11話目 甘味とはすなわち幸せの味

朝もやが漂う石畳の通りを歩きながら、3人組はパン屋の看板を見上げた。《森のパン窯亭》と書かれた古びた木製の看板が、軽やかに揺れている。看板には小さなパンとコーヒーカップの絵が描かれており、暖かさを感じさせるその絵柄に思わず足を止めた。看板から漂う香ばしいパンの香りが鼻をくすぐり、空腹を誘う。


「ここにしよう。」

魔動機術ディスガイズセットで変装を済ませたインテゲルが短く言葉を漏らし、分厚い木の扉を押した。鈴の音が澄んだ音色を奏でると同時に、店内の視線が一斉に3人に向けられた。彼女らの服装はどこか薄汚れており、スラム街が近いこの地域では、珍しい光景ではないにせよ、歓迎されるものでもなかった。


周囲の怪訝な視線を受け止めつつ、インテゲルは無言で腰のポーチを開け、中から銀貨ガメルを取り出してカウンターに置いた。ドワーフの店主はその銀貨ガメルをちらりと見て、重々しい声で「席は奥だ」とだけ告げる。その言葉を合図に、タビットの店員がぴょんぴょんと軽やかに動き出した。


「へぇ、こんな格好でうちに来るなんて勇気あるじゃん。ま、銀貨ガメルがあるならいいけどね。」

タビットの店員は、薄茶色のふさふさの耳をぴんと立てて、尊大な態度で出迎える。

タビット族は、見た目は直立したウサギといった感じの小柄な種族だ。頭頂部の高さで言えば人間の幼児......リベリス程の背丈しかない種族であり、動物的な外見に反して足は遅く非力な種族。その一方、優れた頭脳を持ち、魔法に対する才能がずば抜けて高いのは有名であり、同時にその態度が尊大なことも有名だ。


(もっふもふでかわいい.....触りたい........。)

ポテポテといった足音でこちらに近づくたびに揺れる耳にプリマの視線をちらちらと引きつける。思わずその薄茶色の毛並みの頭に手が伸びそうになるが、赤い瞳で鋭く睨みつけられた。


案内されたのは店の隅、外の喧騒が遠のいたように感じられる落ち着いた席だった。3人は椅子に腰掛けると、周囲の様子を慎重に観察し始めた。古びた木材で作られた壁、陶器の花瓶に挿された野花、棚に並ぶ冒険譚や地元の伝承書などがある。


カウンターの向こうでは、店主のドワーフが忙しく動き回っていた。頑丈そうな腕を持つその姿は、炎の中でこそ輝くように見える。彼はガレットを作るため、熱せられた鉄製のフライパンの縁に指を触れて温度を確かめている。炎の熱さをものともせず、手早く生地を広げると、たちまち香ばしい香りが店内に広がった。


テーブルには手書きのメニューが置かれており、そこにはこの街の名物がずらりと並んでいた。蕎麦粉を使ったガレット、羊肉の回転焼きを平焼きパンで包んだケバブ、さらには最近人気だというのクレープまで、選択肢は多岐にわたる。メニューを眺めていると、タビットの店員が再び姿を現した。


「で、何にする?早く決めてよ、忙しいんだから。」

その小柄な体からは想像もつかないほどの態度の大きさに、3人は一瞬互いに顔を見合わせたが、短い会話を交わした後、インテゲルはガレットを、プリマとリベリスは、ヤギのバターで仕上げたフレンチトーストを注文した。そしてデザートにそれぞれ苺のホイップクリームクレープを頼むことにした。


やがて、店主自らが運んできた料理がテーブルに並べられた。蕎麦粉のガレットは、香ばしい生地にチーズとハム、そしてとろりとした卵が美しく包まれている。フレンチトーストには、この北のノーザンファング地域特産のヤギのバターが贅沢に使われ、表面はカリッと香ばしく、中はふんわりと仕上がっている。そその横には黄金色の蜂蜜が添えられていた。クレープには甘いホイップクリームがたっぷりと盛られ、その上に鮮やかな赤色の苺が美しく並べられている。

