5話目 作戦会議
その女性はギルドの一角で優雅に立っていた。その傍らには、黄色のベストに、豊かな体毛に覆われた耳と尻尾を持った種族......リカントがやや夢見がちな表情で彼女に付き従っている。
「貴方、神官ですよね? 話は聞いていたと思いますが、アタシ達と共に蛮族討伐に行きませんか?」
緊張し上ずる声をどうにか抑えながら声をかけた。
神に仕える神官の扱う神聖魔法には、味方の負傷を防ぎ、怪我を癒すものが数多く存在している。仲間に
声をかけられた人間の女性
――実は人間に変装したセイレーンであるが――
少し驚いたような表情を見せながら答える。
「ええと……ボルグとフッドの群れの討伐……でしたっけ?」
だがその瞬間、隣にいたリカントがわざとらしく舌打ちをしながら割り込んできた。「オイオイオイ......しょんべん臭いクソガキが、俺様と彼女のデートを邪魔するんじゃねぇ!」
と、言うと同時に頭部をハイエナのそれに変貌させた。獣変貌というリカントの種族特徴であり、頭部が獣の姿となり全身の筋力が増強される。
彼女との時間を邪魔されたことに腹を立て、威嚇のつもりで獣変貌を行ったのが透けて見えた。
たが、ここで引くわけにも行かず、レベッカは強い瞳で見据える。
すると、
『ペプシ=エアハートと申しまぁす!!!』と、大声で名乗る。嬉しそうな表情を浮かべ、気取った様子で髪をかき上げた。獣変貌中はリカント語という獣のうなり声のような特殊な言語しか発生できず、レベッカとサーマルは何を言っているかは分からない。ただ、荒狂う尻尾から喜んでいるのはまるわかりだ。
「そう、ペプシさんね。」
彼女は微笑みながら頷き、『きっとお二人も困っているのよ』と、リカント語で再び柔らかな口調で語りかける。ペプシは彼女の手に触れられたことに気を良くしたのか、さっきまでの怒りを忘れたように、
「あ、ああ、そっか、困ってるのな……わかったぜ」
と、獣変貌を解きながら今度は急に丸くなった態度で彼女の言葉に従う姿勢を見せた。
彼女は聖印を握り小さくため息をつきながらも覚悟と諦めが入り混じった表情で答える。
「正直、戦いは少し怖いけれど……困っている方々がいるなら、手を貸したいと思います。」
その言葉に、レベッカの顔がぱっと明るくなった。彼女の中ではすでに、癒しの力を持つ神官が加わることでどれだけ助かるかが想像できているのだろう。サーマルも安堵の表情を浮かべ、ホッとしたように頷いた。
「ありがとう、えっと……名前を聞いても?」
「ええ、私はプリマ・カンシオンです。プリマと呼んで下さいね。」
微笑みながら発したその声にはどこか神秘的な響きがあり、レベッカは一瞬その声に惹き込まれた。
サーマルも顔を赤らめながらもすかさず礼儀正しく会釈をする。
「自分はサーマルです。よろしく頼むっス、プリマさん。」
「アタシはレベッカ。勇気を出して声をかけてよかった!」
すると、再びペプシが得意げな様子で割り込んできた。
「プリマ・カンシオン......なんて素敵な名前なんだ!!!
