第31話
『ハバネラの店』にて……。
カランカラン〜。
「お〜い! ハバネラ〜!」
俺がそう言うと、店の奥から眠そうな目を擦りながらハバネラがやってきた。
「ん〜? おぉ! NEETと闇ドルちゃんじゃん! まぁ入って入って!」
そう言いながら、ハバネラは、いつもの席に俺と闇ドルを案内すると同時にお茶菓子とホットコーヒーを持ってきては、対面に腰を掛けた。
「さぁ! 冷めないうちに飲んじゃって!」
「あ! い、いただきます!……うん! やっぱり、ハバネラさんの淹れたコーヒーは美味しいです!」
「お! 流石! 闇ドルちゃん〜! 分かってるね〜!」
と、美味しそうにホットコーヒーを飲んでいる闇ドルのその隣で、「ふーっふーっ」と冷ましながら飲んでいる俺を見ては、ハバネラは何か言いたそうな顔をしているが、まぁ気にしないでおこう……。
そして、俺が話の本題に移ろうとしたとき、ハバネラが俺の言葉を容赦なく断ち切った。
「えっと、今日俺達がここへ来た理由なん……」
「さしずめ、闇ドルちゃんの装備強化って所でしょ?」
流石、ハバネラさん……頼りになるわ〜。
「ん、あぁ。闇ドルの装備を強化してもらいたくてね。頼めるかな?」
俺がそう言うと、ハバネラが椅子から立ち上がり俺の頭に手を置いて言った。
「私を誰だと思ってるの? これでも、『魔導の道』のギルマスだよ?」
「元な?……イテッ!」
俺がハバネラの発言に対して、すかさずツッコミを入れると、ハバネラが俺の額に軽くデコピンを1発入れてから、話し出す。
「それで、強化合成用のアイテムは何を使うつもりなの?」
「これでお願いしたい……」
俺が、『エリオン鉱石』を貴重品ボックスから取り出してテーブルに置くと、それをハバネラが物珍しそうな表情を浮かべて言った。
「へぇ〜! 『エリオン鉱石』かぁ〜! 久しぶりに見たわ〜! 了解! 任せてちょうだい! 『三大鉱石』を使って強化合成出来るなんて、いつぶりかしら! 血が騒ぐわ!」
そう言うと、ハバネラは、闇ドルの防具を手に取ると、『エリオン鉱石』を持って奥へと入っていった。
そして、ハバネラが強化合成をやり始めて、30分が経過した頃……。
奥から、溶接の作業技を着たハバネラが、闇ドルの防具を持って戻ってきた。
「失敗か!?……グハァ!!」
俺がハバネラを見るなり、すかさず本日2度目の冗談を言うと、今度はマジのデコピンをハバネラが俺の額に繰り出してきたので、その勢いで俺は椅子から床へと飛ばされてしまった。
あ〜!! イッテェエェエェエェ〜〜!! この怪力女!! ったく……少しは手加減しろっての! マジでやりやがったぞこの女! シャ〜!!
俺が猫に睨まれた蛇の様な目でハバネラに対して威嚇をすると、ハバネラが両手を腰に当てた状態で、胸を張る様にしてから、俺を見下ろす姿勢を取ると「ニカっ」と微笑んだ。
「ばーか! 成功だっつぅの!」
「あ、ありがとうございます! ハバネラさん!」
「イッテテ……あ、ありがとな」
俺がアイテムボックスから代金を出そうとすると、ハバネラが俺の手を止めて言う。
「今日の代金はいいわ! 私も久しぶりに『三大鉱石』に出会えたし! これでチャラってことで!」
「お、おう。ありがとな」
「ありがとうございます! ハバネラさん!」
そして俺達は、少しだけ店に滞在した後、ハバネラに礼を言ってから店をあとにした。
それからお店を出た俺達は、別れを告げると、とりあえず今日はログアウトすることにした。
「NEETさん! 今日は、ありがとうございました!」
「俺の方こそ! ありがとう。またね!」
「はい! またよろしくお願いします!」
「うん!」
PvPまで残り6日……。
to be continued……
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