第9話訓練教官ガルムさん

孤児院から、出ると昼を知らせる鐘がなった。


たまには、ギルドで食事してみようかな。


冒険者ギルドには、受付の横に結構な広さの飲食スペースが併設されていた。


ウエイトレスさんに、犬も一緒でいいですかと尋ねると今日は空いてるからいいですよと言われた。


結構いい加減だが、とりあえず甘えておくことにして肉の煮込み定食とリョウ用にスペアリブを注文した。


(この肉噛み応えもあっていい味出してますよ)


お前結構グルメなんだな、さて俺の方はというと堅いぱんと葉野菜のサラダに肉の煮込みか食べてみると相変わらずこの世界は肉が美味いな。


食事のあと腹減らしに、訓練場で素振りでもしていこうと思いギルドの裏に向かった。


訓練場はかなり広く、野球のグラウンドがすっぽりと入るぐらいであった。


訓練用のカカシに向かって、剣の素振りをしていると突然後ろから声をかけられた。


「エルザが言ってたとおり不格好な素振りだな、それじゃあ角ウサギにも刺されて終わりだな」


後ろの振り向くと30歳なかばぐらいで、がっしりとした体躯で身長は180センチぐらいの男が立っていた。


「俺はギルドの、訓練教官ガルムでエルザの古い馴染みだ」


「お前が死なないように、訓練してくれとエルザと孤児院の子供達から頼まれた」


「俺はアームで、エルザさんは分かるけど孤児院の子供からって何でですか」


「今日孤児院に、くず薬草を山ほど売ってくれたそうだな孤児院の皆が感謝してたとさっき子供達から聞いた」


「特別に朝9じから12時まで、1日銀貨1枚の格安で稽古をつけてやる」


「なんでそこまで、親切にしてくれるんですか」


「俺も孤児院の出身なんだよ、それにくず薬草を届けてくれる奴に死なれちゃ困るからな」


「自己鍛錬も出来るように5つの型を教える、盾は持っていないようなので俺の丸盾貸してやる」


1から5の型からの素振りを教えてくれて、最初はぶれるが繰り返せばどんなへたっぴでも安定してくるそうだ。


「丸盾は孤児院の先に入ったところの、鍛冶屋通りにある鉄屑屋のロムっておっさんにガルムの紹介だと言って買えばいい」


今日は防具屋にいって丸盾を買い、明日9時に必ず来いよと言うと俺は用事があるからと何処かに行ってしまった。


防具屋に行こうと、ギルドを出ようとしたら例の兎耳バニー受付嬢さんが声をかけてきた。


「おねいさんが、いい事教えてあげる♪」


そう言って、職員用の台所まで引っ張られてしまった。


「はいファイヤー火力調節して」


「はいウォーター水圧調節して」


「できてるじゃない、上手上手って何で出来てるの!」


「宿屋の厨房で、コックの先生について練習したからですよ」


「この前は雑に教えたから、優しく教えてあげようと思ったのに浮気者」


そう言って、肩を落として3番受付まで帰っていくのであった。


この人なりに、親切にしてくれようとしているようだが空回りしてるなと思った。


今度こそギルドを出て、まずは孤児院の先の鍛冶屋通りを目指すのであった。


ちょうど孤児院を通り過ぎたところで話し掛けられた。


「アームさんじゃないですか今頃どちらに」


孤児院で、最初に会った美人シスターさんであった。


「アームと呼び捨てでいいですよ、そう呼ばれる方がしっくりくるもので」


「なら私も、リリーとお呼びください」


「シスターを、呼び捨てには出来ませんのでシスターリリーでご勘弁を」


「ガルムさんの紹介で、鉄屑屋のロムさんのところで丸盾を買いに来たんですよ」


「ガルム兄さんのですか、なら私がご案内させていただきます」


「御兄妹なのですか」


「血は繋がっていませんが、ガルム兄さんも私も孤児院育ちでして小さい頃は妹のように可愛がってくれたもので」


孤児院の皆は、大なり小なり家族同様なのですとにこやかに教えられた。













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