おい、お前ら!この俺様、ペプシ=エアハートが、プリマ様を守って戦うんだぜ! あんたらはそのつもりでいな!」
そう言って自分を誇らしげに紹介し、彼女を守ると誓う姿に、プリマは困ったような疲れたような表情を見せる。
レベッカとサーマルは、お互い名を知らなかったこの二人の関係性を不思議に思いながらも握手を求める。
「お二人とも、どうぞよろしく
プリマが柔らかく微笑みながら手を差し出すと、レベッカとサーマルもそれぞれ握手を交わした。
2人はペプシにも手を差し伸べるが、彼はプリマの手しか握らなかった。
そんなペプシに苦笑しつつ、レベッカは各々のパーティでの役割の擦り合わせを行う。レベッカが背後に携えた大きな斧を手に取りながら、仲間たちに向き直った。
「アタシはこの斧で敵に斬りかかる
サーマルも矢筒を見せながらレベッカに続く。
「自分も見ての通りの
その後、ペプシは自身の有能さをアピールするかのようにプリマをチラチラ見ながら語り出す。
「オレは拳でぶん殴るのが得意だぜ。鍛え上げたこの速さと連撃力で、近距離戦なら任せときな。手数でガンガン押しつつ、前線の敵をかき回すのが得意ってわけだ!」
そして、プリマが少し遠慮がちに話し始めた。「私は……
彼女がそう言って言葉を濁そうとした瞬間、ペプシがまた得意げに口を挟んだ。
「そしてお前ら!プリマ様はなぁ、あの歌で戦場をいい感じにするやつもできるんだぜ!アレは、すごかったぜ!」
突然の暴露に、プリマは一瞬驚いてペプシを見つめたが、どうにか柔らかな笑顔を作り、場を取り繕う。
「えぁ……あぅ……そ、そうですね。呪歌といって、皆さんの士気を高めたり……少しですが、サポートもできると思います。」
レベッカは目を輝かせ、
「それはありがたい!支援も回復もできるなんて、プリマさんがいると心強いです!だからリカント語も会話出来たんですね!!」と声を弾ませた。
サーマルも興味深そうに尋ねる。
「だけど、
呪歌、終律は奏でる為に楽器が必要不可欠。しかし、彼女はセイレーンである為、発声だけで呪歌を発動出来る種族特徴を有している。
プリマが焦りを隠して口を開こうとした時、またもペプシが自信満々に割って入った。
「これだからガキは嫌になるな。いいか、プリマ様は楽器なんかなくたって―――「修理!修理に出しているんです!!」」
プリマは思わず声を張り上げ、優雅な笑顔は段々と綻びが出始めている。
「楽器は、旅の途中で壊れてしまって……今は修理中なんです!!」
ペプシは「そうだったのか!」と何も疑わない様子で満足げに頷いた。
サーマルは少し眉をひそめたものの、深く追及することなく「なるほど、楽器の修理ッスか……」と呟いた。
すると、レベッカがパッと明るい笑顔を浮かべ、「では、ギルドに掛け合ってみましょう!もしかしたらレンタル品や格安で譲ってくれるものがあるかもしれませんし!」と提案した。その表情は、まるで太陽のように明るく、純粋な善意がにじみ出ていた。
プリマは内心で冷や汗をかきながらも、笑顔を保ったまま小さく頷いた。戦場への道は、こうした善意で着々と舗装されていくのだ……彼女はそう思わずにはいられなかった。
「よし、それじゃあ、ボルグとフッドの群れを討伐しに行こう!」
レベッカが新たな仲間に向けて意気込みを示し、
結果として、幸か不幸かギルドから格安で楽器をレンタルして貰うことが出来た。
小さめの
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
日が沈みかけ、空は薄紫に染まり始めていた。牧場周辺の景色は薄暗く、風が草を揺らし、静けさの中で彼らの足音が響く。
4人が牧場に足を踏み入れると、薄暗がりの中から一人の豊かな髭がある男性が現れた。顔には疲労と焦の色が浮かんでいる。どうやら牧場主のようだ。冒険者たちを見つけて、安堵の表情がわずかに浮かんだが、直後荒い息をつきながら彼らの元まで駆け寄った。
「来てくれたんですね……どうか、助けてください! 怪我人が……俺の息子が矢を射られてしまって!」
