第20話ドムの冒険者登録

 朝飯を早めに食べて、朝の素振りはパスしてドムと一緒に、冒険者ギルドに来ていた。


 3番窓口の順番がくると、また兎耳受付嬢におねーさんが、忘れられないのねとのたまう。


 今日は、仲間のドムの冒険者登録の付き添いできたと言うと、兎耳受付嬢はドムの左手首のあざをみて、奴隷の登録だったらちゃんと報告してねと言った。


「奴隷の冒険者登録登録は、恥ずかしい事でも何でもないけど囮にしたり過酷に使いつぶしたりしないわよね。アームなら大丈夫だと思うけど」


「主従関係ではありますが、対等の仲間として扱っていくつもりです」


 それを聞いて兎耳受付嬢は、安心した表情になりアームに奴隷所持証明書を、見せてと言ったので提出すると、確認しドムに向かって話しかけた。


「ではこの用紙に、必要事項を書き込んでください」


「大変失礼ですが、文字は書けますか代筆もできますよ」


「奴隷になる前に、武具屋で商売してたんで大丈夫だ。読み書きはできる」


 ドムは、必要事項を書き込み受付嬢さんに提出した。


 名前ドム 年齢49歳 種族ドワーフの男 職業奴隷戦士 レベル6 斧術レベル2 鍛冶レベル3 罠解除レベル3


「それでは、最後にこの水晶に触れてください」


「犯罪歴無し」


「魔物討伐数263 レベル6ですもんね、偉い偉い」


 なんか、褒められてて羨ましいな。


「あっ 魔力あるじゃないですか、魔法適正は火と土か優秀優秀」


 やっぱりこの人、学校の先生みたいな人だな。


「でもこの魔力じゃ、初級魔法でもすぐ倒れちゃうね今は取り敢えず。生活魔法が便利だし覚えとこうか」


 受付嬢は料金表を引き合いに出し語気をつよめ


「火の生活魔法がファイヤーで金貨2枚、土の生活魔法がソイルで金貨2枚」


 さらには真顔になり


「損は、させないから」


 と言い切った。


「じゃあこれが、魔法習得用のスクロールね」


「生活魔法お買い上げ、ありがとうございます」


 そう言うと、受付嬢みんなが呼び鈴を一斉に二回鳴らした。


 そのあとドムが職員用の台所に連れていかれて、火や土を使っても安全なところで、魔法習得用スクロールに手を置かされ。


「ファイヤーって言ってみ」


「ソイルって言ってみ」


 火が付いたし土も出せた、無事習得とあいなった。


「はい、ファイヤーの火力調節して」


 今度は丁寧に指導していたが、土は適性がある人が受付嬢にいないので、後日教えられる人を探しておくとの事だった。


 そのあとは、ランクの説明とギルド規約や罰則の説明を受けた。


「ドムさんはGランクで、冒険者登録は以上で終了です」


「こちらが、ギルドカードになりますが紛失すると再発行に。金貨7枚になりますので気を付けてね」


「無くすといけないから、購買でカードケース買いに行こう」


 購買に行くと、35歳ぐらいの人のよさそうな、犬耳のおばちゃんが接客してくれた。


 カードケースがほしいのですがというと、頑丈なひも付きのカードケースを勧めてくれたので、2つ購入してドムに1つ渡しもう1つは自分で使う事にする。


 あと小銭入れに銀貨30枚入れて、なにか必要な物があったら、それで買ってくれと言ってドムに渡した。


「アーム、この御恩は一生をかけて必ずかえす」


「そんなのいいから、1ヶ月ぐらいで返してもらうから」


 ちょっと早いけど、訓練教官のガルムさんに紹介するからと、ギルド裏の訓練所に向かった。


 ガルムさんを探すと、この前訓練中にリョウを撫で繰り回していた、美人の女戦士の人と談笑している。


 近づいていくと、ドムも一緒かちょうどいいなと言って、なんで知ってるんですかと尋ねたら、孤児院のポールから聞いて大概の事は、知ってるとの事だった。


 ドムには、同じ斧使いのルムルに指導してもらうよ、斧と弓の扱いについては34歳の若さで名人級の腕前だよ。


「この馬鹿が、女の歳を軽々しく言うもんじゃないよ。シスターリリーに言って再教育してもらうよ」


「まあいいや、あたしはアマゾネスで訓練教官やってる。美人戦士のルムルだ」


(ご主人様、この人は暇なとき時々僕を可愛がってくれるんですが。性格がちょっと)


「ドムよ、同じ斧使いは何人かいるのでそれらと一緒だから料金はタダだが。お前は特別に優しく指導してやるからね」


 にこやかな、顔を一応しているが美人戦士のルムルの、目は笑っていなかった。


「アーム訓練が終わるまで、わしが生きてるのを祈っておいてくれ」


「リリー怖いリリー怖い、再教育だけは許してください」


 ドムが怖がるのはわかるが、ガルムさんがここまで怖がるとは、シスターリリー恐るべし。


 フル装備で1時間の走り込み、5つの型からの素振りを1時間が終わる頃には、ガルムさんも正気に戻っていてレベルの上がった俺を、実践訓練で医務室送りにした。


 美人ヒーラーさんの、治療で目を覚ますと隣のベットで、ドムが横たわっていておもむろにこう言う。


「アームにフル装備を、揃えて貰ってなかったらわしは生きてはいなかった」


 ゆっくり風呂に入ると、ガルムさんが3人目の仲間に、ギルド食堂で会えるから行ってみなと言った。


「ガルムさん、剣術1がアルパ流剣術2になったのですが」


「それが俺たちの剣術の流派だよ、2は素振りを出来るようになったって事さ」

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