リベリスの瞳が、好奇心の色に輝く。


「いただきましょう。」


プリマが短く呟き、フレンチトーストに手を伸ばす。

それをナイフとフォークで小さく切り分け、リベリスの口元に運んだ。


「はい、どうぞ。」


その言葉に、無表情なルーンフォークはパンを口に入れた。

たっぷり蜂蜜を絡ませたフレンチトーストを口に入れた瞬間、動きが止まり、

「・・・・・!!」声にならない声で呻く。


「ぷりま。もっと、ください。」

キラキラとした目で次を催促し、リベリスはプリマを見上げる。

雛鳥に餌をやるように次々とプリマはリベリスに食べさせた。

そして、リベリスが必死に咀嚼している隙に自分もフレンチトーストを食べる。


フレンチトーストは濃厚なバターの風味とほんのり甘い蜂蜜が絶妙に絡み合い、冷えた体がじんわりと温まる。

食べているうちに自分がどこにいるのかはっきりしなくなる。なんとなく夢の境地に引き入れられていく・・・。天国へ登るような美味さだ。ミリッツァ様はこんなところにおられたか。


「これは幸せの塊ですねぇ。」


「とーすと、しあわせ......」


ほんとうに狂おしいほどおいしく、物もいわず一つたべてしまい、まだもう一つ、もう一つと、いくらでも食べたいと思うほどだ。

どうしても野外生活の多い身なので、こうした甘いものが食べられるのは貴重であり、噛み締めるように食べる。


「これはうまいな。」

インテゲルも慣れないフォークとナイフで切り分けガレットを食べている。

口に含んだ瞬間、風景が一変すほどの美味しさだった。ガレットは、香ばしい蕎麦粉の風味が口いっぱいに広がり、絶妙な焼き加減が食欲を刺激する。


そしてデザートの苺のクレープが運ばれた。

クレープもまた、軽やかな生地と甘酸っぱい苺、そしてホイップクリームが織り成す調和がたまらない美味しさだった。

リべリスは顔中がクリームだらけになりながら頬張っている。


「しわあせ......」


面を向かってプリマに告げる。

そんなリベリルの顔を微笑ましそうに眺めつつ、口の周りについたクリームを指で拭い取り、それをリベリルの口の中に運ぶ。

彼女らが料理を味わう間、店内の視線も次第に離れていった。暖かな光と美味しい料理に包まれ、束の間の安らぎを得た。


「しああせ......」


「そういうときは、〝ありがとう〟というとプリマに効果的だぞ。」


「......あり、ありが、とう......ぷりま。」


プリマは尊死した。











店を出た後、妖魔たちは宿を取った。

その後、インテゲルとリベリスはマギテック協会へ。プリマは市場で戦利品の換金とアイテムの購入の為に各々別行動をとり始める。



日差しが燦々と降り注ぐ昼下がり、一行は再び地下道の入り口に戻っていた。そこには、ギャングのヒスウと呼ばれる人物が待っていた。

彼は蜘蛛の巣団というスラムに根城を構え、社会からはじき出され、食い詰めた者達が徒党を組んでいる組織の一員である。

そんな彼は、黒い竜人であり感情を感じられない瞳をしている。黒玉のような鱗につつまれた肉体は、どこかたるんでおり、お世辞にも鍛え抜かれた体とは思えない。彼は無造作に壁にもたれかかりながら、一行の到着を待ち構えているようだった。


