第27話
「さぁ〜て、何を食べるか……お、中華いいな!」
闇ドルと一旦解散した後、俺はデリバリーイーツのメニュー表に目を通し、餃子とラーメンの中華セットを頼むことにした。
〜ピンポン〜
「こんちは〜! デリバリーイーツで〜す!」
お、来たみたいだ。
「はーい」
俺は頼んだ品物を受け取ると、そのまま部屋へと戻った。
「ん?」
俺が部屋へ戻ると、ベッドに置いていた携帯がバイブレーションと共に揺れていた。
母からの着信だった。
「はい、母さん? どうしたの?」
どうやら母は、初音の進路の事について相談があるらしく、俺に電話を掛けたようだった。
初音自身、成績やらは問題はないのだろうが、母が心配するくらいだから、何か問題は別にあるのだろう。
そう思った俺は、母に聞いてみることにした。
すると、母からは思いもしない言葉を聞かされた。
それは、なんと初音自身が進学はせずに就職をしたいとのことだった。
その言葉には俺も驚きを隠せなかった。
初音は、俺にはないものを"全て"と言ってもいいほど持っている。
初音が手を伸ばせば何処にでも行けるということ……それは俺だけじゃなく、両親や学校の先生達もそう思っているだろう。
でも、初音はそれを選ぼうとしてはいなかった。俺にはないものを全て持っているというのに……俺には初音が何を考えているのかよく分からなかった。
初音……。
「うん。大丈夫だよ母さん。俺も、
今度会った時にでも話聞いとくよ」
通話のきりざまに、俺は母から「アンタは、早く働きなさいよ!」と口酸っぱく言われてしまった……。
耳が痛い……。
俺は携帯をベッドに置くと、とりあえず昼飯を食べることにした。
「ご馳走様でした! あ〜! やっぱり中華最高だわ!」
そういえば、先日、運営から直接俺宛てに通知が来ていた。
内容は『PvP』が1週間後にあるとのことだった。
PvPとは「Prayer versus Player」の略で、(プレイヤー対プレイヤーの対戦方式)という意味合いで、ゲーム界隈では広くイベント等に取り入れられている。
因みに、ここでいうプレイヤーとはリアル、つまり現実世界でゲームをプレイしている俺たち人間の事を指す。
最近は、Aスポーツとしても発展してきているみたいで、どうやらRNOも例外ではないみたいだ。
まぁ、最近は出場していなかったから、現環境がどうなっているのかなんて知らないし、興味もない。
しかし、先日運営が送って来た内容を見た俺は、それに対して、2つ返事でOKせざるを得なかった……。
何故なら、そこには俺の今後の人生が掛かっているであろうと言わんばかりの内容が記載されていたからだ!
え? なんで、『人生』が掛かっているのかだって?
それは、なんと! 今大会がRNO初の『賞金』が発生するという、中規模の公式大会だったからだ!
どうしても働きたくない俺にとって、優勝賞金はデカい! しかも、概要欄には300万円と記載されていた。
はっきり言って、優勝賞金300万という数字はかなりデカい!
だって、年収で換算すれば、色々引かれものがあったとしても単純に計算しても200万はキープ出来るんだからな!
それだけあれば、働かなくていい口述が母さんに出来る!
そう踏んだ俺は、電光石火のはやわざの如く、PvPの申請をその日に済ませた。
「お、そろそろ13時半か……」
俺は、食器を片して、RNOに再びログインをした。
to be continued……。
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