははは!……」


 あぁ〜面倒くせぇ……いるんだよなぁ〜学校や職場にこう言う奴が大体1人や2人くらいは……。


 それに、こう言う奴に限って1人じゃろくに何も出来ないどうしようもない奴なんだよな…俺の経験談から言わせてもらうと。


「……NEETさん」


 俺がそんなことを考えながらそいつの方を眺めていると、闇ドルが俺の方を心配そうに見つめていた。


「心配ないよ闇ドル?」


「あ、あの! が、頑張ってください!」


「うん。ありがとう」


 それから少し経ち、俺とリーダー格の男は対戦エリアへと転送されて行く……。


「『荒野』か……」


 俺とリーダー格の男が対戦するエリアは、どうやら『荒野』の様だった。


「はっはっは……おいっ! モヤシ! 俺に喧嘩売ってきた事、後悔させてやるよ!」


 はぁ……仕方ない。これも闇ドルの為だ。


 それに、さっきの奴等の言動とかその他諸々が俺の癇に障ったし……よっしゃ! いっちょ、やってやりますか!


 そして。闇ドルと多くのプレイヤー達が見守る中、俺とそのリーダーとの一騎打ちが始まった。


 のだが……。


「さぁ! モヤシ! どっからでもかかってこいやぁ!!」


「どっからでも、か……分かった。なら! 龍の火炎放射ドラグニティ・イフリートD1!」

「は!? は!? うそ! ちょっまっ!! ぎゃぁあぁぁああぁぁあぁ!!!!!」


 結局、開始1分もしないうちに、男が命拾いをし始めたので、トドメは刺さないでおいてあげることにした。


「ま、参った!! 俺の負けだ!! 降参する!! この通りだ!!」


 と言っても、ゲームだからトドメを刺すと言っても、本当に死んでしまうということは絶対ないんだけど……。


「終わったよ。闇ドル」


「NEETさん!」


 それから少しして、リーダーの男を含めた野郎達がどうやら俺達に謝罪をしたいらしく、俺達の前へと集まってきた。


「「あ、兄貴!! その、す、すみませんでしたぁあぁぁあ!!」」


 兄貴って……。


「もう済んだことだし、俺はいいよ? 闇ドルは?」


「あ、はい。私もNEETさんが良ろしければ! 大丈夫です!」


「とまぁ、そう言うことだから。行こう闇ドル……」


「はい!」


 と、俺が闇ドルの手を握って歩き出そうとしたその時だった……。


「あ、兄貴! 待ってくだせぇ!!」


「ん?」


 突然。リーダーの男が俺を呼び掛けたので、俺は歩みを止めて後ろを振り返った。


「あ、兄貴は! いったいどうやってそんなに強くなったんですか!?」


「う〜ん。それは……『気合いと根性』かな!」


「気合いと根性!? さ、流石は兄貴!!」


 と言っても、ただ引きこもって2ってだけなんだけどね! まぁ、そんなたいそうな事でもないだろうし、このままの解釈でいっか。


 俺はそう言い残して、闇ドルと共にその場を後にした。


   ーーーーーーーーーーーーーー


 俺達がその場を去った後も、リーダー格の男とその場にいた男達は何やら騒いでいた。


「リーダー! そう言えば気になったことがあるんすけど?」


「おう、言ってみろ!?」


「そう言えば、横に居たあの可愛い娘ちゃんが、あの人の事を"NEETさん"って呼んでた様な気がしたんすけど……」


「あぁ。確かに、呼んでたな! なんだ? それがどうかしたのか?」


「あ、いや……もしかしたら、あの人が伝説のプレイヤー『NEET駅前』さんだったんじゃないかなぁって……もちろん、流石に俺もあり得ないとは思うっすけど……でも! レベル200超えの俺達が何人束になっても勝てないくらいめちゃ強いリーダーが負けてしまったと言う事から、その可能性としては絶対に無いとは言えないっす!」


「伝説のプレイヤーだって!? どうりで"世界ランキングトップ10"のこの俺でも手も足も出せなかった訳だな。がっははは!…あれは、間違いなく世界ランキング上位の"ザルーザ"や同じく上位の"カイル"クラスだぞ…」


 リーダーの男がそう言いながら笑うと、1人の男がリーダーに対して反応した。


「リーダー……もし、あの人が伝説のプレイヤー、NEET駅前さんだとしたら、現環境トップの2人である『ザルーザ』さんや『カイル』さんをも軽く凌駕りょうがするはずっすよ。それなら、リーダーが簡単に負けてしまったのも俺達でも納得が行くっす。だって、リーダーは1年くらい前に"凄腕プレイヤー"ってRNOの週刊誌に掲載されたくらいの実力者っすもん! そんな運営からも認められためちゃ強いお方である俺達のリーダーがそんな簡単に負けるはずないっす!」


「おい! 嬉しいこと言ってくれるじゃねぇかよ! よっしゃ!! あの人にもっかい会いに行こうじゃねぇか!! リベンジだ!!」


「「うっす! リーダー!」」


 リーダー達は、またNEET駅前と闇ドルに会いに行く為、彼等もPvP専用エリアを後にした…。


 to be continued……。






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