「遅かったな。俺が見張りに捕まるかと思ったぜ。」

ヒスウは軽口を叩きながら、一行を見渡す。その鋭い目には、何か確信めいた光が宿っていた。


「ふむ、今回はエルフではなくリルドラケンに変装しているのか。」


「まあな。リルドラケンなら多少は姿が違っても気づかれにくくてな。

さて、その子供が成長するルーンフォークか?」


その目は品定めするように上から下まで冷ややかに見定める。


「手を出そうと思うならやめておけ。」

とインテゲルは鍵縄に手をかける。


「おぉ、怖ぇ怖ぇ。ま、明らかに厄ネタそうな餓鬼攫って蛮族に襲われましたじゃ釣り合いが悪いわな。」


「分かっているならいい。これが今回の依頼の前金だ。」


それなりの重さのある金袋をヒスウに渡す―─というよりも投げつけた。

危なげもなく片手でヒスウはキャッチすると袋を開け、銀貨ガメルを一つ齧る。メッキではないことを確認すると、満足げに懐にしまう。


「最近は詐金神メイガルの神官とかもいて油断ならねぇからな。騙す側が騙されちゃ話にならねぇ。」


「んじゃ、俺は最終確認をするからよ、お前らは服を買ってこい。」


「服?」


「そんな浮浪者みてぇな服でマギテック協会に入れると思ってんのか?

幸いすぐ近くのトライネヤ駅区はファッションの街だからな。もうすぐ祭りだし、小人族グラスランナーの服とか観光者向けに売られてるだろうよ。んじゃ、夕方にまたここでな。」


そう言い彼はヒラヒラと手を振り去っていった。



「むぅ、服か......こんなことならプリマと一緒に来ればよかったな。」



人間の街の喧騒の中、一軒の洋服屋がその日に限って少しざわついていた。店内には色とりどりの服が並び、柔らかな布地の香りが漂う中、一人の小柄な少女と幼い少女が足を踏み入れた。


「いらっしゃいませ!」

店員の快活な声が響く。しかし、店員はすぐに視線を止めた。少女はどこか歪だった。陽気な小人族グラスランナーらしい快活な顔つきだが、声のトーンや歩き方など、どこか所作にずれがあった。動きにはぎこちなさがあり、それを見抜いた者は奇妙な印象を受けただろう。

そんな少女に手を引かれている幼女は汚れた服を身にまとい、目を輝かせながら周囲の服を見回している。


「私のと、この子に合う服を探している。」

インテゲルが低い声で言い放つと、店員は戸惑いながらも仕事に取りかかった。少女のサイズを測り始める。


「このこ、ルーンフォークですよね?幼子のルーンフォークの子って初めて見ました!」

店主の言葉には温かみがあったが、インテゲルは人懐っこい無表情という奇妙な顔でうなずいた。その間、少女は棚に並ぶ服を触りながら、小声で「これ、きれい」とつぶやいていた。


「これなんかどうでしょう?」

店主は明るい黄色のドレスを手に取り、少女に見せた。インテゲルは一瞬それを見つめた後、短く頷いた。少女は無言で試着室に入る。しばらくして姿を現した彼女は、まるで別人のように輝いて見えた。


「似合う。」

インテゲルは断定するように言った。その声は無機質だが、少女は嬉しそうに微笑んだ。


店主が薦めてきた服だけでなく、少女が気に入ったという小物やリボンも選び、インテゲルは次々と購入した。試着を繰り返す少女の姿に店主も楽しそうだった。


「これも買う。」

インテゲルが差し出したのは、小さなポシェットだった。少女は驚いたように目を輝かせた。


「ありがとう!」


店を出た後、インテゲルは懐からマナカメラを取り出し、少女に向けた。


「その服で立て。撮る。」


少女は少し戸惑いながらも、無表情のままポーズを取った。カイがやっていたハートのポーズだ。シャッターの音が静かに響く。


「おお......!」

カメラの映像を見て、少女は目を丸くして喜んだ。


「記録だ。」

インテゲルは簡潔に言ったが、その表情は少しだけ柔らかかった。


「きれい。初めて見た。」


「必要なものだ。」

インテゲルは簡潔に答えた。


(何なんでしょうこのお客......)