牧場主は冒険者たちを、家屋へ案内した。
「ここです、ここに……」
牧場主に続いて進んで扉を潜ると、ベッドに横たわる男性が見えた。 包帯が巻かれた彼の肩には、血がジワリと滲んでいる。 顔は苦痛に歪み、かすかな呻き声が漏れていた。
「安心しろ、今、助けが来たからな。」と声をかけるとながら手を握る。
「いと慈悲深き女神ミリッツア様、どうかこの者の傷に御手をお触れ下さい。【
プリマは牧人のそばに膝をつき、そっと矢傷に手をかざした。
神を称える祈りと共に回復魔法の光が傷口を癒してく。男の顔から苦痛の色が少しずつ消え、寝息も落ち着いていった。
「あ、ありがとうございます!!。 助かりました……!!!」
牧場主は深々と頭を下げ、感謝の言葉を4人に述べた。
その後4人は、牧場主から詳しいを聞くとこととなった。牧場主は手を震わせながらも、必死にその日の襲撃について語り始める。
「……偶然羊の番をしていた息子が、襲撃に来た蛮族に襲われまして。死に物狂いで抵抗をしてどうにか殺されずに済んだらしいのです。あの時は本当に危なかった。」
牧場主は肩を震わせ、涙を浮かべながら礼を言った。
「ありがとう、冒険者方……あんたらがいなけりゃ、俺は今頃……」
「もう心配しないでください。」
レベッカは優しく牧場主の肩に手を置き、牧場主を落ち着かせるように言った。
「どんな危険でも、私たちがいますから。」
その後、三人は更に調査を進め、襲撃の痕跡を辿るために動き出した。
プリマは疲労が限界に達し、少し休むようだ。
プリマの分も頑張ろうと3人は気合を入れなおす。
ペプシは牧場主と話を続けていた。他の2人と違いそういった探索が得意ではなく、だからといって何もしないのは忍びないからだ。
「んで?他にも被害もあんのか?」
「他の被害は、羊が一頭と柵、羊小屋の扉の破壊です。……蛮族は向こうの森の方へ向かっているようだったたが、もう暗くなり始めまして。」
牧場主が遠くを指さす。
「遠くから一瞬しか見えんかったが、人間の大男でもそうはいないほどの巨漢でした。肌が青白く、全身に白い剛毛があって大きな武器を持っておりました。」
「なぁるほどなぁ...。(全然わからん。それが〝ぼるぐ〟って奴なのか?)」
「足跡、見つけた。」
レベッカが低い声で呟きながら、慎重に地面を見つめる。彼女はレンジャーとしての経験を生かし、足元の微細な変化を見逃さなかった。
「四匹分、間違いない。」
彼女は目線を森の方に向け、足跡の行く先を見つめる。
「あっちだ。森の奥へ続いてる。あっちで牧場主とペプシが話している内容と合致するね。」
サーマルは、被害のあった柵の破壊の跡を調べる。
「柵が壊されてる。……でも、力任せじゃない。何か、意図的に壊してる感じがする。」
彼はさらに注意深く調べ、破片を見つける。
「これ、武器の跡か。矢じりからアローフッドは確定。縄の切り口からダガーフッド...いや、サーベルフッドのものだろう。小屋の天井に何かを引っ掛けたあとがあるからハンガーフッドもいるかもな。」
「サーマル、そっちはどう?」
レベッカが戻ってきた。
「なるほど、アローフッドとサーベルフッド、それにハンガーフッドか。」
レベッカはつぶやきながら、やや考え込む。
サーマルの分析に少し眉をひそめつつも、言葉を続ける。
「確かにフッドなら集団で狩りをするけど、それにしては被害が少ないような...。」
ペプシは足元の足跡を見つけようと試みたが、すぐに諦めて顔をしかめた。
「オレはよくわかんねぇな…」と、ぼやきながら後ろでフラフラと立っている。
彼の観察力のなさが一目瞭然だった。
レベッカとサーマルは、少し焦りを感じながらも情報を集めていく。しかし、彼らには違和感が募るばかりだった。
「なんだろうな、この手口。まるで、無駄に大げさにしてるみたいだ」とサーマルはつぶやいた。
