第5話 蹂躙!(ざまぁ回です)
ガチャ……ギィーーー
ガシャンガシャンガシャンガシャンガシャンガシャンガシャンガシャンガシャンガシャン……
絵梨華たちが4人が倒れ、竜司が撤退しようとしたことで攻略失敗と判定されたのか、ボス部屋の扉が開き、光り輝く鋼鉄の騎士たちが行進してくる。
「やっと入れましたね。前のチームは攻略失敗でしょうか?」
「みたいだな。ほら、フロアボス……なんだあの禍々しい騎士は?」
「あれは暗黒騎士ですね」
ついでに転がってるやつらもいるし、なんなら見覚えある奴らだし……。
「……皇一?……なぜ?」
絵梨華は顔だけ動かして俺を見る。
その疑問は俺がここにいることについてだよな?
ピンク色のかわいいローブをパンツ1丁の上に羽織ってることについてじゃないよな?
「君は湊早紀さん?まさかそいつと2人で来たのか?ちょうどいい、僕と一緒に暗黒騎士を倒そう!」
「……竜司……」
早紀の姿を確認した竜司が寄ってきて、なんと勧誘を始めた。
唖然とする絵梨華のことなどもう見てもない……。
壊滅してるチームも、重傷を負った婚約者も放置してそれか?
我が弟ながらひどいなこいつ……。
「あなたは四鳳院竜司さんでしたか?下がっていてください。邪魔です。皇一さん、行きましょう」
ウケる(笑)
見事なまでの興味なさ。
見た目は長い腰まである銀髪に、細身の肢体、整った顔立ちで、表情が少ない様子はちょっと神様とか天使とかそっち系に見えるんだけど、そんな女からゴミに向けるような視線を向けられるってどんな気分なんだろう……。
「……なっ……なぜだ。知っているだろう?そいつは世界ランキング3,600万位だぞ?」
動揺のせいか、なんの独創性もない陳腐な反応するのにかなり時間がかかったな。
「バカは嫌いです」
「なっ」
ウケる(笑)
バカって言われてプルプルしてるよ。
「こっ、皇一。お願い……助けて……」
一方、絵梨華はそんな竜司を見限ったのか、俺に声をかけてきた。
困ったな。俺に助けを求めるなんてよっぽど……ひどい怪我だな。この状態を無視した竜司は鬼だな。
でも、弱った絵梨華に言いづらいんだけども……
「すまん……パンツ1丁に借りたローブを羽織ってるだけだから何も持ってないんだ……」
「皇一さん……流石にそこは私が出しますよ」
そう言って絵梨華に回復薬を渡した。
こんな状況にもかかわらず絵梨華はキッと早紀を俺を睨みながら回復薬を傷にふりかけた。『どうせ早くしなさいよ愚民ども!』とでも思ってるんだろうな……。
まぁいいや。
早紀は竜司を殴り飛ばしたし、絵梨華はさっさと逃げて行った。
お前ら……その転がってる3人はどうでもいいのかよ?
余りに可哀そうだから守護兵さんに端に運んでもらって、開戦だ!
早紀は暗黒騎士に向けて守護兵全軍を差し向ける。
俺はバフを掛けなおしつつ、対暗黒騎士用にさらに追加する。
「軍隊強化!」
「進軍!」
「鼓舞!」
「凱歌!」
「覚醒!」
一方的な戦いだった。
全ての軍隊強化系バフがのった守護兵の強さは壮観で、途中から自らも突っ込んでいった早紀もかなり強かった。
どう見ても竜司や絵梨華より強かった。
なお、俺は軍神っていうスキルを覚えた。
「軍神!」
早紀と守護兵たちがさらに強化される。
その軍団の前に暗黒騎士は何もできずに封殺されて消えていった。
こうして俺達は世界で初めてダンジョンの70層をクリアしたチームになった。
世界初だったの?
知らずにそのまま進軍した俺たちは道中のモンスターも、罠も全て物量でぶち壊して100層まで到達し、ボスとして登場した竜騎士すらも完封して帰還した。
そして早紀は世界ランキング2位になった。
これで2位なのか?1位はどんな奴なんだろうとおもったが、その後ソロで100層クリアしやがった。
そして世界中の研究者たちが調べた結果、2つのことがわかったらしい。
1つはこのランキングは個人戦闘力を示すもので間違いはないが、なんとチーム戦闘時にかけあうような支援魔法とかの影響は受けた状態での個人戦闘力ということらしい。
なんで所属チーム名が書いてあるのかと不思議に思っていたが、それがミソだったのだ。つまり、絵梨華の18位は"軍隊強化"と"進軍"と"応援効果"が乗ったものだった。それがなくなった今、絵梨華は204位まで落ちたよ……笑えるな。
ちなみに"応援効果"以外が乗っていた竜司は132位まで落ちたってさ。
もう1つはこのランキングの更新は少し遅れるということだ。
俺の順位は低すぎてランキングボードで何度も探すのは厳しいが、他に解散したチームがあって、そのメンバーの情報更新は2週間後だったらしい。帰ってきた後になって威勢よく俺たちを非難していた竜司とエリカの順位が下がったのを目撃して笑ってしまった。見やすい位置に載っていることが良かったのか悪かったのか……。
ん?俺?
俺は……
1,711,714位だよ……
ちょっとは上がったな。
なお、攻略失敗、婚約者裏切り、部下放置のトリプルコンボをやらかした上に、俺たちへのいちゃもん付けにまで失敗した絵梨華と竜司は謹慎状態になった。
なにをやったかって?
2人は俺達が帰還したときに『私達が弱らせたのにボスを掻っ攫った』とか言い出しやがったんだ。だから、無傷の暗黒騎士と、周りで倒れてる絵梨華たちと、早紀に言い寄る竜司を写した写真を公開してやった。
これが後の世界で初の切り抜き画像と言われて探索者の戒めに使われる教科書にまで乗ったんだから、有名になれてよかっただろ?
あいつらの真っ赤な顔……笑っちまったな。
これで俺の今回の物語は終わり。
俺たちはこのあと深層と呼ばれる101層以降に挑んでいった。
当然、俺は実家には帰らなかった。
だって放逐されたも〜ん。
ダンジョン協会員となった俺の活躍を悔しがりながら見ていてくれ。
って、おい。
なんで俺が日本のダンジョン協会長になってんだよ。
早紀、裏切るな!おいっ!
fin.
ここまでお読みいただきありがとうございました。
お楽しみいただけましたでしょうか?
このお話は、今月末くらいに公開を予定している現代ファンタジー×ダンジョン配信ものの小説の番外編的な作品です。
30年ほどまえの世界を描いてみたため、なんと重要な要素である"配信"を捨てております。(チャレンジャーwww)
書いたきっかけはふと現代ファンタジーで婚約破棄とかパーティー追放をやったらどんな感じになるかなと思いついたことでした。
またエピソードを追加するかもしれないので完結にはしませんのでご理解願います。
もしよければ当作品へのフォロー、☆評価(☆☆☆→★★★)、応援ももちろんありがたいですが、作者フォローを頂けると嬉しいです。今後公開の作品の通知をお届けできると思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【2024/6/25追記】現代ファンタジー×ダンジョン配信ものの小説を公開しました。こちらは40話近く既に書いておりますので、毎日更新していきます。
当作品と合わせて、どうぞよろしくお願いします。
『リッチ様の探索者育成譚~2回の異世界転生で地球に戻ったのにダンジョンのフロアボスになっていた最強の俺は、配信しながら超可愛い探索者たちを育てて世界崩壊を防いでやるぜ!』
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