家々の白壁が夕陽を照り返して明るい時刻になったころ、再び彼女らはヒスウと合流した。

そして、2人の服装を見ると、

「そんじゃ、いくか。」と言いヒスウは軽い調子で先導するように歩き出した。



マギテック協会の外壁は見上げるほどに高く、荘厳な雰囲気を醸し出していた。その周囲には忙しなく行き交う学生や学者たちの姿があり、まるで別世界のようだった。


マギテック協会は、約300年前の大破局によって滅びた魔動機文明時代の遺物を回収、研究、修繕し、かつての英華と繁栄を取り戻そうとしている組織だ。研究機関であると同時に養成機関でもあり、鉄道ギルドと提携し、魔動機術という魔法系統のマギテック技能の訓練も行っている。特にこのキングスフォールでは、魔道列車が有名なため、蛮族から列車の要所を守るマギテックシューターの育成にも力を入れている。


魔動機文明時代は地上から蛮族を消し去っていたほどの時代であり、このマギテック技能を蛮族は忌避している。だが、インテゲルは蛮族でありながら、この技能を躊躇なく扱えるという点で異質な存在だ。


「さぁて、変装だ。」


ヒスウはそう言いながら、懐からいくつかの道具を取り出した。眼鏡、学生用のローブ、そして少し装飾のついた腕輪がある。そのどれもが協会の学生たちが身に着けるようなものであり、ヒスウはそれを手際よく身に着けていく。


まずは、紋章の入った腕輪を付け、片眼鏡、最後にローブを羽織った。

学生服は深い黒色で、喪服のように彼によく似合っている。

そして、フーッと深い息を吐いた一瞬で別人のようになった。

ただ、衣服を変えただけなはずなのに、先程までの威圧感や胡散臭さはなくなり、気さくで人懐っこい真逆な印象を与えてくる。

その動作には無駄がなく、完璧に役を演じる者の風格があった。


「どうや?」


「まるで本物の学生だ。」インテゲルが感嘆の声を漏らす。


「これがワイの仕事や。インテゲル、ジブンはいらんことを絶対にしゃべるな。正体がばれるってのは死と同じやからな。」


「わかってるさ。」




───アウンガルテン駅、正しくは、アルンガルテン遺跡群前駅は、古代遺跡への玄関。駅から伸びる“古王国への道”の先にあるのは、神秘の残る過去の文明の遺跡たちだ。そこを目指して冒険者が集い、謎の解明に学者が集う、そ れがアウンガルテン駅区だ───



巨大なアーチ状の門が目の前に現れた。それは白銀の魔動機文明語で装飾されており、脈動するように微かな光を放っている。門の両脇には、マギテックの紋章が刻まれた旗が翻っていた。


ヒスウが門を見上げながら、「いや…相変わらず大げさやな。さすが冒険者と学者が集まる場とこか」と呟く。


「ここが…マギテック協会。」

リベリスは初めて見る光景に目を丸くしていた。幼い彼女の姿には、知的好奇心が滲んでいる。


「ほな、行くで。ワイが先に話をつけてやる。」

ヒスウは胸を叩き、門の番人に近づいていく。番人は青い制服をまとい、冷徹な目つきでヒスウ達を見下ろした。


「お前は何者だ?ここに何の用だ?」


「ウチはこの協会の学生、サウリスや。今日は連れもおってな、教授に用があるんや。」

と、ヒスウはまるで自分が本当にその名の持ち主であるかのように堂々と言い放つ。そして、胸ポケットから偽造された学生証を取り出し、自然な動作で見せた。


番人は学生証を確認し、目を細めたが、やがて無言で門を開けた。


「な、簡単やろ?」ヒスウは戻ってきて、看守の見えない角度でにやりと笑った。



広大なホールには、魔道機械が並び、あちこちで学生や学者たちが忙しなく動き回っていた。ヒスウが受付で何やら話すと、係員が建物の奥に案内する。




そして、少し豪華な扉の前まで案内されると、何やらご機嫌な鼻歌が聞こえてくる。

「♪オー、ジェーン~君の瞳は星、僕に震えて輝いておくれ~♪」


何とも微妙な顔で3人は顔を合わせる。

そして、ヒスウは咳ばらいをすると扉をノックする。



「センドア教授~サウリスや。入るで~。」


「おお、サウリス君か。鍵は開いてる。入りたまえ。」


センドアは、平均的なリルド ラケンの身長で、横に広い、がっしりした体格をしていた。 胸板厚く、腕と脚の筋肉の盛り上がりも大きく、腰には〈プ ラックベルト〉まで締め、一見では学者というより格闘家の ように見えてしまうほどだ。うっかりすると、身に着けてい る(マギスフィア〉や〈魔法の発動体〉を見過ごしてしまいか ねない印象であり、やたら大きな声を張り上げて、 3人の前に登場する。