プリマは、その会話を聞きながら目を閉じていた。ふと、仲間の言葉を思い出す。同族のフッドを殺すことに命を掛ける復讐鬼、インテゲルの言葉だ。あれは、たまたま夕食の調達のため、彼女の狩りに付き合った時だったか。その時、偶々フッドに襲われて、急にインテゲルが話し始めたんだっけ。
『いいか、プリマ。同じ神を信仰する仲だ。お前にもフッドの殺し方を教えてやる。』
ダガーフッドが襲い掛かってきた。インテゲルは慣れた手つきで鉤縄を投げつけ、鋭利な鉤の先がダガーフッドの首に食い込む。血が飛び散り、顔面が歪んだまま崩れ落ちる。インテゲルはその首を引き裂くように、縄を引き寄せながら言った。
『大前提として、私らフッド族は、ゴブリンやコボルドと同じで、最下級の蛮族だ。力が弱く、頭も悪い。だが、その残虐さ故か、命......特に人の殺し方だけはよく知っている。』
すぐに、後ろからサーベルフッドが奇襲を仕掛けてきた。その刃がインテゲルの背後に迫るが、インテゲルは目で振り向き、いつ間にか持ち変えた銃で瞬時に魔弾を放つ。魔弾がサーベルフッドの眉間を貫き、頭を爆発させて肉片を撒き散らした。血しぶきが降り注ぎ、サーベルフッドも無惨に倒れ伏した。
『今回も、一体が囮役となって注意を引きつけ、もう一体が背後から不意を突くという単純だが効果的な戦術をとる。そして、自分たちが弱い事を知っているが故に群れたがる。』
草陰が揺れ、突然、五体ほどのアローフッドが弓を引き絞る。インテゲルは冷静にその動きを見極め、マギスフィアを起動し強力なグレネードを放った。爆発が起き、アローフッドは一瞬で吹き飛ばされ、肉の塊や骨が空中に舞った。
『人族の集落でも襲おうものなら十体以上の頭数が必要な程にな。数が少ない場合は必ずそれを率いる別の魔物が近くに居る。』
インテゲルは、爆風の中で冷静に言い放つ。破片と焦げた肉が周囲に散らばり、彼女の体は血と硝煙にまみれている。
『だが、勘違いしてはいけないのは、死を恐ろしいとは思わないことだ。』
ズシン。ズシン。
足音が重く響く。
『なんの取り得もない奴らは、奴ら自身を評価していない。信用もしない。だから装備に頼る。剣や弓は己を幾ばくか強くしてくれる。その瞬間だけは、己は人並みの価値を持てる。そう考える。』
見えげるような巨漢がその姿を現す。青白い肌、全身に白い剛毛が生えたその妖魔、ボルグだ。盾を持ったフッドたちも続き、襲い掛かって来る。
『命令に従うのも同じだ。知恵のない己自身の判断で行動するよりも、誰かに従っていた方が、己は強くいられる。結果として捨て駒として使われようと、醜く生き続ける永遠よりは、たった一瞬でも輝いて散りたい。そう考える。』
インテゲルの声は、戦場の喧騒にかき消されることなく、プリマの耳に響く。
プリマの魔法、バニッシュで恐慌に陥った残党を一体一体殺していく。次々とフッドたちが恐怖に駆られて逃げ惑う中、インテゲルは実に楽しそうに、残虐にその命を奪い続ける。
『それが、己の存在を示す唯一の手段だからだ。無知で、軽率で、非力で。醜く、小さく、か細く、弱く。そんなフッドのな。』
『殺す事、壊すこと以外......何か不可解な行動をしたらそれを操るものがいると思え。いいか?プリマ。』
プリマはその言葉を反芻し、まさかこの知識が使われる日が来るとは思わなかったと苦笑する。これも慈愛と復讐の女神ミリッツア様のお導きなのだろうか。
いや、ないか。
思考を深めながら、彼女はインテゲルの理論を基に考察を進めた。
1.自分の弱さを知っているがフッドがこんな少人数で村を襲うことがおかしい。
2.牧場主の息子が生きていたのもおかしい。残虐なフッドの事だ、多少抵抗されようとも殺す事を優先するはずだ。
ここまでは、ボルグがリーダーとしてそのように命じてた筋が通る。しかし、問題はそのボルグ自身が何故そのようなことをしたか。あの妖魔は暴力に飢え、闘争を求める性質なのだ。暴れ回ることが性分のボルグが指揮を執っているなら、もっと乱暴で目立つやり方を選ぶはず。
(何かが……足りない。カイやレプティなら、この謎をどう解くだろう?)
