【ティア】

 王宮によって、今度こそギルドの悪事は暴かれた。しかしギルドで働く冒険者達に罪はないことが強く強調された。

「すべての責任はギルドを私物化していたヒヨク・アルカナとセンリ・ミロスフィードにある。センリ・ミロスフィードは牢屋へ入れ、後に裁かれる。ヒヨク・アルカナは死体にて発見されたため、これ以上の求刑はないものとする」

 まだ治りかけの体ではあったが、アルトの演説は堂々たるものであった。その姿にアーサーやダンケルは嬉しそうに目を細めた。

「しかしこの世界には今だに変異歹の脅威が存在し続けている。そこでギルドは解体せず、王宮の監視下の下で活動を再開することとなる。新しいギルド長も迎え入れる。こちらの方だ」

 照れくさそうな表情を浮かべたピンク色の少女が彼の隣に立ち並んだ。

「新しくギルド長になったエイ・ティアですっ。これからは暴れる変異歹の討伐は続けつつ、治療や共存の道も探していく方針を取りたいと思います。一日でも早く、変異歹の被害がなくなることを願っていますです!」

 拍手が鳴り響いた。困惑する者もいるだろうが、一応は受け入れられたようだ。


「立派な挨拶でしたよ、エイ・ティアギルド長」

「アルトちゃんそんなに畏まらないでよぉ。アンナと話すみたいに気軽にでいいよ〜」

「ならそうさせてもらうね。これからはパートナーとしてよろしく」

「よろしくねぇ、アルトちゃん。これからみんなでこの国をよくしていけたらいいねぇ」

「ねぇ、なんでアルトちゃんって呼ぶんだい?」

「ん? 変? あーちゃんって呼んだ方がいい?」

「いや、その…。もしかして、バレてる?」

「バレてるよ〜。あーちゃん可愛いもん」

「な、内緒だからね?」

「え〜もったいないよぉ。スカートとか履こうよ〜」

「絶対ダメ! アンナちゃんにもバレてないんだから」

「いくら鈍感なアンナでも…うーん…気づいてないのかな…」

「あのアンナちゃんだしね」

「あのアンナっすからねぇ〜」

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