第70話ムルズの町

 朝になり、宿屋の女将さんが朝飯が出来たよと、声を掛けてきたので犬のリョウにも、朝飯を頼み食堂に行く。


 皆が、挨拶をして席に着くと、女将さんが料理を運んできてくれる。


 堅いパンと、野菜スープと卵たっぷりのオムレツでとても美味しかった。


「昨日は、ちょっと飲み過ぎちゃったわ」


「フランが、そんなことを言うなんて珍しいな」


「だって、同じ年代のエルフと。女友達になれて嬉しくって」


「ふーん、あたいじゃ不満だったんだ」


「あたしも、友達だと思ってたんだけどな」


「いや違うの、マリアもライラも友達だと思ってるから」


「あくまで、エルフの友達ってこれまでいなくて。2人とも許して」


 フランが、からかわれるのを見るのも新鮮でいいなと言うと、マリアとライラがクスクスと笑い出したのを見て、フランが酷いというが。


 マリアとライラが、半分は本気だからと真面目な顔すると、又フランが謝っていた。


 ドムが、ドルンガを馬車に繋いで出発のため、村の出口に向かうと副村長のエレーラとトルラ村の村民達が、大勢で見送りに集まってくれ、筍や山菜をたくさんくれる。


 フランが、エレーラとの別れを惜しんでいたが、文通をすると言うことで話がまとまったようだ。


 皆に、見送られ東に旅だったが6日目の朝に、腕輪からフェニを呼び出しグランの町の屑鉄屋のロムさんから、防具一式を貰ってくるようにと頼み。


 グランダンジョンの、古竜ドラカニに大楯と丸盾に、聖竜の刻印を刻んでくれるように、フェニに追加で頼む。


 4日後の昼前に、町に着くころフェニが帰ってきて、防具一式と聖竜の刻印が刻まれた大楯と丸盾を、持って帰って来てロムさんから町の防具屋に、手紙を見せる様にと預かって来ていた。


 門番に、皆でギルドカードを見せ中に入るが、町の名前はムルズ町との事で、銀貨3枚を門番に渡しバトルホースの泊まれる宿を聞き、ライラの手綱裁きで宿へ向かう。


 宿に着き、馬車とドルンガを預けると、宿屋の女将さんに昼飯が食べられる、食堂と防具屋を紹介してもらう。


 まずは、食堂で昼飯を食うことにし各自で注文するが、俺は肉野菜炒めにして外の犬に、肉を食べさせて下さいと注文した。


 可愛いウエイトレスさんが、運んできてくれて堅いパンとコーンスープと、野菜たっぷりの肉野菜炒めを食べたが、シャキシャキと美味しい。


 食べ終わったら、防具屋に向かうが2件目にドワーフが、やっている工房を見つけて手紙を渡すと、俺と嫁と息子でやるから娘っ子2人は、奥に行き嫁さんに見てもらえ。


 大楯の女と男たちは、息子と調節するからここでいいが、物が物だから1つにつき金貨150枚をもらうが、それでいいかと聞かれたので皆が即金で支払う。


 暫くして、防具の調整が終わり、酒を飲んでいかんかという誘いを丁寧に断り、冒険者ギルドの場所を教えてもらい向かう事にする。


 ムルズ町の、冒険者ギルドの大きさも大きな邸宅ぐらいはあって、小奇麗で清潔感があった。


 中に入ると、受付は3つしかないので1番空いている、2番窓口の綺麗な猫耳受付嬢さんの所に並び、順番が来てギルドカードを出し、Cランクのパーティー試験が受けたいと言う。


 ギルドカードから、実績は十分と判断されたらしく、グランドベア2頭の討伐クエストを言い渡されるが、今日は日も落ちるので明日行ってらっしゃいと、討伐クエスト書を渡される。


 綺麗な猫耳受付嬢さんに、お風呂に入ったら洗濯してくれるサービスって、ここでもありますかと聞くと有料ですが、ありますよと答えられたので。


 各自洗濯物を、山ほど持ってお風呂に入りに行く何故かと言うと、俺のとフランの生活魔法のウォーターでも、洗濯はできるがプロにはかなわないので、汚れがちょっと残るからである。


 風呂に入って、さっぱりしたところでマリアが、たまには薬草採取がやりたいと言うので、皆に聞いたら良いと答えたので、ギルド掲示板から薬草採取の依頼書を10枚剥ぎ取った。


 リョウに、連れられ宿屋に戻り女将さんに、リョウの晩飯を食べさせてくれと頼み、俺達は宿屋の食堂に向かう。


 俺達が席に着くと、可愛いウエイトレスさんが料理を運んできてくれるが、追加でドムや皆が酒を注文するので俺もエールを注文したが、マリアだけは果汁ジュースであった。


 料理は、堅いパンとコーンスープと俺のレシピどおりのハンバーグだった、ジムさんにはかなわないがこれはこれで工夫してあり、美味しく食べられる。


「あたいも、甘いお酒があったら飲んでみようかな」


「だめだぞ、15歳になる前に飲んだら成長が止まるよ。あたしみたいになりたかったら我慢して」


「ライラが、言うと説得力があるねあたい我慢するよ」


「俺は、牛乳を飲むと成長すると聞いた事があるぞ」


「なら、私も飲んでみようかしら」


「だから、エルフは17歳ぐらいで成長が止まるって」


 又言ったわね、ウインドカッターと言いかけたところを、ドムをはじめ皆に止められ俺もフランに、平謝りしてやっと許してもらった。


 私は、エルフの中では発育の良い方で、ギリギリCカップはあるんだからね、それに18歳ぐらいまで成長すると、おばあ様に聞いた事があるんだからねと言う。


 そして、フランがマリアにスラム牧場に、牛乳を100人分発注することをお願いすると、マリアが俺にフェニを出して、お願いしてと指示する。


 俺は、さっきの事もあるので急いで、腕輪からフェニを出してグランの町のスラム牧場の、シスターユリアに牛乳100人分を送ってくれと、伝えてくれと命じた。

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