第14話

 翌朝、俺は地球と睨めっこをしている状態で目が覚めた。


 おかげで全身のあらゆる所が筋肉痛だ……。


 俺が上体を起こして、軽いストレッチでもしようと立ちあがろうとした時だった。俺はあることに気づいてしまう。


 なんと、丸まったティッシュが床に幾つか散乱していたのである。


「おぅふ……また、出ていたのか……」


 誤解を招かないように一応言っておこう。


 コレは決して、闇ドルの事を考えてそのまま「〇〇○ー」をしたとかでは無いぞ! 断じて違うからな!


 これは、つまりアレだ! ほら? 夜中に起こりやすいと言われている、『ハウスダスト』というやつだ! それで、寝ている間に寝ぼけながら、知らず知らずのうちに鼻をかんだのだろう。


 俺は、そう思いたい……いや、そうであってほしい。


 俺は、下半身に視線をやったが、その様な痕跡は見当たらなかったので、やはり、そうではなかったのだと確信した。


 と……。



 ブー! ブー! ブー!



 俺が、胸を撫で下ろしていると携帯のバイブレーションが鳴り響いた。


「ん?」


 電話主は初音だった。


「……」


 俺は電話主を確認すると、すぐに携帯の電源を落とした。


 その間わずか、1秒も立っていなかっただろう。


 もし、オリンピックに「携帯の電源早切り」という種目があれば、俺は間違いなくメダルを狙うことが出来るだろう。


 と、その時だった!


「スマホの電源切んなし!!」


「ぎょぇえぇぇええぇ!!??」


 なんと、俺が携帯の電源を落としたその数秒後に、初音が部屋のドアを勢いよくこじ開けてきたのだ。


 ロックが掛かっていたはずだが!? なんつう馬鹿力だよ! てかコイツ、まじ俺のなんなの!? あ…血の繋がった実の妹でした…。


 俺は、突如出現した破壊神…もとい初音の方へ哀れみの視線を向けると、当の本人は満面の笑みでニッコリと微笑んでは俺に尋ねてくる。


 昔とちっとも変わってないな。


 初音がニッコリ笑っている時は、「か・な・り」キレている時だ。


「ねぇアニキ? 今日暇?」


 勿論、その状態の初音に対しては出来るだけ事を荒立てずに、尚且つ、なるべく穏便に済ませるということが大事なのである。


 まぁ。俺クラスになると、このくらいの質問など取るに足らんのだがな。


「お、おう! き、今日だよな!? ぜ、全然空いてるぞ!? ど、どうした? 愛しのお兄ちゃんに久しぶりの人生相談か?」


「いや、私アニキに人生相談なんかしたことないし!てか!何処の妹と間違ってんのよ!!」


「ブベラァァアァア!!」


 俺は、初音の怒髪天を少しでも緩和しようしてみたのだが、どうやら失敗に終わってしまったらしい。


 初音の言の葉が終わらないうちに繰り出された右ストレートは、見事に俺の左頬に炸裂した。


 その勢いで、再度、床と睨めっこをする様な形になってしまった俺は、そのまま気を失ってしまった。


「あ、ちょっと!アニキ〜? ねぇ!もしも〜し! あ。こりゃダメだ……」


 to be continued…。






 

 

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