第68話毒の村

 グランの町を出て、街道を東へ向かう幌馬車で、俺はバトルホースのドルンガを操るドムに、手綱裁きを教わりながら魔物の警戒をしていた。


 幌馬車の中では、フランがリョウに魔物図鑑を読み聞かせ、マリアとライラが解体図鑑を交代で読んでいる。


 夕日が落ちる時、街道から外れちょっと広めの草場で、晩飯の用意とドルンガの餌の用意をするため、俺のウォーターカッターで草を刈り取り。


 フランを、中心に土台を作り薪にドムがファイヤー火を付け鍋に、フランがウォーターで水を張りだしを取り、皆で魚介と野菜の煮込みを作る。


 ホットドックと、コーンスープに魚介と野菜の煮込みだったが、だしがきいていてとても美味しかった。


「フランが、野営の見張りの順番を決めてくれ」


「わかったわ、4時間交代で1番目は私とドム」


「2番目は、マリアとライラで3番目はアームとリョウよ」


 俺とリョウは、フランとドムに見張りを任せて、毛布に潜り込んで眠りについた。


 マリアとライラに、起こされ見張り交代よと言われて眠いながらも交代する。


 その日の、野営は何事もなく次の日の朝を無事に迎え、朝食はホットドックとクラムチャウダースープで、簡単に済ませた。


 朝から5つの型からの素振りをやっていると、左でドムとライラも素振りを始めていて、リョウも前後左右に高速移動する訓練をしていて。


 右では、フランとマリアが体術の型と、体の使い方と組手を練習していた。


 そして、幌馬車で出発して7日目の午前中に、村に着いたが村の建物の外に、人が見当たらない。


「リョウ、村一帯を索敵してくれ。」


〖村の、奥の大きな建物の中に人間が30人程います〗


「ドム以外は、幌馬車から降りて警戒態勢で。奥の大きな建物に向かう」


「わしは、後ろから幌馬車で付いて行けば良いか」


「少し、距離を取ってついて来てくれ」


 大きな建物の、前に着きライラを盾にして中に声を掛ける。


「大丈夫ですか、冒険者ギルドの青いつばさと言う。Dランクパーティーです」


 そう言うと、ドアが開き中から武装した40代ぐらいの、村民らしき男がでてきて魔物がいないなら、中に入って助けてくれと頼まれた。


 中に入ると、30数名の村民がいて8割ぐらいの人が、毒に侵されていて大急ぎで、フランとマリアがキュアを掛けて治していく。


 まだ元気な村人に、何があったか事情を聞くと、ポイズンドックと言う魔物に、噛まれ毒を受けて皆がこの集会所に、運ばれたとの事だった。


 これまでにも、発見例はあったがここまで大群で、襲ってきたのは初めてのことだと思う。


「リョウお前の、最大索敵でポイズンドックを見つけられないか」


〖僕の鼻で、臭いをかいで近くまで行き見つけてきます〗


「気を付けろ、あまり近くに行く前に知らせろ」


 なにか、困っている事はありませんかと言うと、食材はあるのですが食事が満足に、取れていないのですと答えられた。


 ドムに、魔物の警戒を頼んで俺とライラと、3人の比較的元気な女性で大きな台所で、野菜たっぷりのポトフを作ることにする。


 それと、村の裏山で採れたタケノコや、ワラビにフキなどを村の女性たちが、上手に調理していくので勉強させてもらった。


 比較的元気な人と、協力して毒の治療の終わった人に、ホットドックとコーンスープと野菜たっぷりのポトフと、山菜料理を配り食べさせていく。


 フランとマリアが、マジックポーションをがぶ飲みして、全員の毒の治療を終えて帰ってきたので、俺達も交代で昼飯を取る。


 リョウが、戻って来て50匹ぐらいの群れを見つけ、その中にポイズンキングドックがいまして、魔物図鑑によるとBランクの魔物ですと言ってきた。


 村長が、元冒険者で討伐に向かったが、頭から丸かじりにされ食われてしまったと、逃げ帰ってきたものが伝えてきたので、貴方達も気を付けて下さいと心配してくれる。


 お前も、食えとリョウに昼飯を差しだしたあと、討伐にいくが皆は大丈夫かと問うと、フランとマリアがマジックポーションを、がぶ飲みしたからいけると答えてくる。


 マリアが、バトルホースのドルンガと幌馬車に、ホーリーハイドームを掛けるが、このぐらいなら魔力は大丈夫だと言ってきた。


 俺達は、リョウの案内で村の北東の山に向かって、警戒態勢をとって慎重に進んでいく。

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