第3話 三人目
とある日....
――――カランコロン
重たいドアを開き、とある客がやってきた。
「いらっしゃいませ。」
「こんばんは.....」
その客は、若い女性だった。
「こんばんは。」
その若い客の女性は、少し狼狽えてしまった。あまりにも、店の雰囲気と、店主と思われる人物に圧倒されたからだ。
(え....なにこのカフェ...カフェって、もう少し明るくて、店内で人が賑わっているみたいなものじゃないの...?あと、あの人....すごい不気味なんだけど...)
そうすると、店主と思われる人物が、
「お好きな席へどうぞ...。と言っても、席は一つしかありませんが....フフフ」
「は、はい.......」
(席が一つって....)
そうしていると、客の若い女性は、言わなければならないことを思い出した。
「あ、あの...」
「いかがなさいました?」
「実は、私.....まだ、高校生で....こんな時間に来るのは、いけないことだとは思うのですが....」
「分かりました。秘密は厳守いたしましょう。」
「ありがとうございます..。」
その女性は、少し安心した気分になった。
そうしていると、
「こちらが、メニューです。」
そういって、一つのメニュー表を、渡された。
メニュー:??? 値段:???
「え.....?」
「この店は、お客様によって、メニューも異なり、値段は、お客様が決めてくださって構いません。また、お会計は、現金でもカードでもそれ以外でも構いません。」
「は、はあ......」
その女性は、呆気にとられた。
「今日は、いかがなさいましたか?」
「あ....あの、実は悩みがあって....。」
「かしこまりました。その前に、コーヒーは、お好きですか?」
「えーっと...嫌いではないんですが...苦いのはあまり....」
「そうですか。それでは、長丁場になると思うので、コーヒーをどうぞ。ミルクもつけておきます。」
「あ..ありがとうございます....」
そういって、年季の入っていそうな、木のテーブルに、白いコップのコーヒーとミルクが置かれた。
――――プチッ
と開け、ミルクを入れた。
そして、真っ黒なコーヒーが少し白く濁り、ティースプーンで、ぐるぐると回していた。
コップの中が、渦巻いていた。
そして、それがおさまったところで、コップを口に近づけた。
すごく飲みやすく、安心する――――
そんなコーヒーで、なんだか、悩みを話したくなる気持ちになった。
「あの、実は悩みがあって....。」
「なるほど。」
「別に、今の生活が苦しいわけでは、ないんです.....。」
「ほう....」
「いつも通り、学校に行って、友達と話して、遊んで....そして、家に帰ったら、温かいご飯があって....でも、そうしていると、ふと、私が生きている意味って、なんだろうって.....」
「ほう....」
「今が苦しいわけでもない、でも.....」
少し時間が経って、
「かしこまりました。」
店主と思われる人物が、
「それでは、一つ質問させてください。」
「は、はい....」
「そもそも、私達に、生きている意味なんてあるんでしょうか?」
「――――えっ....」
「これは、私の考えではありますが、’’生きる意味’’を考えること。それは、大事なことかもしれません。けれども、そのようなことは、今まで生きてきた人や、今を生きている人も、考えてきたことだと思いますが、その上で、今現在、その答えはありますか?答えは''NO''だと思います。今まで、何千年、何百年、何十年の間、そして何千人、何万人、何億人の人が、このことを考え、悩んできたことでしょう...。これも、私の考えではありますが、’’生きる意味’’――それは、死んでからわかるものでは、ないでしょうか....」
その女性は、驚いた。まさか、そんなふうに返されるとは、思っていなかったからだ。
「今を’’生きること’’それに集中しては、どうでしょう...」
その女性は、その言葉を自分の頭の中で、何回も咀嚼し、考えた。
「そうですよね...。今を''生きること’’に集中することで、初めてわかることですよね......」
「あ、あの...今日はこの辺で、失礼させていただきます...。なんだか、不思議な力が湧いてくる...そんな気がするんです。」
「それは良かったです。」
「本当にあなたのおかげです...」
「いえ、私は何もしていません。決断をしたのは、’’あなた’’です。それを、どうかお忘れなく。」
「今日は、ありがとうございました....。」
「ありがとうございました。おやすみなさい。いい夜を。」
――――カランコロン
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お読みいただきありがとうございました!!
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とあるカフェ Kai @BIGSAMSTAR
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