第7話

「闇ドル…大丈夫かな?」 


 闇ドルが中に入ってから、もうすぐ10分が経とうとしていた時だった…。


 「ギィイィイ」と扉が開くと共に、中から闇ドルが走りながら戻ってきた。


      ーーーーーーーー


「NEETさぁ〜ん! NEETさぁ〜ん! 私! 私! やりました!!」


「凄いじゃないか! 闇ドル!」


 正直言うと、ここのボスは、一定時間が経つと自滅してくれるから、こちら側が何もしなくても勝ててしまう仕様になっているのだが…。俺は、その事実を闇ドルには言わずに墓場まで持って行く事に決めた……。


「NEETさぁん…とても怖かったです…」


「闇ドル、お疲れ様。それで、初めてのボス戦はどうだった?」


 俺の問いに、闇ドルは、「良くぞ、聞いてくれました!」と言わんばかりに、胸を張って流暢に話し始める。


「あ!NEETさん、聞いてくださいよぉ〜! 私が中に入ると、すぐ目の前に2メートルくらいの大猪が仁王立ちで立ってて! しかも!その大猪! いきなり!大っきな剣を振り回しながら、こっちに二足歩行で走ってくるんですよぉ!! もう怖いのなんのって!」


「そ、それは中々おっかないな…(今はそんな仕様になってたんだ…)それで? どうやって、その大猪を倒したの?」


 俺は、闇ドルにそう伝えた後、闇ドルの言葉の続きを待った。


「えっへん! 良くぞ聞いてくれました!! 私が全力で逃げ回っていたら、突然、大猪が座り込んだんです! それで「エィヤァァ!!」って言って斬りかかってみたら、うんともすんとも言わずに、私の目の前から消えていきました! そしたら突然、ファンファーレが鳴り響いたんです!!」


「そうか。よく頑張ったね」


「もっと、褒めてくれてもいいんですよぉ〜?」


「お、おう…。良く頑張りました」


「もっと、もっと〜?」


「こら、調子に乗るんじゃない……」


 俺が舞い上がる彼女の頭をこつくと、「あうっ」と声を漏らすと彼女はしゃがみ込んだ……。


 それからしばらくして、俺達がダンジョンの出口を目指して歩いていると、目の前に突然、青いバーが表示される。

 

 ピコンッ。



      ーーーーーーーー



『ワールドチャット』


 〈ザルーザさんが、『古来兵器の城』を最速クリア達成しました!〉

 

 ……。


 大勢のプレイヤーが、ザルーザというプレイヤーに関する話をする為、ワールドチャット内は、直ぐに混雑した。


  

   ーーーーーーーーーーーーー



「ザルーザ? このプレイヤーネーム……さっきも見たような……」


「NEETさん? どうかしましたか?」


「ん? あぁ?……いや、何にもないよ。さて、次のダンジョンへ行く前に……」


 俺は闇ドルのイカつい鎧(フルメタルアーマー)に目を向ける。


「NEETさん? どうかしましたか?」


「その前に、まずは闇ドルの装備の新調が先か……」


「えっ! 私はこのままでいいですよぉ!」


「ダメだ……。その装備のままでは、この先のスピード重視のダンジョン攻略が難しくなるからな……」


「うぅ…(結構この鎧気に入ってたんだけどなぁ〜)」


「そういえば闇ドル?『ジョブ』は何を選んだの?」


「あっ、ゲーム開始時に、選べる職のことですか?」


「うん」


「えっと〜確か、『剣士見習い』ですね!」


「なるほど。そうだなぁ……闇ドルは、先の戦いでレベルが25になってるから、『職解放ジョブリベレイル』…訳して"ジョブリベ"が出来る。まぁ、いわゆる職のレベルアップって感じだね! その為にも先ずは、一旦『ファミナ王都』に行くけど、大丈夫?」



「はい、大丈夫です!! NEETさんに全てお任せします! あの…。よろしくお願いします!」


「こちらこそよろしく」


 そうして、俺達は闇ドルの職能力解放の為に、ファミナ王都へと向かった。


 to be continued…。

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