第4話

俺は、妹と別れた後、部屋に戻って、ゲームを起動させた……。



       ーーーーーーー



 〜ようこそ! NEET駅前さん!『RNOラグナロクオンライン』の世界へ!〜


 ゲームのオープニングが、壮大な曲や映像と共に流れ出す。


 俺は、データロードを済ませると、前回セーブした所へと転送されていく。


 ちなみに、RNOの仕様についてだが、良くあるRPGモノと同じだ。


 最初、幾つもの職の中から、プレイヤーは、1つの職を選択してゲームを進める事が出来、職を選んだ後は、各々レベルを上げていきながら、各ステージのボスを次々と攻略して行く……といった、まぁ、そんな感じにシンプルで良く耳にするRPG系だ。


 もちろん、そんなRNOにも、ちゃんと裏設定などが幾つか存在している。


 その裏設定の1つとして、こういったものがある。


   ーーーーーーーーーーーーーー



 かつて、この、アーケロン大陸の各地には、人々から「天災」等と呼ばれて猛威を奮っていた、強力な『10体の龍』達が存在していた。


 王都は、直ぐにでも対策を取るべく、この10体の龍の討伐隊を設立し、王都は、被害報告のある各地へと、この討伐隊を直ぐに派遣させたのだが…。そのあまりにも強力すぎる龍達の力の前に討伐隊は討伐を断念し、やむを得ず、その10体の龍を10個の『宝玉オーブ』に封印したと言われている……。


 そして、時代は遡り……今でも、アーケロンの人々からは、その龍を封印したオーブを『神の宝玉ゴッド・オーブ』として語り継がれている……。


 

   ーーーーーーーーーーーー



 と言った、内容だ……。


 因みに俺は、先行販売と同時に、あらゆるサイトを徹夜で調べまくっては実戦を重ね続けること丸3ヶ月くらいで、ようやく、10体を倒すことに成功した……。


 これまでやって来たソフトの中でも、ダントツの難易度だったぜ……。


 あの時は、2週間徹夜して、マジで死ぬかと思った……。


 まぁ、今となっては、良い思い出だが……。


 ちょうど10体目を倒して余韻に浸っている俺の所へ、初音が、ご飯を乗せたお盆を持って部屋に入って来ては、俺を見るなり血相を変えて、いきなり「へんたい!!」って言って、持ってたお盆を落として、110に電話をしようとした時は、マジで焦ったわ〜……まぁ、「たいへん!!」って言って119に電話したかったんだろうが……。


「あ、そ言えば今日は、何をするんだったっけ?」


 俺は、久しぶりにログインをした後、過去の行動履歴バーに眼を通した……。


 すると……。


 ピコンッ!


「ん?」


 俺の目の前に、突然青いバーが表示された。



    ーーーーーーーーーーー



 ワールドチャットにて……。



〈ザルーザさんが、『古の洞窟』を最速クリア達成しました!〉


 時の人:マジか!? 流石、ザルーザさんだわ!


 やっぱり加藤:あのダンジョン、ゾンビ多すぎて、最速は愚か、クリアすら出来ないけど!!


 ジミー笹西:このまま行けば、来月のPvP優勝は、先月同様また、ザルーザさんかぁ……。


 ギリギリの会社員:大体、今までザルーザさんやカイルさんはいたのになんでここ最近まで、お2人が一度も優勝できていなかったのかが逆に知りたいわ!


 時の人:おまい、それを知らないのか!?


 ジミー笹西:伝説の……。


 時の人:ジミー笹西の言う通りだよ。のプレイヤーと呼ばれていた人が居たから、ザルーザさん達がこれまで一度も目立てなかったという説があるらしい……確かに、ザルーザさんやカイルさんはとても強いプレイヤーだ……でも、その御二方を持ってしても、その伝説のプレイヤーの前では霞んでしまうと言う話だ……。


 ギリギリの会社員:まさに、……。



     ーーーーーーーー



 俺は、目の前に現れた文字を1つ1つ横目に見ては、1人呟く。


「『古の洞窟』って言ったら、ガイコツとかゾンビが居たところだよなぁ〜! あそこでドロップするアイテムって、意外と持ってて便利だし、なによりデザインがドクロとか、ちょっと俺好みだから、好きなんだよなぁ〜。おっと! あまりの懐かしさに、すっかり目的を忘れるところだったぜ!っと……」


 俺は、目の前に表示されている青いチャットバーをスクロールして閉じた後、行動履歴バーを再度確認した後、今回の目的地へと向かうことにした。


 to be continued……。

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