第3話貨幣価値と馬の尻尾亭

 外に出ると結構な人通りの道で、ただ一目見て俺のいた世界と違うのは人種で、猫耳や兎耳が獣人だな。


 やや小柄だが筋肉隆々の人間、いやあれがドワーフか耳の尖った綺麗なのもいて、エルフってやつなのだろう。


 これじゃあ、別世界っていうよりゲームの中の異世界だな。装備も剣や弓など様々な武器や防具を身につけているが。俺の装備より様になってる。


 そんなことを、考えてるとリョウが目の前に来て、話し掛けてきた。


(ご主人様、色々お伝えしたいことがあるので。ゆっくり話ができる宿屋に向かいましょう)


 俺も、今の自分について確かめたいことがあるので、とにかくガインに紹介された馬の尻尾亭に、行ってみることにした。


 とはいえ、迷子状態なので人に訪ねながらいく、ついでに貨幣価値のことも聞いてみる。


 大人に聞くと、そんなことも知らないのかと不審がられそうなので、子供達に話し掛けてみた。


「あのー、ちょっと訪ねたいことがあるんだけどいいかい」


 子供達が、振り返りその中でも一番年長の子が答えてくれた。


「にーちゃん、これ買ってくれるんならいいよ」


「それなんだい」


「ポーションだよ、剣ぶらさげてて冒険者みたいなのに知らないの」


「いやまだ、冒険者登録してないんだ田舎から出てきたばかりで。明日行こうと思ってて」


「なら、しょうがないか」


「銀貨3枚と言いたいところだけど、なんか可哀そうだから2枚でいいや」


 なんか、憐れみを受けたのは納得いかないが、安くなったようでよしとしよう。


 ポーションを買って、貨幣価値を教えてほしいと言ったら驚かれたが、丁寧には教えてくれた。



   小銅貨・・・10円


    銅貨・・・100円


    銀貨・・・1000円


    金貨・・・10000円


   白金貨・・・100000円


   白光貨・・・1000000円(百万円)


   白虹貨・・・10000000円(千万円)



「教えてくれてありがとうね、これから馬の尻尾亭にいくんだけど場所を。教えてくれたらもう一本買うよ」


 小銭入れの中には、銀貨だけでもまだ20枚以上あったので、気が大きくなっていた。


「いや、田舎者価格は一回だけだ銀貨3枚なら案内する」


 なんだよ田舎者って、でも世話になるし適正価格ならしょうがない、払っておこう。


 子供4人に引きつれられ、馬の尻尾亭についたのは夕方に近い頃だった。


「はいはい御客さんかいって、なんだおまえ達かい」


「女将さん、こっちのにーちゃんを案内してきたんだよ」


「警備隊のダインさんから、紹介されて犬も一緒でだいじょうだろうからって言われました」


「ダインに言われて来たのかい、犬もトイレのしつけをしてあれば部屋にあげても大丈夫だよ」


「ワン」


 リョウが大丈夫と言わんとばかりに一声吠えた。


「うーんダインの紹介でこの子らの案内か、一泊朝晩食事付きで銀貨2枚銅貨5枚のところ。銀貨2枚で犬の食事も負けとくよ」


 なんかとてつもなくサービスされたようで、うれしくなり小銭入れとにらめっこした。


「取り敢えず5泊で、それと俺はアームでこの犬はリョウです。」


「いまだと、晩飯に間に合うからアームは食堂で食べておいで、リョウは私についてきな」


 リョウは、ビクッととして微かにうなずいたように見える。


 この女将さん、ただものじゃないな元高レベルの冒険者かと思えて、少し怖かった。


 俺は、案内してくれた子供たちに礼を言い、女将さんついていくリョウを横目に見ながら食堂に向かう。


 食堂は、半分ぐらいの客の入りで、空いた席に座ると直ぐに、食事が運ばれてくる。


 給仕は猫耳のウエイトレスさんで、その可愛らしさにちょっとうれしくなってしまう。


 食事は、堅めのパンにコーンスープのようなものに、肉野菜炒めだったが腹も減ってたので、十分満足できた。

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