第8話

「着いたよ。闇ドル?」


「こ、ここがファミナ王都ですか!? で、デカイです!」


 俺と闇ドルは、次の目的地である、『ファミナ王宮内』へ転移アイテムを使って到着すると、さらに、その王宮へと足を進めた。



      ーーーーーーーー



 ファミナ王宮にて。


「さぁ、闇ドル? あそこに居る、NPCに声を掛けておいで?」


「あの人に……ですか?」


 そう言って、闇ドルは、向こうにいる、大臣の様な制服を着ているNPCを指差して言った。


「うん。ただ喋りかけるだけでいいよ。後は、全部向こうが勝手に説明してくれるから」


「分かりました! 私、行ってきます!」


 そう言って、闇ドルは、向こうにいるNPCに声を掛けに行った。


 

    ーーーーーーーーーーーー



「あのぉ〜」


「おや、これはこれは……暗黒騎士$闇ドル$様! おぉ! レベルが25になられましたか! という事は、『職能力解放』をご希望されますか?」


「は、はい! よろしくお願いします!」


「では、どの職能力解放をご希望されますか?」


 NPCがそう言うと、闇ドルの前には、3つの職のプレイ映像が流れる。


「暗黒騎士$闇ドル$様は、チュートリアル時に、『剣士見習い』をお選びになられているので、『魔剣士』か『剣士』か『騎士』への能力解放が可能でございます。いかが致しますか?」


「ふぇ!? う〜ん……これもいいなぁ〜、あっ! でも、こっちもいいなぁ……う〜ん」


 闇ドルが悩んでいたので、俺は、そばに行き声を掛けてやることにした。


「闇ドル? 何をそんなに悩んでいるんだい?」


「あっ、NEETさん! 私、どの職能力解放も魅力的に見えてしまって、決めきれないんです……良かったら、NEETさんが、私の代わりに選んでくれませんか?」


「え! 俺が!?」


「はい! お願いします!」


「うーん、そうだなぁ……。闇ドルは、このゲームで、どういうプレイヤーになりたいとか、そう言う理想像とかって、持ってたりする?」


「理想像……ですか?」


「うん」


 闇ドルは、鎧の隙間から見える、黒い綺麗な瞳を輝かせながら、両手の拳を強く握りしめ、俺に言う。


「NEETさん! 実は、私! 初めてお会いしたあの時から、NEETさんみたいな強いプレイヤーになりたいと強く思いました! だから、NEETさんのような強いプレイヤーに、私もいつかは、なりたいです!」


「俺みたいに? 了解。ならオススメは、『魔剣士』かな? 俺も最初は、剣士見習いから魔剣士を選んだんだ」


「あ、そうだったんですね! 教えてくれて、ありがとうございます! では、私も魔剣士を選びます!」


 闇ドルは、大臣のNPCに職の選択を伝えると、そのまま、闇ドルの職能力解放が実行された。


 そして、闇ドルは晴れて『魔剣士』となった。


 ……。


「では、次は『レベルが50』になられましたら、またお越しください! それでは、暗黒騎士$闇ドル$様! 引き続きゲームをお楽しみください!」


 そう言うと、NPCは、所定の位置に戻っていった。


 職能力解放を終えた闇ドルが、嬉しそうにこちらを見て言った。


「エッヘッヘ〜〜。私、NEETさんと同じ職だぁ〜〜」



 俺は、何度か闇ドルに声を掛けてみたが、闇ドルの意識は、完全に上の空だった。


 俺は、闇ドルの意識が戻ってくるまで、そっとしておくことにした。


 ……。


「さて、お次は今の闇ドルに合う、装備品を探さないとな……。どっちがいいかな〜? 『タヒネス郊外』に行って、『鍛冶屋のアイツ』の所に行くか。それとも、近場の鍛冶屋で装備品を新調してもらうか……」


 俺が独り言を言っていると、闇ドルの意識が戻ってきてたみたいで、闇ドルが尋ねてきた。


「NEETさん?『鍛冶屋のアイツ』って?」


「ん? あぁ。俺の旧友だよ。何回かだけど、ダンジョンも一緒に入ったこともある。まぁ、旧友とは言っても、まだ一度もリアルで会ったことはないんだけどね?」


「なるほど……。俗に言う、NEETさんのネットゲーム友達っていう感じですか?」


「まぁ、そうなるかな?」


「ちなみに、その人ってどんな人だったんですか?」


「どう説明したら良いかなぁ〜……。まぁ、どんな人なのかは、直接会って闇ドルが確認してみたらいいと思うよ!」


「なるほど。分かりました! 私、その人にお会いしたいです!」


「了解! なら、行き先は決まりだね! 闇ドルの装備品の新調がてら、久しぶりに会いに行くとするかな……」


「はい! よろしくお願いします!」


「それじゃあ……いざ、『タヒネス郊外』へ!」



 俺は、『タヒネス郊外』に行く為、『タヒネス郊外』専用の転移アイテムを使った。

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