「サウリス君は確か天誅祭の為、実家に帰っていたと記憶していたが、何かあったのかい?」


「実はな、教授が好きそうなネタを手に入れてな。知恵を借りようと思うて寄ったんや。」


そういうと、インテゲルが遺跡で手に入れたファイルをセンドア教授へ手渡す。

そして、それに目を通すと段々と瞳孔が小さくなる。

そして、

「成長するルーンフォークだって!?それはとんでもない世紀の大発見だぞ!」

と興奮気味にまくし立てた。


「ざっとファイルに目を通させてもらったが、これは魔動機文明アル・メナス時代末期に活躍した、アーノルド・ヴァイツァー博士のものだ。ヴァイツァー博士は蛮族の復活と襲撃を予見して、戦いの準備を主張していた人でな!一言で言えば、当時は変人扱いされて、表舞台から消えてしまった人なのだよ!」


応接セットのソファに座る3人に遠慮なくグイグイ迫って来るこの教授も十分変人に見える。


「結果で言えば、その後の 大破局デアボリック・トライアンフ魔動機文明アル・メナス時代は滅びてしまったわけじゃから、皮肉にもヴァイツァー博士が正しかったわけなんだがの!」


立ち上がって喋りながら、無遠慮にリベリスの全身を睨め回す。

あの圧と好機の視線にリベリスは明らかに怯えていた。


「胸元にある小箱状の魔動制御球マギスフィアは生命維持装置なのだろう!

ルーンフォークなのに成長したということは、それがジェネレーターの役割をしていると考えるのが自然だ!」


「これは興味深い!リベリス君だったかな?是非ともその魔動制御球マギスフィアを研究させて欲しい!」


その瞬間、銃口をセンドア教授の眉間にあて、インテゲルが割って入る。


「そこまでにしてもらおうか。リベリスが怯えている。」


「む?小人族グラスランナーであるのに魔動機術とな.....? いや、そうじゃないな。すまぬリベリス君。怖がらせてしまった。」


「だいじょぶ、です。」


そう言いつつも、ソファの上でインテゲルの腕にしがみついている。

その様子に、センドア教授は申し訳なさそうに頬を掻く。


「むぅ、未知の前に興奮してしまうのはワシの悪い癖じゃな。残念だが、その子の信用を失ってしまった。もちろん乱暴な事をする気はないのだが......その子が納得して調査に協力してくるまでサウリス君達が面倒を見てくれないだろうか。」


「まぁ、かまへんけど。」


「もとよりそのつもりだ。だが、貴様の知恵は欲しい。ファイルと遺跡の写真を収めた魔動制御球マギスフィアを貸すので解析をしてくれ。」


「あぁ、ファイルには難解な記述も多く時間もかかるだろう。資料の内容についてわかったらサウリス君に連絡しよう。」


「あ~~、できれば、そやな。この研究室にとっとってほしいんや。取り敢えず1週間後にくるから、頼むわ」


「む?そうか。サウリス君がそういうならいいんだが.....」


「では、今日はこれで失礼するわ~。センドア教授、おおきにな~。」


その言葉に続き、インテゲルと、その腕にまだしがみ付いてるリベリスが研究室から出ていく。



一人、部屋に残ったセンドア教授は魔動制御球マギスフィアから遺跡の写真を見るのだが......



「何で妖魔どもが楽しそうにポーズを決めて先程の幼子を囲っておるのかのう。」




この世は未知で溢れている、今日改めてセンドア教授は学んだのであった。

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