終章

【アーサー】

「あなたがヒヨクですね」

 暗い路地裏で二人は対峙する。夕日は既に沈んでしまっていた。

「君は王宮の騎士団長さんだよね。僕ら髪色似てるね、シンパシー感じるよ」

「気持ちの悪い事言わないでください。第一、私のは薄い水色ですし」

 図らず、この路地裏はアンナとヒヨクが初めて出会った場所だったが、アーサーは知らない。ヒヨクもきっと忘れているだろう。

「うちの陛下が酷い目に遭いまして。なんとか一命は取り留めましたが」

「ほぅ。不幸中の幸だよね」

「陛下のお父様も毒殺だったとか。それらの裏にはヒヨク、あなたがいたのですね。あなたが黒幕である事、アンナ博士のおかげで知ることが出来ました」

「まぁ、大体合ってるし、反論はできないね。それでどうする?」

「あなたを許しません」

「へぇ?」

 スパンッ。空気の裂ける音がした次の瞬間、アーサーはヒヨクの後ろに立っていた。

「陛下と博士を泣かせた罪、地獄で償い続けなさい。あの子達を脅かす存在はもう必要ないです」

「今回は…幕引きかな」

 ドサリと、ヒヨクは倒れた。その血は赤かった。

 その血をアーサーは蔑むように見た。

「あなたにも赤い血が流れていたのですね。悪魔か吸血鬼だと思っていましたよ」

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