【アンナの報告書】
ここに冒険者ギルドと所属冒険者による悪行、事件を書き記す。私の伝える真実を多くの人に知って欲しい。資料や証拠などはこのファイルに共に挟んである。そちらも参考にしながら、本書を読んで欲しい。
「冒険者事件 その一」
この事件を「アークスイズ事件」と名付ける。
南東の小島にマンガス王国という王国がある。そこで起きた悲しき大事件だが、そこには冒険者とギルドが絡んでいた。
〜(中略)〜
「冒険者事件 その五」
この事件を「ソモ村占拠事件」と名付ける。
ロックバンド王国の東端に存在する鉱山。その近くにはソモという名の村がある。村は大きくはないが、平和に成り立っている村であった。
ある日、老人以外の村の男が全員いなくなる事件が起きた。拉致られたのだ。
ギルドの目的は近くの鉱山での鉱物の採掘であった。その労働力のために村の男達は連れて行かれ、過酷な環境で強制的に労働を強いられていた。
しかしギルドの表向きな資料にこのプロジェクトを行った形跡はない。
人道に反する行為であるため当然と言える。しかしギルドは王国に見つからないと思い、堂々と田舎の村を蹂躙し、男達を奪っていった。
だがこの事件はそれだけでは終わらなかった。
村人の口封じのためか、冒険者の連中、変異歹を放って村を襲わせやがった。
ソモの村では変異歹を飼っていた。共存の道を探すために研究をしていた。それを知り、ギルドはわざわざ変異歹を使って村を襲わせた。ソモの自滅に見せかけるために。変異歹との共存を目指す彼らをより迫害しやすくために。
どうやって変異歹を操ったのかはわからない。しかしこの一連の事件が全てギルドの指示であるという証拠は抑えてある。このファイルに挟んだ別紙を参考にしてほしい。
クソ、ギルドめ。この事件での死者は十四人。鉱山で死んだ人間と変異歹に殺された人間合わせてだ。もう少し早く辿り着いていれば、せめて村の人達は助けられた。クソが。許さない。
〜(中略)〜
以上八件は全部ギルドの仕業だ。私が調べ、証拠を掴んだ範囲でこれだ。絶対もっとある。あいつら表では変異歹を狩る正義の味方ぶっているが、裏の実態は悪行三昧だ。
勿論全ての冒険者が悪事に加担しているわけではない。九割以上は知ってすらいないだろう。腐っているのは上層部と、そこと繋がっている一部の冒険者達だ。
だが関係ない。私はあの蛆虫みたいな組織を必ず解体する。ぶっ壊す。
それが私の願い、そして生きる意味だ。
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