プリマは想像してみる。二人なら、こんな問題をさっさと解いてしまうのだろうか。荒事の経験が豊富なレプティや豊富な知識のあるカイならあっという間だろうなとまた苦笑する。
ふと、ローグの姿が思い浮かんだ。こういった頭を使う話が始まると、彼はいつも退屈そうにしていた。
「ローグ、偶に愚痴ってたなぁ……『オ前ら魔法使い組はいいよナァ、頭良くテ。頭が良けレば上に上がレル。前衛より体が脆いのにリーダーとかに重宝されル。あーヤダヤダ。』って、ちょっと拗ねてさ。」
そのあとレプティがさらりと、
「世の中、適材適所よ。あなたの鉄壁の防御とアルムの殲滅力はこのパーティに欠かせないわ」って言って、彼をすぐにご機嫌に戻していたのを思い出して、口角が上がる。
「ん……?魔法使いは、頭が良くてリーダーに重宝される?」
その言葉がふと心に引っかかる。いや、まさか……でも、もしや今回の襲撃も魔法使いが指揮しているのだとしたら?
瞬間、彼女の中で一つの仮説が生まれる......!!
プリマが冷静に状況を整理し、静かに口を開く。
「みんな、今回の襲撃にはただのボルグとフッド以上に手ごわい相手が関わっているかもしれない。ボルグが率いるだけじゃ説明できない不自然な行動がいくつもある。恐らく魔法を使う参謀格の仲間がいるはずだわ。」
「流石プリマ様だぜ!まさかボルグとフッド以外の魔物の存在を察知するとは!!」
「ただでさえボルグ相手でも辛いのに、魔法を使える知能のある仲間が後ろにいるなんて厄介ね。」
「……だが、確かにそれなら不自然な昼の襲撃も説明がつくッスね。」
プリマは眉をひそめながら、自身の考えを述べる。
「えぇ、恐らく小規模なフッドを送り込み、最小限のものを奪い反撃があるのか様子をみていた。」
「昼間襲撃をした四匹のフッドは、この牧場の戦力を測っていた斥候ってことですか。」
「魔法使いがいるとそんなに小賢しくなんのか……でもプリマ様のお陰で原因が分かったなぁ!!!」
「プリマさん。その魔法使いの魔物に心当たりはあるっスか?」
「ボルグと組む事が多く人間並みの知恵を持っている魔法使い。恐らくグレムリンよ。」
「グレムリン……小柄で蝙蝠のような翼を持っている妖魔ッスか。」
「グレムリンもボルグも暗視を持っている。
どちらも夜行性だし、自ずと襲撃の時間は絞れるわね。」
「えぇ…早ければ今晩、襲撃が来るわ。」
「おぉ?よくわかんねぇがプリマ様が言うなら間違いないわな!!そんでこれからどうするんです?」
プリマは、周囲の状況を見渡しながら、レプティとカイならこんな時どうするかを思い巡らせた。
「レベッカとサーマルは完全に暗くなる前に森に罠を仕掛けて。この程度の大きさの牧場なら、主力を中心に全力で攻めてきます。」
地図でこのあたりに仕掛けて下さいとプリマは指示する。
レベッカは困惑の表情で
「ここでは、森から出てくるボルグ達の進路に被らないでのは?」
と質問する。
「それでもいいです。先に罠を仕掛けたら森から出てこないかもしれない。この罠は敵を追い込む為のものなのです。」戦闘するにあたって、相手をどう誘導させるか、相手の思考を狭めるかをレプティなら考えるだろう。
なるほど、とプリマの意図を汲み取りレベッカとサーマルは指示された箇所に罠を仕掛けに向かう。
「そして、ペプシさん。牧場主さんに動ける人員を集めて、今から目印を打つ箇所に穴を掘るよう伝えて下さい。あ、柵用の木材とロープもあればお願いします。」
「わかりましたぁ!!それって落とし穴ですよね?」
「ええ、ですがあくまで動きを止める用です。深さは腰上位まで十分です。逆トゲも時間があれば埋め込んで下さい。頑張って下さいね。」
「はぁあ~い♡わっかりましたプリマ様ぁ!!!」
闇がゆっくりと降りてくる中、彼女らは総出で戦闘の準備を進めていくのであった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
その頃、
「痛っ! おかしいでしょ!?尻尾の攻撃避けたはずなのになんで当たるの?」
「レプティ!このポーションを飲メ。蜂蜜入れたら回復力が増しタゾ。」
「ありがとうローグ!」
[ムキッ!!]
「何で急にガッツポーズした!?」
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